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なぜ新型「CLA」は「革命」なのか? JMS 2025で明かされたメルセデス・ベンツの次世代戦略と新技術の全貌

ジャパンモビリティショー2025速報:メルセデス・ベンツ、次世代戦略車「新型CLA」を日本初公開

現在開催中のジャパンモビリティショー2025(JMS 2025)において、メルセデス・ベンツが次世代戦略の中核を担う新型車を日本初公開した。その名は、新型「CLA」。フルモデルチェンジを果たし、電気自動車(BEV)のラインアップを加えて登場したこのモデルは、メルセデス・ベンツが「新たなエントリーモデルファミリーの第一弾」と位置づける、極めて重要な存在である。

【画像24枚】流麗な「シャークノーズ」と光るスターグリル。JMS 2025で日本初公開された新型「CLA」の全貌を写真でチェック

キーワードは「進化」ではなく「革命」。新「MMA」プラットフォームがもたらす革新

2025年10月29日のプレスデーに実施されたウォークアラウンドで、本国のCLAプロダクトマネージャー、レナ・ブルネンバーグ氏が登壇し、この新型車に込められた並々ならぬ自信を覗かせた。
「重要なのは、このクルマは単なる『Evolution(進化)』ではなく、『Revolution(革命)』であるということです。これはメルセデスがこれまでに製造した中で最も知性的なモデルであり、新たなモビリティの未来を再定義します」

彼女が「革命」と断言する背景には、新型CLAが全く新しい「MMA(メルセデス・ベンツ モジュラー アーキテクチャ)」プラットフォームを初めて採用したモデルであるという事実がある。デザイン、効率性、そして知性。そのすべてにおいて、既存の概念を覆す革新性を秘めているのだ。

航続距離792kmの鍵は「Cd0.21」。デザインと驚異的な空力性能の融合

まず目を奪われるのは、そのデザインだ。スポーティな「シャークノーズ」形状のフロントエンド、長く伸びやかなホイールベース、そして流麗なクーペシルエットを描くCピラー。それらが融合し、アスリートのような力強さとエレガンスを視覚的に表現している。 だが、このデザインは単なる造形美にとどまらない。エアロ最適化ホイールや徹底的にフラット化されたアンダーボディなど、細部にわたる空力処理により、Cd値(空気抵抗係数)は0.21という驚異的な数値を達成した。

この卓越した空力性能こそが、新型CLAの圧倒的な効率性の基盤となっている。ブルネンバーグ氏は、この数値がもたらす電費効率について、次のように胸を張った。
「(Cd値0.21は)卓越した数値です。そして何より、100kmあたり12.2kWhという驚異的なエネルギー消費量にも貢献しています」

欧州仕様のCLA 250+ with EQ Technology(200kWモデル)の複合エネルギー消費量は14.1~12.2kWh/100km。これにより、一充電での航続距離はWLTPモードで最大792kmという、長距離ドライブにも不安を抱かせない実用性を獲得している。

「給油と同等」わずか10分で325km800Vシステムと新世代バッテリーの威力

この航続距離と効率性を技術的に支えるのが、800Vシステムを核とする新世代の電動パワートレインだ。大容量85kWの高性能リチウムイオンバッテリーは、アノード(負極)材料にグラファイトとシリコン酸化物を混合した新素材を採用することで、従来のバッテリーと比較して重量あたりのエネルギー密度を約20%も向上させた。

この800Vアーキテクチャの最大の恩恵は、充電時間の大幅な短縮にある。最大320kWの急速充電に対応し、理想的な条件下では、わずか10分間で最大325km走行分のエネルギーを充電することが可能だ。ブルネンバーグ氏はその速さを
「従来の(内燃機関の)クルマに給油するのと全く同等です。わずか10分です。中に入って支払いをする間に完了します」
と表現し、EVの実用性が新たなステージに達したことを強く印象付けた。

走りにおいても革新が図られている。リアアクスルには、メルセデス・ベンツが新たに開発した2速トランスミッションが搭載された。

「(この2速トランスミッションは)1速は停止状態からの加速に最適で、非常に高速です。2速は高速道路での走行に使います」
とブルネンバーグ氏が説明するように、1速ギアが発進時の力強い加速性能と市街地走行での高いエネルギー効率を両立し、2速ギアが高速巡航時の効率性と快適性を担う。これにより、あらゆる走行シーンでダイナミズムと効率性の両立が図られている。

