1986年、全米にセンセーションを巻き起こしたキットを、日本でなじみ深いイタレリ箱で紹介しよう。キットの設計・デザインはテスターのジョン・アンドリュースによるもので、「イタレリのオリジナル」は誤解である。彼は入手可能な公開情報と自身の経験にもとづき「90パーセントの正確さで」模型化したと主張、シカゴでのデビューでは話題にもならなかったが、オハイオ州デイトンの新聞記者が大きく取り上げたことで人気に火がついた。冷戦下で過熱する報道のなか、親会社であったRPMは素知らぬ顔で沈黙をつらぬいた。RPMイズムである。
写真:秦 正史(ご提供いただいた画像を除く)