国内試乗

【試乗】新型ボルボ「XC60」に息づく「引き算の美学」。熟成のSUVが示す本質的な価値とは

ボルボXC60:モード切替でエアサスペンションの「硬め」を選ぶと車高も落ちるが、高速域では自動的に車高が下がる。オフロードを選択すると車高は上がる。
2025年6月2日に改良新型となったボルボXC60に試乗。
ボルボXC60:ボルボのアイコンであるアイアンマークとシンクロした2方向から伸びる斜線が重なり合うデザインを取り入れたフロントグリルは、最新のXC90とも共通。エクステリアテーマに合わせ、グロッシーブラック、及びクロームメッキの2タイプが用意。
ボルボXC60:フルLEDテールライトは、内部構造をブラックカラーに変更し、よりライトシグニチャーがくっきりと浮き上がるような印象を与え、モダンでシャープな造形を引き立てる。
ボルボXC60:フルLEDテールライトは、内部構造をブラックカラーに変更し、よりライトシグニチャーがくっきりと浮き上がるような印象を与え、モダンでシャープな造形を引き立てる。
ボルボXC60:試乗車のUltra B5 AWDは19インチホイールを装着。ダイヤモンドカットデザインと、光沢アルミニウム、グロッシーブラックのコントラストが、個性的でテクニカルな外観を際立たせる。合計3つの新しいアルミホイールデザインが用意され、エレガントで力強いキャラクターを強調。Plus B5グレードは18インチ、PHEVは21インチが標準装備。
ボルボXC60:試乗車はUltra B5 AWDで、ウィンドウモールディング、フロントグリル、バンパーインサート、ドアモールディングインサート、一体型ルーフレールの明るいクロームのエクステリアテーマが、新型XC60に高級感を加える。一方、PHEVモデルでは、専用デザインの前後バンパーに加え、クローム部分がグロッシーブラックのエクステリアテーマとなり、ダイナミックでモダンな印象となる。
ボルボXC60:広々としたキャビンでは、標準装備化されたテイラードダッシュボード、新デザインのトンネルコンソール、新しく大型化されたセンターディスプレイなど、デザインがアップデート。また、インテリア素材には、バイオ素材由来のノルディコや、100%リサイクル素材で編まれたネイビーヘリンボーンウィーブの導入など、持続可能性を高める素材も取り入れられている。
ボルボXC60:広々としたキャビンでは、標準装備化されたテイラードダッシュボード、新デザインのトンネルコンソール、新しく大型化されたセンターディスプレイなど、デザインがアップデート。また、インテリア素材には、バイオ素材由来のノルディコや、100%リサイクル素材で編まれたネイビーヘリンボーンウィーブの導入など、持続可能性を高める素材も取り入れられている。
ボルボXC60:人間工学に基づいて設計された快適なシートを採用。レザーフリー素材の採用を拡大し、最上級のUltraグレードでは、従来のファインナッパレザーに加え、100%リサイクルポリエステル素材「ネイビーヘリンボーンウィーブ」を無償オプションに設定。Plusグレードには、リサイクル素材とバイオベース素材から作られる「ノルディコ」シートを標準装備。
ボルボXC60:人間工学に基づいて設計された快適なシートを採用。レザーフリー素材の採用を拡大し、最上級のUltraグレードでは、従来のファインナッパレザーに加え、100%リサイクルポリエステル素材「ネイビーヘリンボーンウィーブ」を無償オプションに設定。Plusグレードには、リサイクル素材とバイオベース素材から作られる「ノルディコ」シートを標準装備。
ボルボXC60:人間工学に基づいて設計された快適なシートを採用。レザーフリー素材の採用を拡大し、最上級のUltraグレードでは、従来のファインナッパレザーに加え、100%リサイクルポリエステル素材「ネイビーヘリンボーンウィーブ」を無償オプションに設定。Plusグレードには、リサイクル素材とバイオベース素材から作られる「ノルディコ」シートを標準装備。
ボルボXC60:人間工学に基づいて設計された快適なシートを採用。レザーフリー素材の採用を拡大し、最上級のUltraグレードでは、従来のファインナッパレザーに加え、100%リサイクルポリエステル素材「ネイビーヘリンボーンウィーブ」を無償オプションに設定。Plusグレードには、リサイクル素材とバイオベース素材から作られる「ノルディコ」シートを標準装備。
