










静寂の「アイス」に、透き通る「ブルー」。心を整える、移動する聖域
ベントレーモーターズジャパンは2025年12月18日、ラグジュアリーSUV「ベンテイガ」の特別仕様車「Bentayga Something Blue Collection by Mulliner(ベンテイガ・サムシングブルー コレクション バイ マリナー)」を発表し、同日より受注を開始した。日本国内限定わずか10台という希少なモデルであり、希望小売価格は3400万円(税込)。結婚式で花嫁が身につけると幸せになれるとされる「サムシングフォー」の言い伝えに着想を得て、ベントレーのビスポーク部門であるマリナーが丹念に仕立てた、優雅な物語を宿す一台である。
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幸せを呼ぶ「サムシングブルー」の物語
本コレクションのテーマは、花嫁に幸運をもたらす4つのアイテム「サムシングフォー(Something Four)」の一つ、「サムシングブルー(Something Blue)」だ。しかし、この特別な物語は、ハレの日だけのためにあるのではない。コンセプトは「今を生きる女性のそばに、Something Blueがある」こと。

このモデルにおける「サムシングブルー」は、誠実さや透明感を象徴するブルーや、晴天の空を映したようなスカイブルーなど、澄み渡る青のニュアンスをイメージしている。それは、現代を忙しく生きる女性の毎日に静かに寄り添い、心を整え、時に前へ進む勇気を与える「プロテクティブチャーム(お守り)」として表現されているのだ。日常の移動そのものを豊かなひとときへと変えるパートナーとしての役割が、この車には込められている。
凛とした佇まいのエクステリア
エクステリアカラーには、クールなメタリックホワイトである「Ice」が採用された。過度に主張することなく、洗練された上質感と凛とした表情を併せ持つその佇まいは、日本の女性ならではの美意識や謙虚さ、奥ゆかしさを体現しているという。
さらに本コレクションでは、ブレーキキャリパーもボディカラーと同色の「Ice」で仕上げた、マリナーによる「Standard Brakes with Ice Painted Calipers by Mulliner」を採用している。ホワイトの陰影に溶け込みながら、足元に凛とした統一感とさりげない特別感を添えている。これは2025年モデルをベースとする本コレクションのためにマリナーが特別に仕立てた専用仕様であり、その希少性を静かに物語るディテールだ。
マリナーが仕立てる至高のインテリア
インテリアのベースとなったのは、快適性とウェルビーイングを追求した「ベンテイガ アズール」である。のびやかな空間と澄んだ静けさを備えたアズールが、「サムシングブルー」の美意識を一層引き立てている。
内装色は、メインハイドに「リネン」、セカンダリーハイドに「グラヴィティグレー」を組み合わせ、清らかなトーンと深みのある陰影が調和する端正でエレガントな空間に仕立てられている。ウッドパネル類もハイドに合わせ、インストルメントパネルやドアのウエストレイル、コンソールには「ピアノリネン」を、センタースタックには「ピアノグラヴィティグレー」を配することで、柔らかな明度の中にモダンなコントラストを創出した。
そして、コレクションの象徴であるライトブルーのアクセントが随所に施されている。シートおよびヘッドレストのパイピングとステッチ、ベントレーウィングの刺繍、さらにはディープパイルのオーバーマットの縁取りに至るまで繊細なブルーがあしらわれ、クリーンな基調色の中に凛とした華やぎを添えている。

特に注目すべきは、助手席側のインストルメントパネルだ。ここには、ブルーベル(日本名:ツリガネズイセン)をモチーフにしたクローム&ブルーのビスポーク・オーバーレイがレイアウトされている。釣鐘のような花姿からその名がついたブルーベルの花言葉「変わらぬ愛」「謙虚さ」に想いを重ねたシルエットが静かに浮かび上がり、インテリア全体の世界観を象徴的に彩っている。
また、足元のトレッドプレートも、サテンとクロームで仕上げられた専用デザインとなっており、ブルーダイヤモンドのラウンドブリリアントカットを想起させる意匠が、乗り込む瞬間から唯一無二の特別感を印象づける。
余裕あるスペックと価格
パワートレインには3996ccのV8エンジンを搭載し、最高出力550ps(404kW)、最大トルク770Nmを発揮する。0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は290km/hというパフォーマンスを誇りながら、車両重量2416kgのボディを軽やかに走らせる。
この特別なコレクションは、子どもの送り迎えから週末のランチ、家族のための買い出しや自分のショッピングまで、行動範囲の広い女性のライフスタイルに必要な「余裕あるスペース」と「ストレスのない使いやすさ」、そしてふとした瞬間に気分を高めてくれる「ときめき」を満たすよう設計されている。
価格は34,000,000円(税込)。日本国内の正規販売店にて、選ばれたオーナーを対象にオーダーが可能となっている。デリバリーは順次開始される予定だ。
【ル・ボラン編集部より】
ベンテイガに乗ってみて感銘を受けるのは、物理的な速さ以上に、乗る人の心を整える「走る聖域」としての資質だ。今回の限定車もその系譜にある。ベースにウェルビーイングを重視した「アズール」を選んだ点は理に適っており、V8エンジンの軽快な回頭性とマリナーの静謐な仕立ては、都市の喧騒を忘れさせる。単なる「女性向け仕様」という言葉では片付けられない。3400万円という対価は、日常の移動を精神的な充足の時間へと変える、ベントレー流の「お守り」への投資と捉えれば、そこに確かな説得力が宿る。
【画像11枚】ツリガネズイセンの象嵌に、氷色のキャリパー。マリナーが細部に宿した「幸せの青」を確認する