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この記事の公開日は2025年7月28日。今から44年前の今日――すなわち1981年7月28日に発売された名車(に追加されたモデル)をご存じであろうか? 日産レパードの初代モデル(および姉妹車レパードTR-X)のターボである。
【画像39枚】ターボを含めた初代「レパード/同TR-X」の詳細や、当時の日産ターボ車を見る!
2Lターボは全12モデルで展開
レパードは1980年9月に新規車種として登場した。このニューモデルは、それまでセドリック/グロリアに設定されていた2ドア・ハードトップを受け継ぐ形で生まれた、上級スペシャリティカーであるが、それと同時に、ブルーバードの6気筒モデルを発展させたものでもあった。
ボディは2ドアと4ドアのハードトップという2つが用意され、そこに搭載されるエンジンは、直4 1.8LのZ18、直6 2LのL20E、同じく直6 2.8LのL28Eで、全3種類。なお、レパードTR-X(トライエックス)は、当時の日産チェリー系販売会社向けに設けられた姉妹車である(本体のレパードは日産系販売会社向け)。
当記事の本題である、デビューから10ヶ月後に加わったターボ・モデルとは、L20Eにターボチャージャーを装着したL20ETを搭載するモデルのことだ。このエンジンは1979年10月に430型系セドリック/グロリアに積まれてデビューしたもので、最高出力145ps/最大トルク21.0kg-mを発揮。またレパードへの搭載に際して、L20ETにはECCSが初めて組み合わされた。ECCSとは430セドリック/グロリアの2.8Lモデルで初採用された、エンジン集中電子制御システム(出力・燃費などが最良となるようコンピューターで制御)のことである。
この2Lターボは2ドア/4ドアともに設定され、グレード構成は下からGX/SGX/ZGXの3種類。この3グレードは、既存のラインナップとは別にターボ車用のグレードとしてネーミングされたものである。3つのグレードが2種類のボディどちらにも設けられ、それぞれに5速MTと3速ATの2つのミッションが組み合わされて、合計12モデル。ただし、レパードTR-XではどちらのボディもGXにのみATの設定がなかったので、全10モデルだった。
当時の販売価格は、車種(レパード/レパードTR-X)・ボディ(4ドア/2ドア)が違っていてもグレード別に共通で、GXは178.6万円、SGXは203万円、ZGXは243.7万円。いずれも5速MT、東京地区での価格となる。
当時の日産ターボ攻勢を振り返る
1980年代初頭はトヨタと日産でそれぞれ、ハイパワーエンジンの主力をDOHCとするかターボとするかで立場を異にし、互いに優劣を競っていた時期であった。これはやがてDOHCにターボを組み合わせることで決着がつくのであるが、当時の日産が採ったターボ攻勢を懐かしく思う方も少なくないのではないだろうか。そこで、以下、レパード/レパードTR-Xにターボが追加されるまでに登場した日産ターボ車を簡単に振り返ってみよう。
前述の通り、日産製市販車初のターボ車となったのはセドリック/グロリアであった。スカイラインやフェアレディZのようなスポーティモデルがここに選ばれなかった理由が、ターボ=高効率・省エネということで運輸省(当時)の認可を受けやすくするためであったことは、有名な話であろう。
とはいえ、上級モデルのSGLエクストラにターボを組み合わせただけでなく、セドリック/グロリアには一見不釣り合いなスポーティグレードのターボSが設定されていたのは面白い。このターボSは、4輪ディスクブレーキやアルミホイール、固められたサスペンションなどが装着されたモデルであった。これが後のグランツーリスモにつながった……とも言えるかもしれない。
次に登場したのは、同じL20ETを搭載したスカイライン……ではなく、910型ブルーバードのSSS系にターボを搭載したモデルで、1980年3月のことである。ブルーバードSSSには直4 2LのZ20Eと同 1.8LのZ18E搭載モデルがあったが、ターボが装着されたのは後者の方で、最高出力135ps/最大トルク20.0kg-mを発生した。ここではセダン/ハードトップともに4グレードを用意している。
そしてこの次に発売されたのがGC210型スカイラインのターボGTで、ブルーバードにひと月足らず遅れて1980年4月のことであった。搭載されたのはもちろんL20ETでセダン/ハードトップともに4グレードを設定、スカイライン久々のホットモデル復活として人気を集めたのである。さらに1980年11月に登場したC31型系ローレルにも、デビューと同時にターボモデルをラインナップ。これも同じくL20ET搭載車で、セダンとハードトップに各1グレードずつの設定だった。
翌1981年5月には、S110型系シルビア/ガゼールのマイナーチェンジを機にターボ車を追加。これはブルーバードと同じZ18ETを載せたものである。シルビア/ガゼールともに、ハードトップ/ハッチバックそれぞれへターボ搭載車2グレードを設定していた。そしてこの後に来る日産第6のターボ車が、レパード/レパードTR-Xとなる訳である。さらにこの後へフェアレディZやサニーなどが続くが、これについては省略しよう。