コラム

なぜ「一本ワイパー」は姿を消したのか。W124が誇った「86%の視界」と、空力が導いた進化の必然【メルセデス安全原論 04】《LE VOLANT LAB》

1985年モデルの初代Eクラス/W124では、ウインドシールドの86%の払拭面積が可能。重なり合うセンター部分の拭き残しをなくするために、この一本のパノラマワイパーは、アームがカムによってセンター部分が大きく伸び、伸縮しながら独特の弧を描く。
メルセデス・ベンツはウエストラインが高く、ドライビングポジションが高いので司会に優れる。写真はEクラス/W214 AMGライン。
メルセデス・ベンツはウエストラインが高く、ドライビングポジションが高いので司会に優れる。写真はSクラス/W222。
夕方でもドライビングポジションが高いので見やすく安全走行できるメルセデス・ベンツ。写真は歴代のEクラス走行。
死角を少なくし十分な視界を確保する知覚安全性。写真はEクラス/W214。
死角を少なくし十分な視界を確保する知覚安全性。写真はW124。
メーター類がドライバー側のダッシュボードをさらに盛り上げ、ひさしの中央にセットしてあるので、ドライバーがハンドルを握りながら前方視界よりほんの少しだけ「目線を落とす」だけで、乱反射なく容易に読みやすく確認でき、運転に集中でき安全。写真はEクラス/W213。
1983年モデルの2代目コンパクトシリーズ/W123。2本のワイパーアーム方式で重なり合うセンター部分の近くにどうしても拭き残しがあり、ウインドシールドの78%の払拭面積。
1985年モデルの初代Eクラス/W124では、ウインドシールドの86%の払拭面積が可能。重なり合うセンター部分の拭き残しをなくするために、この一本のパノラマワイパーは、アームがカムによってセンター部分が大きく伸び、伸縮しながら独特の弧を描く。
1985年モデルの初代Eクラス/W124では、ウインドシールドの86%の払拭面積が可能。重なり合うセンター部分の拭き残しをなくするために、この一本のパノラマワイパーは、アームがカムによってセンター部分が大きく伸び、伸縮しながら独特の弧を描く。
1985年モデルの初代Eクラス/W124では、ウインドシールドの86%の払拭面積が可能。重なり合うセンター部分の拭き残しをなくするために、この一本のパノラマワイパーは、アームがカムによってセンター部分が大きく伸び、伸縮しながら独特の弧を描く。
5代目Eクラス/W213のフロントワイパーは、先代Eクラス/W212と同じく広い拭き払い面積を誇る新たな2本アーム式ワイパーを採用。
5代目Eクラス/W213のフロントワイパーの新たな2本アーム式ワイパーシステムの図解。
フロントウィンドウ上部の「レインセンサー」が雨滴の量を感知し、ワイパーの作動を自動調整する。
ワイパーが作動しない場合はボンネット内に格納され視界を妨げない。
メルセデス・ベンツ独自の優れた知覚安全を誇るインテリジェントライトシステムが、あらゆる走行条件で常に最適な視界を確保。写真はEクラス/W213。
メルセデス・ベンツ独自の優れた知覚安全を誇るインテリジェントライトシステムが、あらゆる走行条件で常に最適な視界を確保。写真はEクラス/W213。
メルセデス・ベンツ独自の優れた知覚安全を誇るインテリジェントライトシステムが、あらゆる走行条件で常に最適な視界を確保。写真はEクラス/W213夕方の走行時。
ウインカーやステアリング操作と連動してヘッドライト内のコーナリングライトが点灯し、進行方向内側の路面を照らすので、歩行者や障害物を早期に発見でき安全性を高めている。写真はEクラス/W213。
メルセデス・ベンツ独自の優れた知覚安全を誇るインテリジェントライトシステムが、あらゆる走行条件で常に最適な視界を確保。写真はEクラス/W214AMGライン。
メルセデス・ベンツ独自の優れた知覚安全を誇るインテリジェントライトシステムが、あらゆる走行条件で常に最適な視界を確保。写真はEクラス/W214エクスクルーシブライン。
5代目Eクラス/W213では、フロントワイパーによって拭き払った雨滴はまず、フロントピラーのレインランネルへと流れる。
ルーフへと流れた雨滴はリアピラー両側とルーフ後端のレインランネルに導かれ、最後にリアウィンドウの両側面に排出される。つまり、フロントピラーのレインランネルは雨滴がドアウィンドウ側に流れることを防ぎ、サイドウィンドウやドアミラーの視認性を確保。そしてリアピラーやルーフ後端のレインランネルが、雨滴をルーフやボディサイドからリアウィンドウ両側面に流してリアウィンドウの視界を確保。写真はEクラス/W213。
ルーフへと流れた雨滴はリアピラー両側とルーフ後端のレインランネルに導かれ、最後にリアウィンドウの両側面に排出される。つまり、フロントピラーのレインランネルは雨滴がドアウィンドウ側に流れることを防ぎ、サイドウィンドウやドアミラーの視認性を確保。そしてリアピラーやルーフ後端のレインランネルが、雨滴をルーフやボディサイドからリアウィンドウ両側面に流してリアウィンドウの視界を確保。写真はSクラス/S400。
メルセデス・ベンツが重視しているのが被視認性、つまり他のドライバーや歩行者に素早く認知される安全性である。写真はEクラス/W213。
メルセデス・ベンツが重視しているのが被視認性、つまり他のドライバーや歩行者に素早く認知される安全性である。写真はEクラス/W213後期。
以前のメルセデス・ベンツは、後方からの被視認性を良くするために凸凹形状のテールレンズを採用。凸の形状の部分は汚れが付きやすいが、凹の形状の部分は汚れが付きにくい構造。写真はW123。
以前のメルセデス・ベンツは、後方からの被視認性を良くするために凸凹形状のテールレンズを採用。凸の形状の部分は汚れが付きやすいが、凹の形状の部分は汚れが付きにくい構造。写真はW123。
以前のメルセデス・ベンツは、後方からの被視認性を良くするために凸凹形状のテールレンズを採用。凸の形状の部分は汚れが付きやすいが、凹の形状の部分は汚れが付きにくい構造。写真はW124のテールレンズ形状拡大。
最近のメルセデス・ベンツのLEDコンビネーションランプは、凸凹形状でなく平面形状だが、汚れが付着しても輝度が保たれ、優れた被視認性によって後続車に自車の存在を鮮明に知らせ高い安全性を確保。写真はEクラス/W213。
最近のメルセデス・ベンツのLEDコンビネーションランプは、凸凹形状でなく平面形状だが、汚れが付着しても輝度が保たれ、優れた被視認性によって後続車に自車の存在を鮮明に知らせ高い安全性を確保。写真はEクラス/W213後期。
最近のメルセデス・ベンツのLEDコンビネーションランプは、凸凹形状でなく平面形状だが、汚れが付着しても輝度が保たれ、優れた被視認性によって後続車に自車の存在を鮮明に知らせ高い安全性を確保。写真はEクラス/W214 AMGライン。
最近のメルセデス・ベンツLEDコンビネーションランプは、凸凹形状でなく平面形状で汚れが付着しても輝度が保たれ応答の早い優れた被視認性によって後続車に自車の存在を鮮明に知らせ高い安全性を確保。写真はEクラス/W214 AMGライン。
歩行者や二輪車からも確認しやすいドアミラー内蔵式ウインカーミラーは、世界に先駆けて1998年のSクラス/W220から採用されているのは周知の通り。
メルセデス・ベンツは、1960年代からボディカラーを安全な視認性順に並べたチャートを作成し、啓蒙活動を行ってきた。
メルセデス・ベンツは1960年代からボディカラーを安全な視認性順に並べたチャートを作成し、啓蒙活動を行ってきた。写真はメルセデス・ベンツのW124タクシー専用カタログ。
メルセデス・ベンツによるボディカラーの啓蒙活動は、特にドイツ国内のタクシーの色を、それまでの黒からチャート上位にあった視認度の高いライトアイボリー(623)に変える法律制定(1970年施行)のきっかけとなった。写真はメルセデス・ベンツのW123タクシー。
メルセデス・ベンツのショールームにはカラーサンプルが展示され選択可能。

