不死鳥ドライバーの活躍に期待
ドイツBMW Motorsportの発表によれば、今シーズンのDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)にF1ドライバーのロバート・クビツァの参戦が決定した。
「以前からDTMには魅力を感じていた」というクビツァは、昨年12月にスペイン・ヘレスで行われたBMW MotorsportのDTMヤングドライバーテストで初めてBMW M4 DTMをドライブし、その高いポテンシャルを体験したことでレギュラーシート獲得を切望するようになったようだ。
ユーロF3などで実績を残し2006年にBMWザウバーF1チームの第3ドライバーに就任、シーズン途中でレギュラードライバーへ昇格してから2009年までBMWザウバーに在籍していたこともあり、馴染みの深いドライバーの復帰を歓迎するとともに、活躍を楽しみにするBMWファンも多いのではないだろうか。
クビツァが所属するチームは、多くのトップドライバーを輩出しているフランスの「ARTグランプリ」で、2000年に全日本F3選手権でチャンピオンに輝いた後に、全日本GT選手権やSUPER GTで活躍したセバスチャン・フィリップが代表を務める。同チームは2015年から2シーズンに渡って、メルセデスAMG C63でDTMに参戦していた実績もあるので、DTM初挑戦となるクビツァにとっても心強いパートナーとなることは間違いないだろう。
2011年にイタリアで行われたラリーイベント参戦中に重傷を負い、長年に渡るリハビリの後に、2017年からはテスト/開発ドライバーというポジションでF1に復帰。昨年はロキット・ウィリアムズ・レーシングでレギュラーシートを得た。今季はアルファ・ロメオのリザーブドライバーとDTMドライバーを兼任することとなる。
なお、前述の事故の後遺症で、いまもなお右手の機能がほとんど失われているが、BMW Motorsportは左手のみで操作できるようクビツァ専用にM4 DTMマシンに特殊改造を施している。
昨年には待ちに待った日本のSUPER GTとの特別交流戦がホッケンハイムと富士スピードウェイで開催され、日独モータースポーツファンの注目を集めるDTMとあって、クビツァのドライバー就任は日本のファンにとっても観戦の楽しみが増すのではないだろうか。しかも、BMW Motorsportにはかつてジョーダンやトヨタで活躍したティモ・グロックも在籍するなど、かつてF1に熱狂したファンにも嬉しいニュースだ。
今季ドイツ・ツーリングカー選手権は、開幕前公式テストが3月16~18日にイタリアのモンツァで行われ、4月24~26日にベルギーのゾルダーで開幕戦を迎える。
この記事を書いた人
武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。