ブガッティ、総アルミボディの傑作「ヴェイロン グランスポーツ ヴィテス」を完全修復
ブガッティは2026年10月15日、自社の歴史的モデルを保護・認定するプログラム「ラ・メゾン・ピュール・サン」を通じて、完全なポリッシュ仕上げのアルミニウムボディを持つ唯一無二の「ヴェイロン グランスポーツ ヴィテス」のレストアを完了したと発表した。10年以上の時を経てフランスのモルスハイムへと帰還したこの特別なハイパーカーは、新車当時の輝きを取り戻し、新たなオーナーの元へと引き継がれた。
【画像12枚】銀色の輝きと深紅のコントラスト。総アルミボディの傑作「ヴェイロン グランスポーツ ヴィテス」の全貌を見る
芸術と技術が融合した総アルミボディ
この特別なヴェイロン(シャシー番号8.100)は、希少でパーソナライズされたモデルを愛好する顧客からの依頼によって誕生した。最大の特徴は、従来の自動車デザインの常識を覆す、露出したポリッシュ仕上げのアルミニウム製ボディである。この途方もない外装を製作するため、最大20トンにも及ぶアルミニウムのブロックがブガッティの本拠地であるモルスハイムに運び込まれ、熟練の職人たちの手によって形作られた。
彫刻のような美しい表面は、あらゆる角度から光を反射して造形の純粋さを際立たせている。さらに、深みのある「カーマイン・レッド」のレザーインテリアを採用することで、エクステリアの銀色の輝きと鮮烈なコントラストを生み出している。カーボンファイバーやポリッシュアルミニウムなどの豊かな質感と手作業による装飾は、機能性だけでなく芸術的な観点からも選び抜かれており、まさにエンジニアリングと芸術表現が見事に融合した一台となっている。
圧倒的なパフォーマンスとモルスハイムへの帰還
この卓越したロードスターの魅力は、美しい外観だけに留まらない。その彫刻のようなボディの下には、ブガッティが誇る伝説的な8.0L W型16気筒クワッドターボエンジンが搭載されている。最高出力1200ps、最大トルク1500Nmという途方もないスペックを発揮し、すべてのブガッティに求められる息を呑むようなパフォーマンスを約束する。この機械的な洗練さこそが、視覚的な美しさを超えたハイパーカーとしての真のキャラクターを確立している。
生産から10年以上の時を経て、この唯一無二のヴェイロンは故郷であるモルスハイムへと帰還を果たした。ブガッティの歴史的車両の保護と認定を行う専門プログラム「ラ・メゾン・ピュール・サン」のもと、細部に至るまで包括的な認定プロセスと入念な改修が施されたのである。
本来の姿への復元と新たな章の幕開け
「ラ・メゾン・ピュール・サン」プログラムは、車両の歴史や来歴を追跡し、コレクターが車両を本来の仕様に戻す作業や真正性の維持をサポートする取り組みである。今回の修復作業では、後年になって追加されたパーソナライズ要素を丁寧に取り除く作業も含まれた。これにより、モルスハイムの工場を最初に旅立った際の新車当時のビジョンが再び引き出され、車両本来の魅力と、特別なモデルとしての意義が色褪せることなく引き継がれた。
ブガッティのヘリテージ&サーティフィケーション・エキスパートであるルイジ・ガリ氏も、この車両がブランドの歴史の中で特別な位置を占めると語っている。認定プロセスを終え、新車当時の輝きを取り戻した総アルミニウムボディの傑作は、新たなオーナーに託された。現在はフレンチ・リヴィエラにその身を置き、革新と職人技を後世へと繋ぐ物語の新たな章を歩み始めている。
【ル・ボラン編集部より】
20トンのアルミ塊から削り出された無塗装の輝きと、1200psのW16エンジン。一見すると冷徹な工学の結晶だが、その本質は職人の手仕事が宿す工芸品である。ヴェイロンの真価は、異次元の速さと極上の洗練という相反する要素を、雑味なく融合させた点にある。今回の修復で後年の装飾を削ぎ落とし「純血」を取り戻した判断は極めて象徴的だ。比較対象なき孤高の美と性能を、純粋なまま後世へ繋ぐ。創業者エットーレの哲学は、時代を超えてモルスハイムに息づいている。
【画像12枚】銀色の輝きと深紅のコントラスト。総アルミボディの傑作「ヴェイロン グランスポーツ ヴィテス」の全貌を見る