ボルボXC60:エレガントなセンターコンソールのシャッターは、デコラティブパネルと同素材(ウッドパネル)で作られており、その下には、新しい2+1カップホルダーを備えている。改良されたワイヤレス・スマートフォンチャージは、トンネルエリアの前方に移動され、使い勝手が大幅に向上。
ボルボXC60:エレガントなセンターコンソールのシャッターは、デコラティブパネルと同素材(ウッドパネル)で作られており、その下には、新しい2+1カップホルダーを備えている。改良されたワイヤレス・スマートフォンチャージは、トンネルエリアの前方に移動され、使い勝手が大幅に向上。
ボルボXC60:全グレードにテイラードダッシュボードやオレフォス社製クリスタルシフトノブを採用するなど、スカンジナビアンデザインならではの上質で心地よい空間を演出。
ボルボXC60:全グレードにテイラードダッシュボードやオレフォス社製クリスタルシフトノブを採用するなど、スカンジナビアンデザインならではの上質で心地よい空間を演出。
ボルボXC60:オプションのBowers & Wilkinsのステンレス製スピーカーメッシュは、3次元ダブルエッチングデザインが施され、より高級感のあるきらびやかな印象を与える。
ボルボXC60:今回の改良で、センターディスプレイは9インチから11.2インチに大型化され、次世代のユーザー・エクスペリエンスを提供。従来と比べて解像度が21%向上し、情報をより鮮明に表示。さらにQualcomm Technologies社の次世代のコンピューター基盤、Snapdragon Cockpit Platformを採用し、従来と比べて情報処理速度は2倍以上に、グラフィック生成速度は10倍に向上し、より快適でスムーズな操作を実現。
ボルボXC60:Googleを搭載したインフォテインメントシステムは、継続的な無線ソフトウェアアップデート(OTA)で時間の経過とともに進化する。
ボルボXC60:ディスプレイでは、ナビゲーション、エンターテイメント、エアコン、車内アプリ、電話、360度カメラ、その他のサポート機能の概要を即座に確認して制御可能だ。
ボルボXC60:マイルドハイブリッドの「Plus B5」、「Ultra B5 AWD」、プラグインハイブリッド(PHEV)のUltra T6 AWD Plug-in hybrid」をラインナップ。B5パワートレインは、今回新たにミラーサイクル化され、従来比で燃費効率が約5%向上している。
ボルボXC60:スクエアで使い勝手のよいラゲッジルーム。分割可倒式のリアシートを倒せば長尺モノの積載も余裕で可能となる。
ボルボXC60:スクエアで使い勝手のよいラゲッジルーム。分割可倒式のリアシートを倒せば長尺モノの積載も余裕で可能となる。
ボルボXC60:グレード構成は、マイルドハイブリッドを搭載したFWDのPlus B5(789万円)とAWDのUltra B5(879万円)、そして最上位にはプラグインハイブリッドのUltra T6 AWD(1-29万円)を加えた3モデル。スリーサイズは全長4710mm×全幅1900mm(PHEVは1915mm)×全高1660mm。
ボルボXC60:グレード構成は、マイルドハイブリッドを搭載したFWDのPlus B5(789万円)とAWDのUltra B5(879万円)、そして最上位にはプラグインハイブリッドのUltra T6 AWD(1-29万円)を加えた3モデル。スリーサイズは全長4710mm×全幅1900mm(PHEVは1915mm)×全高1660mm。
ボルボXC60:グレード構成は、マイルドハイブリッドを搭載したFWDのPlus B5(789万円)とAWDのUltra B5(879万円)、そして最上位にはプラグインハイブリッドのUltra T6 AWD(1-29万円)を加えた3モデル。スリーサイズは全長4710mm×全幅1900mm(PHEVは1915mm)×全高1660mm。
ボルボXC60:ステアリングパドルは装備されないものの、8速ATのギア選択は加減速のどちらでもタイミングも併せて完璧だった。
ボルボXC60:モード切替でエアサスペンションの「硬め」を選ぶと車高も落ちるが、高速域では自動的に車高が下がる。オフロードを選択すると車高は上がる。

