クルマの乗り降りで、ビシャビシャになることありますよね。そんなストレスから解放される、こんな逆向きに開閉する傘はいかが?
※この記事はル・ボラン2019年8月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。
カズブレラの傘
王様のアイディアが好きだった。昭和生まれの世代だったらご存知だろう。駅ビルや地下街なんかにひっそりとあった、あのお店だ。発明品の雑貨店のような感じで、ショーケースにはジャンルを問わず、赤いお尻の水飲み鳥や、なぜか“地球ゴマ”と名付けられたジャイロコマ、ビヨンビヨン段差を降りるスプリングなどが並んでいた。それ自体はすごい発明なのかもしれないけれど、感動は一瞬。なかにはちょっと胡散臭く感じられるものもあり、それも含めて楽しい。なにしろ“王様”のアイディアだ。でも一体どこの国の王様だ?
久しぶりにそんな気配を感じたのがカズブレラの傘だ。特徴は、通常の傘が手前に畳むのに対し、まるでおちょこのように逆に畳むことだ。こうすることで畳んだ状態では濡れた表面は内側になり、畳む際にも手が濡れたり、水滴を床に落とすこともない。また開く時は先端から広がるので、狭いスペースでも開閉できるのだ。傘の構造を逆にしただけで、多くの利便性が生まれた。まさにコペ転な傘なのである。
だが手にした第一印象は、違和感たっぷり。通常は先細りの傘が先太りなのだから。これでは英国紳士は持たないなぁ。折り畳み傘のように2段式のシャフトで、やや力を入れて手元のプッシュを押しながらスライドさせると、つぼみが開花するように傘が広がった。開ききってしまえば、見た目は普通の傘と変わらない。
話を聞くと、じつは航空エンジニアで土木工学の修士号をした構造工学のスペシャリストが考案し、クラウドファンディングで商品化したそうだ。王様どころか先進の構造理論に基づいた傘だったのだ。
とくに雨の日のクルマに有効だろう。傘を差しながらまず車内に乗り込み、ドアの隙間から濡れずに傘を畳むことができる。クルマから出る時も同様だ。そしてシートをビショビショにすることもない。
通常の傘よりもやや重く、かさばるのでクルマでの外出に使うのがいいだろう。早速手に入れた。アイディア、恐るべし。
ブランドデータ
発明家であるJenan Kazim氏は、床に傘からしずくが落ちるのを見てカズブレラのアイディアを思いつき、研究に長い歳月をかけて、世界で初めて逆さまに傘の天蓋を貼るメカニズムを考案、特許を取得した。その特徴は、閉じる時に濡れた面が内側に折りたたまれることで、使用時の開閉で手が濡れることがなく、水滴が床に落ちたり、傘に触れるものを濡らしたりしないこと。また、狭いスペースで傘の開閉ができるため、例えばクルマに乗り込む時、ドアの少しの隙間から濡れることなく傘を閉じることが可能となる。さらに二重スポーク(傘骨)のため、非常に高い強度を持っている。
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