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【内装・ビークルダイナミクス徹底解説】新型フェラーリ「アマルフィ」に見る「ローマ」からの変化と継承はそれぞれ何か?

アルミニウム製スタートボタンも復活

フェラーリは2025年7月1日、V8エンジンをフロントミッドに搭載するFRの2+クーペ、「Amalfi(アマルフィ)」を発表した。搭載されるツインターボV8(最高出力640ps)については先にパワートレイン編、エクステリアや空力デバイスについてはスタイリング・空力編の記事でお伝えしたので、ここではアマルフィのインテリアとHMI、そしてビークルダイナミクスについて、先代モデル「Roma(ローマ)」からの変化にも触れつつ見ていこう。

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デュアル・コックピットかつ一体感あるインテリア

アマルフィのインテリアは、ドライバーとパッセンジャーをそれぞれ独立した空間で包み込む「デュアル・コックピット」レイアウトを特徴とする。この点はローマでも同様であったが、ローマではセンターコンソールで運転席と助手席を隔てていたのに対し、アマルフィではこの点に違いが見られ、両席が隔離されたような印象がぐっと抑えられている。ふたつの空間がダッシュボード、ドアパネル、センタートンネルによって視覚的に繋げられているのだ。

ダッシュボードは左右非対称のデザインで、インストゥルメント・クラスターはエアベントと一体化された単一のブロックのようなレイアウトを採用。アルマイト処理されたアルミニウム製のセンタートンネルは位置を低く抑え、彫り込まれたような造形とされている。ここにはギアセレクター、キースロット、ワイヤレス充電パッド、補助的な操作系を集約。

ドアパネルはグリップを帆のような形状とし、前方の2個のセルの輪郭を形成している。ウーファーはパンチング加工されたアルミニウム面の下に配置され、テクニカルな印象。オプションのコンフォート・シートは3サイズあり、10個のエアチャンバーを内蔵したマッサージ機能(5種類のプログラム、3段階の強度)と、座面・バックレストのベンチレーション機能を備える。

インテリアのカラーパレットはアマルフィのキャラクターを反映したものが用意されており、素材と色の組み合わせでスポーティーなコンセプトを強調。ローンチ仕様では鮮やかなグリーンの「ヴェルデ・ベッラージョ」が使われているが、キャビンのフロント部分に視線を引き付ける役割を果たしているのが感じられるだろう。

オーディオシステムにはオプションとして、Burmester(ブルメスター)製のものが用意されている。このシステムは14個のスピーカーと合計1200ワットの出力を持ち、リング・ラジエーター式ツイーターによってクリアな高音を実現したものだという。3種類のプリセットによって好みの音響にパーソナライズ可能。

物理スイッチへの回帰も見られるHMI

HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)はローマから全面的に刷新された。これにあたっては、直感的な操作性と快適性の向上を目的としたソリューションが採用されている。ローマでは静電式タッチパッド/スイッチを装備していたステアリングホイールだが、アマルフィでは物理ボタンが装備され、操作時の手ざわりを重視。左側にはアルミニウム製のスタートボタンも復活している。

ステアリングホイールの左スポークではADAS(先進運転支援システム)、アダプティブ・クルーズ・コントロール、電話、音声コマンドを操作。右スポークではディスプレイ表示の選択や、ワイパー、インジケーターの操作が可能だ。背面には音量とラジオ局選択用のロータリースイッチが2個備わる。

ディスプレイは3つで構成されており、この点はローマから変化ないが、そのサイズは変更されている。デジタル式インストゥルメンタル・クラスターは16インチから15.6インチとむしろ若干小さくなった。ここには当然、走行とビークル・ダイナミクスに関する情報が表示される。

中央のタッチスクリーンは8.4インチの縦型から10.25インチの横型へと変更。また取り付け位置はダッシュボード下側へと下げられた。ここではマルチメディア、ラジオ、電話、ミラーリング、空調、シート調節、車両セッティングといった主要機能に、ドライバーとパッセンジャー双方がアクセスできる。ダッシュ右側のパッセンジャー用ディスプレイは8.8インチ。これはGフォースやエンジン回転数などを表示し、同乗者にコ・ドライバーとしての体験を提供する。

接続システムとしてはApple CarPlayとAndroid Autoに対応し、スマートフォンのワイヤレス充電機能をセンタートンネルに装備。また、専用アプリを通じて遠隔で車両状況を確認できる「MyFerrariコネクト・システム」も搭載している。

ABS Evoの採用は大きな進化!

アマルフィのビークル・ダイナミクスには、フェラーリが近年開発した最新技術が多く導入されている。中心的な技術としてブレーキ・バイ・ワイヤが採用され、制動効率の向上、ペダルストロークの短縮、調整力の強化が図られている 。

ABS Evoシステムは296GTBで初導入されたものであるから、もちろんローマには採用されていなかった技術だ。アマルフィではさらに開発が進んだ同システムを搭載している。6Dセンサーのデータを活用して車速を高精度で推定し、各輪に最適なスリップ値を特定することで、制動力を最適に分配。これにより、直線だけでなく、横方向の安定性が求められる複合的な状況でも制動性能が高められているという。

また、こうした正確な推定によって、路面温度など環境的条件やコンポーネント公差に起因する変動が抑えられるので、ブレーキングの再現性も高まったとのこと。この手法は、サイド・スリップ・コントロール(SSC) 6.1のフレームワークの一部として、ステアリングからトルク管理、ボディの上下動制御まで、すべてのダイナミクス制御技術の共通言語として働き、あらゆる状況で最大のパフォーマンスを引き出すと説明されている。

EPS(電動パワーステアリング)を基にしたグリップ推定システムも296GTBで導入されたもので、アマルフィではその進化版が搭載された。新バージョンはグリップ推定が10%速くなり、低トラクション路面での正確性が向上したとのこと。このシステムは、タイヤと路面間のグリップレベルを限界走行時以外でも見極め、制御システムの応答性を有効性を高めるという。リアのアクティブ・スポイラーについては、スタイリング・空力編をご参照いただきたい。

最後にADAS(先進運転支援システム)について触れると、これには次世代技術が幅広く装備されており、これらのシステムは、インストゥルメント・クラスターのメニューから設定可能で、車両のエレクトロニクス・アーキテクチャーと統合されている。

主な機能としてはアダプティブ・クルーズ・コントロール、自動緊急ブレーキ、ブラインドスポット検出、レーン・デパーチャー・ウォーニング、レーン・キープ・アシスト、自動ハイビーム、交通標識認識・補助、ドライバーの眠気や脇見の検知機能が含まれる。オプションでサラウンド・ビューとリア・クロス・トラフィック・アラートも用意される。

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LE VOLANT web編集部

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