ドライブトレイン、室内快適性、佇まいなど、あらゆるパートがプレミアムであり、絶品のバランス感を有するアッパーミドルクラスのSUVが集結。その中でもガソリン、ディーゼル、ハイブリッドを積む3台は、与えてくれる満足感にどのような違いがあるのかテストした。
期待を超える走りを得たMの称号を冠したモデル
このクラスのSUVは、車両重量がかさんで当たりまえだ。同行の3モデルは、いずれも2300kgを超える。それだけに、燃費性能は二の次になりそうだが近年ではそんな妥協は許されない。パワーユニットの高性能化とともに高効率化をすることは、メーカーとしての社会的な責任といえる。
そうした背景のなか、BMWはX5にプラグインハイブリッドの45eとMモデルに迫る実力を備えるM50iを追加。Mの称号が冠されてもM50iの高効率化も抜かりなく、4.4LのV型8気筒ツインターボエンジンは従来型X5の50iと比べて最大トルクを15%以上も上乗せし750Nmを発揮しながら、燃費への影響を1%あまりに抑制している。
それだけに、強力なトルクは圧倒的な力強さの余裕をもたらす。高速域でDレンジ8速のままアクセルをわずかに踏み足せば、メーターにトルクを表示すると1000rpm台で700Nm超えに到達。エンジン音が耳に届かないにもかかわらず、ヘビー級のX5が何とも軽ろやかに加速するのだ。
その一方で、アクセルを踏み込むとガソリンエンジンらしさが炸裂。中回転域までは爆発力の大きさを知らしめるような鼓動を刻むが、高回転域ではそれが連続しコーンという感じで聴覚を貫く高周波サウンドとなる。そして、6000rpmから始まるタコメーターのゼブラゾーンを針が切り裂き6500rpmまで一気に吹け上がる。加速の鋭さが感覚的に増幅されるだけに、刺激の強さは限りなくX5Mに近いはずだ。
それでいて、走りの洗練度が高い。走行モードがアダプティブなら、オプションのエアサスペンションを含むシャシー制御が最適化される。コーナー進入時には、スッキリした手応えのステアリングを切り込むのに合わせてロールがジワーッと進みアウト側に荷重がシッカリ移る実感がある。イン側の荷重が減る感じはほとんどないだけに、4輪が路面を確実につかむ様子が想像でき安心してコーナーを駆けぬけることが可能だ。
しかも、乗り心地が快適だ。サスペンションは、荒れた路面でも衝撃の角を削るかのようにストロークするからだ。タイヤが少しだけビョーッという音を発する場面もあるが、ゴーッという感じのロードノイズは抑え込まれているため優れた静粛性も得ている。