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【世界初公開・画像68枚】新型「メルセデスAMG GT SUV」が登場。最高出力1169psを誇り“V8の鼓動”を宿す電動スーパーSUVの真価とは《LE VOLANT LAB》

メルセデスAMG GT 63 SUV
メルセデスAMG GT 55 SUV
メルセデスAMG GT 63 SUV
メルセデスAMG GT SUVのデザインスケッチ

SUVの実用性とGTの本質を高次元で融合

メルセデスAMGが専用プラットフォームを採用した新型EV「メルセデスAMG GT SUV」を世界初公開した。スポーツカーの本質とSUVの実用性を高次元で融合し、最上位モデルは最高出力1169ps、0-100km/h加速2.7秒という圧倒的な性能を誇る。さらに特筆すべきは、音と振動で“V8エンジンの鼓動”を再現する新機構の搭載だ。電動化時代にAMGが提示する、新たな高性能車の真価に迫る。

【画像68枚】流麗なシルエットから「シートシェイカー」内蔵の先進コクピットまで。新型「メルセデスAMG GT SUV」の内外装を詳しく見る

アファルターバッハ生まれの純血エレクトリックSUV

メルセデスAMGが、電動化時代の高性能車戦略をさらに前進させる。2026年10月17日(現地時間)、ドイツ・シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館で、新型「メルセデスAMG GT SUV」が世界初公開された。専用EVプラットフォーム「AMG.EA」を採用するこの高性能SUVは、車両アーキテクチャーからアファルターバッハで開発されたモデルだ。

巨額の開発投資を回収するには、一定の販売台数を確保する必要がある。先行して発表された「AMG GT 4ドアクーペ」に続く「AMG GT SUV」は、スポーツカーの性能とSUVの実用性を融合させ、AMGの電動化戦略を支える重要なモデルとなる。

メルセデスAMG GT 63 SUV

ドイツをはじめとする欧州市場では、高性能SUVは日常の移動とスポーツドライビングを1台で楽しむための選択肢となっている。スポーツカーの走りやデザインに魅力を感じながらも、通勤や買い物、家族との外出、長距離旅行まで幅広くこなしたい。そうしたニーズに応えるのが、このカテゴリーの特徴だ。

今回の新型車も、広い室内空間と快適性を確保しながら、AMGらしい運動性能を追求する。メルセデスAMGは、そのコンセプトを「SUV by Shape(形はSUV)」と「GT by Nature(本質はGT)」という言葉で表現している。

10分で約450km分を回復する超急速充電と優れた実用性

「SUV by Shape」が意味するのは、SUVならではの快適性と実用性だ。特に後席のゆとりある室内空間に加え、長距離移動を支える充電性能も重要な要素となる。最大710kWという充電出力に対応し、わずか10分間の充電で最大約450km分の航続距離を回復できるという。

ドイツでは、アウトバーンを利用した都市間の移動も珍しくない。そうした環境では、高い最高出力だけでなく、長距離を快適に移動できることや、充電による中断をどれだけ短縮できるかも、電気自動車の実用性を左右する。もっとも、実際の充電時間や回復できる航続距離は、バッテリーの残量や温度、充電設備の能力などによって変わる。最大出力の高さだけでなく、実際の使用環境でどれだけ効率よく充電できるかが重要になる。

メルセデスAMG GT 63 SUV

さらに、最大6度の操舵角を持つ後輪操舵システムを標準装備。低速域では取り回しの良さと俊敏性を高め、80km/hを超える高速域では走行安定性の向上に貢献する。

ラゲッジスペースの容量は通常時で607L、後席を倒せば最大1740Lまで拡大可能。さらにフロントにも78Lの収納スペースを備え、長距離旅行にも対応できる実用性を確保している。

「GT by Nature」を体現する低いシルエットと新開発サスペンション

一方、「GT by Nature」を象徴するのが、低い着座位置と、長く伸びたグリーンハウスによる低くダイナミックなシルエットだ。SUVの機能性を備えながら、スポーツカーらしいドライビングポジションとプロポーションを追求している。

その走りを支える重要な要素が、新開発の「AMG ACTIVE RIDE CONTROL+」サスペンションである。3段階に切り替え可能なエアスプリングと容量8.2Lの圧力リザーバーを備え、ダンパーを油圧回路で連結。車体の動きを緻密に制御する。

