第1弾は7月デビューの新型「タント」
6月6日、ダイハツは新世代のクルマづくり「DNGA(ダイハツ・ニュー・グルーバル・アーキテクチャー)」に基づく新技術を発表。7月にはDNGAの第1弾として「タント」の新型を、そして年内には第2弾の投入も予定しており、ダイハツは日本および新興国市場向けの軽自動車やコンパクトカーの次世代モデルをDNGAによって展開していく。
DNGAの概要は、3つの大きな柱で構成されている。ひとつめが軽自動車を起点に小型車まで、設計思想を共通化した「一括企画開発」の採用。ふたつめが「車両の進化」、「パワートレインの進化」、「先進安全の進化」の3つの進化を実現。そして三つめが将来の電動化やコネクトサービスの実現など、「CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化の頭文字から取った造語)対応を見据えた設計構想」の織り込みだ。
具体的にはこうだ。ひとつめの設計思想を共通化した「一括企画開発」は、軽自動車で“最小単位”を極めたうえで、小型車(A〜Bセグメントモデル)まで設計思想を共通化するために新プラットフォームを開発。これにより軽自動車から小型車までの各新型車に対する開発スピードを高める。これは軽自動車から小型車まで、それぞれの部品共用化率を75%以上に高めることも可能になり、新型車の投入ペースを従来の約1.5倍にスピードアップ。同社では2025年までに15ボディタイプ・21車種に展開させる予定だ。
ふたつ目の「車両の進化」、「パワートレインの進化」、「先進安全の進化」の実現は、サスペンションやアンダーボディの新開発、そして車両全体の軽量化を図る。ひとつ目の柱で挙げた新プラットフォームに合わせてサスペンションやアンダーボディを新たに開発し、ボディ剛性のアップや軽量化を図り、静粛性や乗り心地の向上を含めた走りの質を向上させる。部品共通化や車体構造の合理化により部品点数が削減できるほか、アッパーボディのハイテン(超張力鋼板)使用率を10%向上させ、樹脂部品の活用などによって車両全体で80kgの軽量化を実現する。
新開発エンジンでは日本初の「マルチスパーク(複数回点火)」を採用するなど、効率や燃費性能を向上。CVTはスプリットギヤを組み込むことで従来のベルト駆動から、より伝達効率の高い「ベルト+ギヤ駆動」を用いた世界初の「D-CVT」を搭載する。このD-CVTはコンパクトなサイズはそのままに、ベルト伝達トルクを適正化させることによって、1.5Lクラスのモデルまで対応できるという。
「先進安全の進化」では、従来のスマートアシストで積み上げた知見を生かし、現行のスマートアシストⅢに「全車速追従機能付きACC」や駐車支援機能「スマートパノラマパーキングアシスト」、「LKC(レーンキープコントロール)」、「車線逸脱抑制制御機能」、「ADB(アダプティブドライビングビーム)」、「標識認識機能(進入禁止)」、「ブレーキ制御付き誤発進抑制機能(前方・後方)」、夜間の右左折時にステアリングを切った方向を照らす補助灯「サイドビューランプ」といった機能を追加する。
そして三つめの「CASE対応を見据えた設計構想」では、将来の電動化を見据えたエンジンコンパートメントの諸元設定や、スマートアシストの進化やコネクトサービスの提供を見据えた電子プラットフォームの設定などにより、CASE技術の織り込みを想定したプラットフォームに刷新。今後さらに開発を加速させる方針だという。