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“6輪ショーファー”か、“4シータースポーツ”か? レクサスが「LS」の名で再定義した「フラッグシップ」の答え【JMS 2025】

センチュリー独立で変わる勢力図。レクサスが担う「量産ラグジュアリートップ」の責務

トヨタグループのブランド戦略が新たな章に突入した。センチュリーが「Top of Top, One of One」として、別格のハイエンドブランドとして独立した今、レクサスは新たな、そして極めて刺激的な役割を担うことになった。それは、「“量産ラグジュアリーのトップ”」として、より大胆で革新的な挑戦を追求するポジションである。ジャパンモビリティショー2025(JMS 2025)の会場からレポートする。

【画像98枚】「平日の6輪」と「週末のクーペ」。レクサスが“再定義”した2台のフラッグシップを徹底比較

これが新フラッグシップ。レクサスが“DISCOVER”を体現した6輪ショーファーカー

この新戦略の下、レクサスが掲げたテーマは「“DISCOVER”」。誰の真似もせず、自信にあふれ、冒険的で革新的であること。まさにその言葉を体現するかのように、彼らが提示した「新たなフラッグシップ」の姿は、我々の想像を遥かに超えるものだった。

まず我々の度肝を抜いたのは、「LSコンセプト」と名付けられた6輪のショーファーカーだ。そう、6輪である。これは単なる奇をてらったコンセプトスタディではない。レクサスが「これからのショーファードリブン」のあり方を、セダンという固定概念から離れてゼロから再定義した結果、辿り着いた必然の形だという。

チーフエンジニアによれば、この挑戦の背景には、かつてのエグゼクティブセダン中心の時代から、人々がSUVの台頭に象徴される「これまでとは異なる体験」を求めるようになった現代への深い洞察がある。レクサスは、新たなフラッグシップを「Luxury Sedan」でも「Luxury SUV」でもなく、「Luxury Space(LS)」=「究極の移動空間」として定義し直したのだ。

市販化も本気。6輪がもたらす「ストレスフリーな乗り降り」という絶大な恩恵

では、なぜ6輪が必要だったのか。答えは「室内空間の最大化」と「今までにない快適さ」、そして「乗り降りする際の所作の美しさ」の追求にある。後輪をあえて小径(コンセプトでは12インチ)のダブルタイヤとすることで、サスペンションの張り出しなどを最小限に抑え、より広く、低い開口部を確保。これにより、乗員は美しく、ストレスフリーな乗り降りが可能となる。

その恩恵は絶大だ。従来の3列シート車のように2列目を倒して乗り込む必要がなく、3列目にも広々とした空間が確保され、快適なアクセスが実現している。室内は、空が見えるサンルーフも相まって、まるで“我が家”のようなプライベートなラグジュアリー空間だ。さらに驚くべきは、2列目シートが180度回転し、車内ミーティングさえ可能にするという柔軟性である。

どうやら、高級車=セダン、という固定概念は既に旧時代のものとなっているようだ。時代とともに変化する需要に対し、レクサスが柔軟に応えた、まさに「目からウロコ」の提案。そして何より、チーフエンジニアが「ただのコンセプトモデルではなく、本気で市販化を目指して開発を進めています」と明言しているのも心強い。この6輪の「ラグジュアリー・スペース」が現実の道を走る日に期待したい。

対極の提案。「週末に自分が運転を楽しむ」LSクーペコンセプト

「LSコンセプト」が「ショーファーとして平日に乗るクルマ」であるならば、同時に発表された「LSクーペコンセプト」は、対極の存在だ。すなわち、「週末に自分が運転をして楽しむクルマ」である。

このモデルは、LSコンセプトシリーズの一部でありながら、そのベクトルは明確にドライバーへと向けられている。レクサスのシグネチャーマテリアルであるバンブー(竹)や、螺鈿(らでん)細工といった上質な日本の美しさを織り込みながら、インテリアはLSの空間的世界観を共有しつつも、よりスポーティでエモーショナルなテイストが施されている。

全員が走りを楽しむ。真の「4シーター・フラッグシップクーペ」という設計思想

このクーペの設計思想で最も興味深いのは、「ドライバーだけでなく、助手席、後部座席に乗っているすべてのパッセンジャーが同じようなラグジュアリーな空間で走りを楽しむ」というテーマだ。これは単なる2+2ではなく、最初から大人4人が快適な空間でスポーティなドライブを心から楽しむために設計された、真の4シーター・フラッグシップクーペなのである。

その思想を具現化するのが、革新的なリアのモニターシステムだ。リアシートの乗員は、この画面を通じてドライバーが見ている風景(運転映像)を共有し、あたかも自らドライブしているかのような感覚を体験できる。さらに、モニターにドライバーの顔を映し出し、モニター越しに会話することも可能だという。これは、単なる移動ではなく、「走る体験」そのものをラグジュアリーな空間で共有するための、新しい提案だ。

センチュリー独立で解き放たれた、レクサスの「大胆な翼」

レクサスが提示した2台のLSコンセプト。「ショーファードリブンで快適空間で過ごすか?」「自らステアリングを握ってアクティブに過ごすか?」。この問いかけこそが、レクサスの新たな「DISCOVER」の答えなのではないだろうか。

センチュリーという絶対的な頂点が生まれたことで、レクサスは「量産ラグジュアリーのトップ」として、かつてないほど自由に、大胆に、その翼を広げ始めた。セダンやSUVという既存の枠組みにとらわれず、人々の価値観の変化に寄り添い、革新的なラグジュアリーの世界を提唱する。レクサスは今後も目が離せない存在であり続けるだろう。

【画像98枚】「平日の6輪」と「週末のクーペ」。レクサスが“再定義”した2台のフラッグシップを徹底比較

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。

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