メルセデスAMG GT 63 SUV

このシステムは、コーナリング時の車体のロールを抑えながら、快適性と運動性能の両立を目指したものだ。また、走行速度に応じて車高を下げることで、空気抵抗を低減する機能も備えている。

なぜEVにV8の記憶が必要なのか? 電動AMGが挑む新たな感性価値

今回の新型車で興味深いのは、電動化によってパワートレインが変わっても、AMGというブランドが培ってきた感覚的な魅力を、新たな形で表現しようとしている点だ。

その象徴が、本物のV8エンジンを思わせるサウンドを再現する「イマーシブ・サウンド・エクスペリエンス」である。

単にエンジン音を再現するだけでなく、シートに内蔵された振動装置「シートシェイカー」によって、V8エンジン特有の振動までも演出する。電気自動車でありながら、まるでV8エンジンを搭載したAMGを運転しているかのような感覚を目指している。

これは、従来のAMGファンに向けて、エンジン車の魅力をそのまま再現しようとする試みとだけ捉えるべきではないだろう。

メルセデスAMG GT 63 SUV

AMGというブランドには、V8エンジンのサウンドや力強い加速、機械としての存在感など、長年にわたって形成されてきたイメージがある。電動化によってパワートレインが変わっても、そうしたブランド資産を生かし、新しいドライビング体験へとつなげることはできる。

電動AMGの魅力は、内燃機関の再現だけにあるわけではない。モーターならではの応答性や加速性能など、エンジン車とは異なる価値も持つ。従来のAMGらしさを引き継ぎながら、電動化によって生まれる新たな魅力をどう提示するか。その取り組みの一つとして、今回のサウンド機能を位置付けることができる。

スポーツカーの躍動感を宿したエクステリアと6灯の丸型テールランプ

エクステリアは、切り立ったフロントや伸びやかなルーフライン、力強いホイールアーチ、長いホイールベースによって、SUVでありながらスポーツカーらしい躍動感を表現する。

ホイールは21~23インチを設定。フロントには金属調の縦型ルーバーを配したAMG専用グリルを採用し、ひと目でAMGとわかる力強い表情を作り出している。

メルセデスAMG GT 63 SUV

リアでは、タービンをモチーフにした6灯の丸型テールランプが目を引く。オプションで左右をつなぐライトバンドも設定され、独自の存在感を演出する。

また、スリーポインテッドスターのイルミネーションについては、国や地域によって認可条件が異なるため、仕様が変更される場合がある。

走りの特性を自在に操る「AMG RACE ENGINEER」と先進のコクピット

コクピットはドライバー中心の設計で、低い着座位置もスポーツカーらしさを強調する。14インチのセンターディスプレイと10.2インチのメーターディスプレイに加え、助手席側にも14インチのディスプレイを装備。先進的なデジタル環境を実現している。

センターコンソールには、3つのロータリースイッチを備えた「AMG RACE ENGINEER」を配置。アクセルレスポンスやコーナリング時の車両特性、トラクション制御の介入度などを個別に調整できる。

メルセデスAMG GT 63 SUV

さらに、ステアリングホイールに配置されたスイッチやパドルを使って、回生ブレーキの強さなども操作可能だ。

高性能車の魅力は、最高出力や加速性能だけで決まるものではない。ドライバーが車両の特性をどこまで自分の好みに合わせられるか、そして日常の移動でも快適に使えるかという点も、重要な商品価値となる。

最高出力1169ps、0-100km/h加速2.7秒を誇る3種類のパワートレイン

パワートレインは3種類が用意される。最上位モデルの「AMG GT 63 SUV」は、3基のアキシャルフラックスモーターを搭載し、最高出力860kW(1169ps)、最大トルク2000Nmという圧倒的な性能を発揮する。

「AMG GT 55 SUV」も同じく3基のモーターを採用し、最高出力600kW(816ps)、最大トルク1860Nmを実現する。一方、エントリーモデルとなる「AMG GT 53 SUV」は、前後にそれぞれ1基の同期モーターを搭載。最高出力400kW(544ps)、最大トルク800Nmを発生する。