クルマが「時間とともにより良く」なる。運転支援システムもOTAアップデートに対応

そして、新型CLAを「革命」たらしめる最大の要因が、メルセデス・ベンツ史上「最も知性的」と称されるその頭脳、自社開発の新オペレーティングシステム「MB.OS」の初の全面的採用である。AIによって強化され、メルセデス・ベンツ・インテリジェント・クラウドに接続されたスーパーコンピューターを搭載することで、この車は単なる移動手段を超えたインテリジェントなパートナーへと変貌を遂げた。

MB.OSは、第4世代へと進化したMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)の基盤となり、ハイパーパーソナライズされたデジタル体験を提供する。その象徴が、オプションで設定される「MBUX スーパースクリーン」だ。ウォークアラウンドで披露された車両には、運転席の10.25インチ(26cm)ディスプレイ、中央の14インチ(35.6cm)メディアディスプレイ、そして助手席の14インチ(35.6cm)ディスプレイが、一枚の広大なガラスパネルのもとに美しく統合されていた。また、ナビゲーションシステムはGoogleマップの情報を参照し、「MBUXサラウンド・ナビゲーション」によってリアルタイムで周囲の状況を3Dで描き出す、極めて直感的で革新的なルート案内を実現している。

MB.OSの真価は、その学習能力と「拡張性」にある。車両はOTA(オーバー・ジ・エア)アップデートにより、常に最新の状態に保たれる。ブルネンバーグ氏が特に熱を込めて語ったのは、そのアップデート範囲がインフォテインメント領域に留まらない点だ。

「(MB.OSにより)初めて、運転支援システムのためのOTAアップデートも提供します。つまり、クルマは時間とともにより良くなっていきます」

SAEレベル2の高度な運転支援システム「MB.DRIVE ASSIST」も、OTAによって将来的に機能が向上していくことを意味する。なお、日本では、ウインカーレバーの操作だけでクルマが自動的に車線変更を行うレーンチェンジアシストも標準装備として提供されるという。

142個のLEDが輝くグリルと、一枚ガラスの「パノラミックルーフ」

エクステリアデザインの細部も、次世代モデルとしての個性を際立たせている。フロントグリルは、個別にアニメーションする合計142個のLEDによるクローム調のスターが散りばめられた「フルイルミネーション」仕様となり、圧倒的な存在感を放つ。ヘッドライトとテールライトもスターシェイプのデザインを採用し、それぞれがライトバンドで結ばれることで、昼夜を問わず一目で新型CLAとわかるアイデンティティを確立している。

インテリアでは、ラウンドジェットエンジンにインスパイアされたというイルミネーション付きのエアベントや、スマートフォン用のワイヤレスチャージングパッドを備えた2段構造のセンターコンソールが、機能美を追求した空間を演出する。

さらに、標準装備となったパノラミックルーフは、中央にフレームを持たない一枚ガラス構造を採用。フロントガラスからリアまでシームレスに広がり、遮光・断熱コーティングが施されているため、太陽光の熱を気にすることなく、圧倒的な開放感を享受できる。

実用面においても抜かりはない。このセグメントでは珍しく、101Lの容量を持つフロントトランク、いわゆる「フランク」を新たに採用。405Lのリアトランクと合わせることで、先代モデル以上のカーゴスペースを確保し、日常の使い勝手も高められている。

BEVだけではない。「MMA」プラットフォームの柔軟性とハイブリッドモデルの存在

なお、この革新的なMMAプラットフォームはBEV専用ではなく、メルセデス・ベンツが開発した4気筒1.5Lエンジンを搭載したハイブリッドバージョンも今後ラインアップされる予定であることも明かされた。新型CLA(クーペ)は、今後登場するシューティングブレーク、そして2台のSUVを含む、合計4つのモデルファミリーの先陣を切るモデルとなる。

ジャパンモビリティショー2025のメルセデス・ベンツブースで、ひときわ強い輝きを放つ新型CLA。それは、メルセデス・ベンツが電動化と知性化の未来に向けて放った、明確かつ強力な「革命」の狼煙(のろし)と言えるだろう。

【画像24枚】流麗な「シャークノーズ」と光るスターグリル。JMS 2025で日本初公開された新型「CLA」の全貌を写真でチェック

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
フォト=竹内耕太/K. Takeuchi
LE VOLANT web編集部

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