最後のFR(のみの)スプリンター
久しぶりの当連載、第54回はトヨタ・スプリンターの4代目モデル(E70型系)のカタログをご覧いただくこととしよう。
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1980年代を見据えた直線基調ボディが特徴
今ではもうなくなってしまった車名であるスプリンターだが、かつてはカローラの姉妹車として、トヨタを支えた車種のひとつであった。その誕生は1968年のこと、それより1年半前にデビューしていた初代カローラのクーペ・バージョンとして世に送り出されたのが、スプリンターだったのである。そのため、この時の車名はカローラ・スプリンターであった。
1970年にはカローラとともにフルチェンジし2代目へと移行、このとき車名もスプリンター単独となる。カローラにもクーペが加わるとともに、スプリンターにも遅れてセダンが追加され、以後、ほぼ同じボディバリエーションを共有する姉妹車として歴史を重ねていったのである。スプリンターの性格づけとしては、カローラより若干スポーティかつ上級というイメージが持たされていた。
今回の本題である4代目スプリンターが登場したのは1979年3月、カローラと同時のモデルチェンジであった。ボディは4ドア・セダン、2ドアのハードトップ、3ドアのファストバック・クーペとリフトバックの4種類で、カローラに存在した2ドア・セダンやワゴン/バンはスプリンターには用意されない。ボディは来るべき1980年代を見据えた直線基調のシャープなスタイリングに生まれ変わっており、ホイールベースは先代より30mm延長されていた。
シャシーレイアウトはFRだが、次のE80型系ではFFとなるので(トレノ除く)、スプリンター全体としてはこの世代が最後のFRとなる。サスペンションは前ストラット/後4リンク。ブレーキは全車フロントにディスクを採用している。エンジンは1.3L 直4OHVの4K-U(72ps)と1.5L 直4OHCの3A-U(80ps)を基本に、スポーツモデル用として1.6L 直4DOHCの2T-GEU(115ps)があり、合計3種類。
エンジンラインナップにはデビューからすこし遅れて1.8Lが加わったが、1981年のマイナーチェンジでこれは廃止。このとき、セダンも2/3ドアに合わせたスラントノーズにデザインを変更、また2/3ドアのそれもセダン同様に、ヘッドライトをボディと面一化したデザインに改められた。そして1983年5月にはカローラとともにフルモデルチェンジを行い、5代目・E80型系へと移行している。

俯瞰ぎみのフロントからのカットと、サイドビューとを重ねた、凝ったレイアウトの表紙。どちらも全体は写っておらず、ふたつを合わせて見せることで車両全体への想像を掻き立てるデザインとなっている。どちらがメインのカットと言えるかは微妙だが、妙にハッキリとシートが見えていたり、樹の影が写り込ませてあったりと、フロントからのカットの方が妙に手が込んでいるようだ。
スポーティかつ上級感を強調したカタログ
というわけで、ここでご覧いただいているのはこのE70型系スプリンターの後期型、セダンを除く3つのボディタイプ、すなわちハードトップ/クーペ/リフトバック専用のカタログである。サイズは298×245mm(縦×横)、ページ数は表紙を含めて全32ページ。表4下に「このカタログの内容は昭和57年5月現在のものです。」とある通り、発行は1982年5月であろう(記載されているコードも下4桁は「5705」だ)。
カタログ自体の作りには特に変わった所もなく、使用されている紙もありふれた光沢紙である。とはいえ、スプリンターそのものがカローラよりほんの少し上級イメージで売っていたこと、スペシャルティ・イメージの強い2ドア・ハードトップをはじめとした、セダン以外のボディ形式の掲載カタログであることのふたつから、決して安っぽいカタログにはなっていないことは指摘できるだろう。
実はE70型系スプリンターは、筆者が幼少時の我が家のクルマだったこともあり、非常に懐かしい存在である。それはホワイトの前期型4ドア・セダンで、グレードは確か1.3のXLであった。XL自体はけっして下級グレードではなかったが所詮1.3L車であるから、ダッシュボードにはあちこちグロメットがはめられていた。それについて父親に「これは何?」と訊いたところ、「これは飾りだ」と返答されたことをよく覚えている。
前期型セダン1300XLの内装は黒のビニールレザーに白黒のハウンズトゥース(千鳥格子)というコンビネーションであったが、同じような仕立ての車両をこのカタログの中に見つけることはできない。近いようで遠い、微妙な距離感にヤキモキさせられる、筆者にとってはそんなカタログだ。
なお、便宜上タイトルもここまでの本文も型式名を「E70型系」としているが、すこし細かく言うと、1.6Lツインカム車がTE71、1.5L車がAE70、1.3L車がKE70となる。
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