熟成と革新の融合。「これなら売れる」と納得させた完成度

ボルボ「XC60」の累積販売台数が270万台を超え、ボルボ史上最も売れているモデルとなったというニュースは既報の通り。扱いやすい手頃なサイズのボディに現代のSUVに求められる快適性、機能性、運転の楽しさなどの要素を高い次元でバランスさせたXC60だが、2025年6月、新デザインとなるフロントグリルの採用をはじめ内外装デザインをリフレッシュ。また、最新のインターフェイスを採用し、さらなる進化を遂げて日本に上陸したのだ。

【画像28枚】どこが変わった? ベストセラーSUV、新型ボルボ XC60の洗練された内外装のディテールをすべて見る

大型ディスプレイと新エンジン。着実な進化で快適性と効率を向上

マイナーチェンジを受けた最新のXC60に試乗したのだけれど、気になるようなところはほとんどなく、「これなら売れるよな」と納得させられた。

現行のXC60は2代目で、ボルボのラインナップの中ではトップセールスを記録し続けているもはや屋台骨のような存在である。2018年の販売開始以来、7年が経過したいまでも堅調な売れ行きを続けられているのは、ボルボが毎年のようにXC60に手を加え、時代と顧客のニーズに応えてきた証だろう。

新型車の主な改良点は、センターディスプレイの大型化、次世代の電子プラットフォーム採用による処理速度とグラフィックの向上、エンジンのミラーサイクル化、エクステリアの一部変更などである。穿った見方をすれば「たったこれだけか」とも思えるいっぽうで、「他には手を付ける必要がなかったのか」と感心することもできる。

センターディスプレイは、従来の9インチから11.2インチに拡大されて、視認性と操作性が改善されている。加えて、グーグルを搭載するインフォテインメントシステムは、従来よりも情報処理能力で2倍、グラフィック生成速度で10倍も向上しているという。試しに、ナビゲーションの目的地設定に音声入力を使ってみたら、反応速度や画面の切り替わりが以前よりも速くスムーズになっていた。時間に換算したらおそらくわずか数秒の違いだろうけれど、人間というのはそれが待てずにイライラしてしまう生き物でもある。もし、従来型でストレスを感じていた人であれば、大幅に軽減されたと思うに違いにない。

2Lの直列4気筒ターボエンジンにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドのパワートレインは、ピストンの形状を変更するなどしてミラーサイクル化された。ミラーサイクルは、簡単に言えば圧縮比を変えずに膨張比のみを高くする技術で、同等のパワーを少ない燃料で得ることができる。新型XC60では、約5%の燃費改善が達成できたそうだ。ちなみにこの効果は、特にエンジンへの負荷が一定となる高速巡航時などに堅調に現れる傾向にある。

乗り手に委ねすぎないインテリジェンス

試乗車はXC60ウルトラB5 AWDで、これにオプションのエアサスペンションが装着されていた。プラグインハイブリッドのXC60ウルトラT5は、後輪をモーターで駆動するAWDだが、試乗車はプロペラシャフトで前輪と後輪を繋ぐハルデックス式のAWDである。

フロントのバルクヘッド付近にノイズ軽減対策が施されたようだが、パワートレインよりも前輪由来のロードノイズが若干抑えられたように感じた。静粛性は速度依存度の低いもので、スピードレンジにかかわらず一定の快適性が保たれている。

ミラーサイクル化されたマイルドハイブリッドは、依然として1.9トンの車体を動かすには十分な動力性能を持ち合わせている。必要な時に必要なだけのパワーがいつも確実に得られる安心感は頼もしい。

センターディスプレイにはドライブモード切替の画面を呼び出すアイコンがある。一般的にはコレを押すと、ノーマルとかスポーツとかダイナミックとかエコの表示が現れるのだけれど、このクルマの場合は、スタンダードかオフロードかの選択と、「ステアリング操作感」「サスペンションフィール」のそれぞれにソフト/硬めの選択があるのみだ。これは「さまざまな制御は状況に応じてクルマ側が自動的に最適化しますのでご安心ください」という意味でもある。細かいモード切替が備わっているクルマもあるが、結局のところそれらを完璧に使いこなすことは現実的に難しい。それならば、基本的なところはクルマに任せて、感覚的個人差が大きい部分のみ選択できるようにしているのである。

いつも車両のことを丁寧に説明してくださるボルボのスタッフが「引き算の美学みたいなものでしょうか」とおっしゃっていた。まさしくその通りであり、デザインにしても機能にしても乗り味にしても、XC60には一貫してその美学が貫かれていると思った。

【SPECIFICATION】ボルボXC60 ウルトラB5 AWD

■車両本体価格(税込)=8,790,000円
■全長×全幅×全高=4710×1900×1660mm
■ホイールベース=2865mm
■トレッド=前:1655mm、後:1655mm
■車両重量=1900kg
■エンジン形式/種類=B420T11/直列4気筒DOHC 16V+ターボ
■総排気量=1968cc
■最高出力=250ps(184kW)/5400-5700rpm
■最大トルク=360Nm(36.7kg-m)/2000-4500rpm
■モーター型式/種類=3303/交流同期電動機
■モーター最高出力=10kW/3300rpm
■モーター最大トルク=40Nm/2250rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■燃料タンク容量=56L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=12.7km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:ダブルウィッシュボーン、後:マルチリンク
■ブレーキ=前&後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前&後:235/55R19
問い合わせ先:ボルボ・カー・ジャパン TEL:0120-922-662

【画像28枚】どこが変わった? ベストセラーSUV、新型ボルボ XC60の洗練された内外装のディテールをすべて見る

フォト=郡 大二郎/D. Kori

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