本文中「カクテル・ファニーカー」と表現したキットの代表格、フォード・マーベリック・ファニーカー(品番H-1216)。1960年代半ばまで、つまりジム・キーラー在籍時には強い細部へのこだわりに支えられたキットを安定して生み出していたレベルがその持ち味を失い、ひどく単純化されたおもちゃのようなチューブラーシャシー、ぼんやりしたエンジン、間延びしたボディーから意味なくはみ出すリアスリックタイヤを持つこうしたキットを1970年頃から立て続けに出したことは愛好家に大きなショックを与えた。
撮影:羽田 洋、秦 正史(ご提供いただいた画像は除く)