もう、形式ばってなんていられない
「これは、本気だな」
自動車メーカー各社トップと対峙しながら、そう強く感じた。自動車メーカーでつくる業界団体・日本自動車工業会(以下、自工会)は2026年1月22日、「新7つの課題」について報道陣向け説明会を開いた。
【画像24枚】異例のラウンドミーティングのような質疑応答形式となった自工会の説明会の模様
改革への危機感と「新7つの課題」
自工会は年に数回、定例会見を開いているが四輪車についてこうした説明会を実施するのは珍しい。しかも、説明会の会場では、1月1日に自工会会長に就任したトヨタの佐藤恒治社長を中心に自動車メーカー各社のトップの自工会副会長が並ぶも、その前に机はなく、いわゆるラウンドミーティングのような質疑応答形式となった。オフレコではないので会長と副会長の言葉はそのまま報道されるが、定例会見と比べると会長と副会長の発言は形式張っておらず、まさに本音が聞けた。
こうした報道陣との接し方をも自工会が変えようとしている背景には、日本の自動車産業が直面しているさまざまな課題をスピーディかつ的確に解決するには、あらゆる面での抜本的な改革が必須だという自工会としての意識の変化がある。
そのため、自工会が今回提示した「新7つの課題」は、これまで以上に「本気度」が高い。新7つの課題とは、次の通り。
① 重要資源・部品の安全保障
② マルチパスウェイの社会実装
③ サーキュラーエコノミー(CE)の仕組みづくり
④ 人材基盤の進化
⑤ 自動運転を前提とした交通システムの確立
⑥ 自動車関連税制抜本改革
⑦ サプライチェーン全体での競争力向上
エンジン部品の標準化まで踏み込む
以上のように、新7つの課題は多岐にわたり、優先順位をつけるのは難しい。その上で、佐藤会長が指摘した重要度が高い案件は①と⑦だ。急変する国際情勢の中で、日本の自動車産業が「安定的な生産を確保すること」の重要性が極めて高いと強調した。
自動車関税(いわゆるトランプ関税)だけはなく、トランプ政権ではベネズエラ攻撃を実行したほか、グリーンランド領有権取得についての様々な発言がある。また、中国の日本に対するレアアース規制など、政治的な要因が自動車産業に与える影響は計り知れない。さらに、サプライチェーンについては「戦略的水平分業として、OEM(メーカー)間の仕様標準化・協調領域拡大」の議論を進める。その中では、なんと「エンジン(およびエンジン部品)の部品標準化」まで踏み込む可能性を示した。
ユーザーが感じている何十倍も、日本の自動車産業界が直面している状況は厳しいのだと、今回の説明会を通じて痛感した。日本のクルマ業界がこれからどのように変化していくのか、その動向を今後も詳細にウォッチしていきたい。
【画像24枚】異例のラウンドミーティングのような質疑応答形式となった自工会の説明会の模様