メルセデスAMG GT 63 SUV

その動力性能も極めて高い。GT 63 SUVの0-100km/h加速はわずか2.7秒、GT 55 SUVは3.1秒、GT 53 SUVでも4.2秒という数値を達成する。さらに、GT 63 SUVはわずか7.2秒で200km/hに到達する。最高速度はGT 63 SUVとGT 55 SUVが270km/h、GT 53 SUVが250km/hとなる。

こうした数値は、電動化によって高性能車の動力性能が新たな段階に入ったことを示している。ただし、最高出力の大きさだけが電動AMGの価値を決めるわけではない。

エンジン車の時代には、排気量や最高出力、最高速度などが高性能車を評価する主要な指標だった。電動化が進む現在は、モーターの応答性や加速性能に加え、航続距離、充電時間、日常での使い勝手まで含めて商品力が問われるようになっている。

最大航続距離700kmと超急速充電を実現する800Vバッテリーシステム

高出力を支えるのは、800Vのバッテリーシステムだ。バッテリーには直接冷却式の円筒形セルを採用。GT 63 SUVとGT 55 SUVには、22モジュールで構成される使用可能容量128kWhのバッテリーと、18モジュールで構成される106kWhのバッテリーが設定される。最大DC充電出力は仕様により600kWまたは710kWに達し、バッテリー残量10%から80%までの充電時間は、わずか11~12分とされる。

メルセデスAMG GT 63 SUV

航続距離についても、AMGは高い目標を掲げている。WLTPモードでは、GT 63 SUVとGT 55 SUVが最大700km、GT 53 SUVが最大668kmの航続距離を実現するという。

高性能EVにとって、充電性能と航続距離は、最高出力と並ぶ重要な要素になりつつある。とりわけアウトバーンを利用した長距離移動では、走行速度や気温などによって電力消費量が変化するため、カタログ上の航続距離だけで実用性を判断することはできない。

メルセデスAMG GT 63 SUV

一方で、十分な航続距離を確保し、充電に要する時間を短縮できれば、移動中の時間的な制約を小さくできる。これは、電動車を日常的に使ううえでも、高性能車として長距離を走るうえでも重要な価値となる。

これほどの加速性能を持ちながら、SUVとしての快適性や実用性、さらに長距離移動を支える充電性能まで備えること。そこに、新型AMG GT SUVの目指す方向性が表れている。

発売は2027年第1四半期を予定。日本への同時期導入にも期待

ドイツでの発売は2027年第1四半期を予定しており、エントリーモデルの価格は10万ユーロ(本稿執筆時の為替レートで約1770万円)をわずかに下回る見込みとされる。日本への導入も同時期が予定されている。

メルセデスAMG GT 63 SUV

高性能車の魅力は、圧倒的なパワーやスポーティなデザインだけではない。実際に所有し、日々の移動から週末のドライブ、長距離旅行まで楽しめることも、オーナーにとって重要な価値となる。

電動化によって、AMGが培ってきた走行性能やブランドイメージを維持しながら、モーターならではの加速性能、航続距離、充電性能、そして日常の使い勝手を新たに追求できるようになった。

メルセデスAMG GT 63 SUV

メルセデスAMGが掲げる「SUV by Shape」と「GT by Nature」。この2つの世界を融合させた新型AMG GT SUVは、エンジン車の時代に確立された高性能車の価値を引き継ぎながら、電動化時代にふさわしい新たな魅力を提案するモデルといえる。

スポーツカーのような性能を、より幅広い日常の場面で楽しめるようにすること。その実現に向けて、AMGがどのような新しい価値を提示するのか、注目したい。

【画像68枚】流麗なシルエットから「シートシェイカー」内蔵の先進コクピットまで。新型「メルセデスAMG GT SUV」の内外装を詳しく見る

Photo: Mercedes-Benz
アレックス・オースタン(Alex Ostern)

AUTHOR

1976年、ドイツ・フランクフルト生まれ。ドイツ人の父と日本人の母を持ち、日独両国の文化に親しみながら育つ。2003年よりモータージャーナリストとして活動を開始。20年以上にわたり、ドイツを拠点にドイツ車を中心とした新型車の試乗や自動車メーカーへの取材を行い、日本の自動車メディアに寄稿している。また、日本からの自動車愛好家を対象としたドイツでの自動車ツアーでは、ナビゲーターとして同行し、ドイツの自動車文化や歴史の魅力を伝えている。

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