コラム

「10年・30万km保証」の衝撃。BYDが本気で挑む、EVバッテリー不安の完全払拭策とは

BYDドルフィン
BYDドルフィン
BYDが掲げる認定中古車の商品効果策。
パワーバッテリーSOoH延長保証の概要。
EV購入の不安

EV所有における不安を解消

日本に上陸して約2年半。BYDオートジャパンがEV普及に向けて新たな戦略を打つ。キモになるのは、ユーザーのバッテリーに対する不安解消だ。一般的に、EVと聞くと「電欠になったら大変だ」とか「スマホのように電池が劣化したら、頻繁に充電する必要があるのか?」といったイメージがある。

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リセールバリューを向上させて新車販売との好循環へ

実際、BYDオートジャパンがオートサロン2025で、来場者に「EV購入にあたり、不安な点はありますか?」というアンケート調査を行ったところ、バッテリーの寿命等(16%)、バッテリー交換などアフターメインテナンス(9%)、そしてバッテリー劣化に伴うリセールバリュー(5%)となり、それら合計で30%に達した。

EV購入の不安

EV購入にあたっての不安な点のアンケートデータ。

そのほかの回答選択肢である、購入価格(26%)、充電(11%)、ランニングコスト(10%)と比べてもバッテリーに対する懸念や不安が高いことが分かる。見方を変えると、EVを売却する時、または中古EVを購入することに対する不安解消が必要だと言える。
そこで、BYDオートジャパンでは「認定中古車の商品強化」に焦点をあてて、3つの戦略を組み合わせることになった。まず、バッテリーの保証条件を強化する。これまで最長8年・15万kmでバッテリー劣化70%を保証してきたが、新たに設定したオプションプランでは、最長10年・30万kmまで条件を延長できる。

パワーバッテリーSOoH延長保証の概要。

パワーバッテリーSOoH延長保証の概要。

価格は「DOLPHINE(ドルフィン)」で2万円、また現在のラインアップで最も高価な「SEALION(シーライオン)AWD」で3万1000円。加入率をモデル別で見ると、4月〜5月の登録ベースで「SEALION」が30%で最も高く、「SEAL(シール)」と「DOLPHIN」がそれぞれ9%、ATTO3(アット3)が6%だった。

次に、バッテリー状態の見える化だ。航続距離、急速・普通それぞれの充電回数、バッテリーの定格容量などをパラメーターとして、バッテリーの電圧、温度、内部抵抗等をスコア化して総合評価する。願わくば、こうしたシステムをEVを製造するメーカーで標準化してほしい。

そして、中古EVのメインテナンスパッケージだ。一般的に、内燃機関車は構成部品が多く、また長期間使用における劣化が避けられず、中古車となれば各種部品の交換時期やコストが気になる。

BYDが掲げる認定中古車の商品効果策。

BYDが掲げる認定中古車の商品効果策。

一方、EVの場合、バッテリーの劣化を考慮するのは当然だが、その他の部品についてはICE(内燃機関)と比べて寿命が長い、または交換部品の点数が少ないことが考えられる。こうしたEVのメリットを反映した中古EVのメインテナンスパッケージを開発する。認定中古車の商品力が上がれば、自ずとリセールバリューが上がり、新車販売での好循環が期待できる。BYDオートジャパンの新たなる試みの行方を注視したい。

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