4 知覚安全性:十分な視界と被視認性の確保

メルセデス・ベンツの安全性に関する揺るぎない設計思想と技術の系譜を紹介する本連載。今回は、メルセデス・ベンツ独自の「知覚安全性」(十分な視界と被視認性)に関する技術思想を解説する。

メルセデス・ベンツをドライブしていると、死角が少なく、よく見渡せるその「全面視界」と、他の道路利用者に自車の存在を知らせる「被視認性」に優れていることに気がつく。人間工学的に疲労の多くは目から始まり、目が疲れると身体全体が疲れたようになり、反射神経が鈍くなる。そこで、メルセデス・ベンツのエンジニア達は目を極力疲れさせないための万全の措置として、十分な視界を確保するため、見やすく、そして見られやすくする知覚安全設計をしている。この知覚安全性は、1966年にメルセデス・ベンツが初めて使用した言葉である。

死角を少なくし十分な視界を確保する知覚安全性。写真はW124。

写真は初代Eクラス/W124。

見やすい例として、メーター類がドライバー側のダッシュボードをさらに盛り上げ、ひさしの中央にセットしてある理由は、ドライバーがハンドルを握りながら、前方視界よりほんの少しだけ「目線を落とす」だけで乱反射もなく容易に読みやすく確認でき、運転に集中でき安全である。

【画像37枚】「凸凹」テールレンズには訳がある。懐かしのW123から最新LEDまで、ディテールで見る知覚安全の進化

雨の日にこそ真価を発揮する。「十分な視界」という安全設計

死角を少なくし十分な視界を確保する安全性の例として、雨天時でも広いウィンドウに有効な視界を確保する「ワイパー」と「レインランネル」を具体的に説明する。

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フォト=メルセデス・ベンツAG、妻谷コレクション

AUTHOR

1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。

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