海外試乗

【レクサスLX700h海外試乗】プレミアムの深化が極まったフラッグシップSUV

レクサスブランドの最上級SUVであるLXが、2025年モデル発売に合わせてマイナーチェンジされるとともに、同車初のハイブリッド仕様がデビューする。世界をリードするハイブリッド技術が投入され、日本発のプレミアムSUVとして世界の強敵と対峙するにふさわしい内容に迫る。

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ハイブリッド化でさらに長所を引き伸ばす

アウトドアテイストの濃い新グレードのオーバートレイルには、専用色グリルや265/70R18サイズのM+Sタイヤ、前後デフロック、専用ボディカラーなどを採用。ハイブリッド用バッテリーはリアフロア下に搭載し、防水も徹底されている。

レクサスのフラッグシップオフローダー、LXが一部改良を行なった。目玉はハイブリッドモデルの登場。その名はLX700hだ。V型6気筒3.4Lツインターボエンジンと10速ATの間に、1基の電気モーターを挟み込むシステムの基本構成は、すでに北米向けのトヨタ・タンドラなどに使われているものとほぼ同様。異なるのは、まず本来ハイブリッド車には不要なスターターモーター、オルタネーターを搭載していることだ。これは万が一ハイブリッドシステムがダウンした時にも、走行不能となるのを防ぐためである。

モーター出力と合わせて最高出力457psを誇る3.5ℓツインターボエンジンを搭載。万一のハイブリッドシステム故障時には、スターターで始動が行なえる。

車体の後端に搭載される駆動用バッテリーは防水トレーに密閉され、浸水時にはセンサーによりすぐに警告が行なわれる。そもそもニッケル水素バッテリーを使っているのも、浸水時の安全性に配慮してのことだろう。

LXは”どこへでも行き、生きて帰って来られる”クルマでなければならない。極限での走破性、耐久性、信頼性のために入念な開発が行なわれたというわけだ。当然、パフォーマンスも向上している。システム最高出力は475㎰、最大トルクは790Nmにも達する。また、ローレンジでの電気モーター走行が可能となっているのもトピックと言えるだろう。緻密な駆動力制御を行なうことができるハイブリッドは走破性向上にもしっかり貢献しているのである。

変更点はボディ、シャシーにも及ぶ。「対話のできる走り」を目指して各部の剛性アップを行ない、フレームとボディを繋ぐキャブマウントクッションも改良。ブルブル感の低減を図ったと謳う。この改良はLX600も共通だ。

一方、内外装にはほとんど変更はない。12.3インチ大型フル液晶メーターや前席リフレッシュシートなどが搭載され、LX700hではエレクトロシフトマチックが採用された程度である まず乗り込んだのは”OVERTRAIL”。従来の”OFFROAD”を継承する、3つのデフロックを備えオールテレインタイヤを履く仕様だ。

メータークラスターは12.3インチの大型液晶パネルで、各種データの表示ができるようになった。

ハイブリッドの恩恵は、走り出す瞬間から明らかだ。エンジンの過給が立ち上がるより前に電気モーターによってタイヤがスッと転がり出す。過給ラグは決して大きくはなく、ほんの一瞬の話なのだが、これだけでクルマが軽くなったかのように感じられるのである。

ただし、普段はアシスト感はそれほど強くはないな……と思ったら、今回乗った北米仕様以外は、全域でよりモーターの存在を感じさせる味付けになっているという。北米では牽引需要が多いこともあり、アクセルを踏み込んだ時の力感が重視されるのだそうだ。日本仕様も早く試してみたい。

乗り味の熟成感にも目を瞠った。フレーム付きに特有のユサユサとした動きは、これまでも特段気になっていたわけではないが、今回さらにスッキリとした印象。遅れのない操舵応答も含めて、より洗練された乗り味に仕上がっている。無論、フレーム付きの旨味が失われたわけではない。特にオフロードでは、大きく突き上げられドスンと落とされるような時ですら鋭い衝撃がきれいに丸められる乗り心地に、さすがと唸らされた。

存在感を放つエクステリアに加えて、上質な移動空間としてもプレミアム性を追求したウルトララグジュアリーグレードには、265/50R22サイズのタイヤ&ホイールを装着。

日本での”EXECUTIVE”に相当する北米仕様のウルトララグジュアリーも試した。こちらは22インチのオールシーズンタイヤを履くため一層の静粛性、オンロードでの正確な応答性を実現している。おそらくもっとも数の出る仕様。進化は十分実感できる。LXの持ち味、美点をハイブリッド化によってさらに引き伸ばしたLX700hは、今年前半のうちには日本でも発売となる予定。おそらく抽選にはなるだろうが、新規オーダーも受け付ける方向で調整中とのことだ。

トップグレードのウルトララグジュアリーでは後席定員を2名として、エグゼクティブな空間を演出。セダンやミニバンに飽き足りないVIPのニーズに応える。

【Specification】レクサスLX700hオーバートレイル(アメリカ仕様)
■全長×全幅×全高=5100×190×1895mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=2697kg
■エンジン種類=V6DHOHC24Vターボ
■総排気量=3444cc
■最高出力=341ps(457kW)/5200rpm
■最大トルク=790Nm(806.6kg-m)/2000rpm
■モーター最高出力=※エンジン項目に合算
■モーター最大トルク=※エンジン項目に合算
■燃料タンク容量=68L(プレミアム)
■トランスミッション形式=10速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:265/70R18

島下泰久

AUTHOR

1972年生まれ。1996年よりフリーランスとして活動。国際派モータージャーナリストとして年間20回近い海外取材を敢行し、試乗台数は年間延べ200台近くにも及ぶ。雑誌、ウェブなど幅広いメディアへ寄稿するほか、YouTubeチャンネル「RIDE NOW -Smart Mobility Review-」を主宰する。2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)などがある。

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