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名匠の香りを身に纏う。 スカリエッティのフレグランス 【Style in motion 062】

「スカリエッティ」といえば、クルマ好きなら知る人ぞ知る伝説のカロッツェリアだ。そんなスカリエッティの名を冠したフレグランスが日本に上陸。4種類のオーデパルファムのほかに、ルームフレグランスが数量限定で発売されるという。

スカリエッティのフレグランス

クルマ好きなら誰にでも憧れの1台があるだろう。それも手の届かないような垂涎の的が。僕にとってそんな1台がフェラーリ612スカリエッティだ。いまや稀少なV12を載せたFRの2+2 GTに加え、ピニンファリーナ在籍時の奥山清行氏が手がけたスタイリングは、エレガンスの極致であり、大人の色気を感じる。
そのモデル名の由来となったカロッツェリア・スカリエッティの巨匠オスカー・スカリエッティ氏の訃報がこの春届いた。長い闘病の末、コロナ禍が追い討ちをかけたという。
父セルジオが興した工房で1962年に手がけたフェラーリ250GTOを皮切りに、量産車でも辣腕を発揮し、フェラーリのボディ製作部門の傘下に入ってからもディーノ206GTや308GTBの技術開発に関わった。こうしたオスカー氏の偉業に多くの自動車関係者がいまも敬意を表する。そしてモノづくりの情熱は、息子のシモーネ氏によってオリジナルのフレグランスに受け継がれたのだ。
幼い頃から祖父や父の働くカロッツェリアに出入りし、遊び場にしたシモーネ氏は、そこでさまざまな経験を育んだという。エンツォ・フェラーリや歴代のF1ドライバー、多くのセレブリティが訪れ、いつも活気と華やかさに溢れた工房は、さまざまな記憶を刻んだ。やがて母が始めたオーガニックのフレグランスブランドを手伝うようになり、その思い出を香りで表現することを決意。3年かけて4種類の香りを開発したのである。
ひとつひとつにストーリーがあり、たとえば『レーシング・スティール』は、女優イングリッド・バーグマンをモチーフにする。彼女と映画監督ロベルト・ロッセリーニとの愛の証だったフェラーリ375 MMは、当初の赤からライトメタルグレーで注文され、工房を見学にも訪れた。とても美しく、優しかったという祖父セルジオの話は、シモーネ氏の子供心にも強く印象に残った。そこから生まれた爽やかなフレグランスの香りには、恋に堕ち、仕事も夫や子供もすべてを棄ててイタリアに渡った彼女の情熱も秘めているようだ。
この375MMにオマージュを捧げたクルマが612だ。実車を手に入れるのは無理でも香りならば身近にできるだろう。

【Brand Data】
セルジオ・スカリエッティは、1951年にカロッツェリアを創業し、フェラーリ250GTOをはじめ歴史に輝き続ける数々の名車を手がけたことで知られる。現在は、新たなファミリービジネスとして、香水や化粧品のブランドを展開。ファミリーを率いるシモーネ・スカリエッティはその孫にあたり、幼い頃から祖父の工房に出入りし、フェラーリの工場も遊び場にしたという。そこに訪れるドライバーやハリウッド女優との思い出を香りで表現したパルファムが今回のレーシングライン。パッケージも当時のアルミ缶をイメージしたもので、光を避け、品質を保つ効果もある。価格はルームフレグランスが1万5800円(税別)、オーデパルファムは各1万9800円(税別)。取り扱いは、横浜元町の輸入時計専門店「コモンタイム横浜元町」のみでの展開となる。興味のある方はメールでお問い合わせを。
【Items】
ROOM FREGRANCE

高級素材をベースに使用した質の高いルームフレグランス。優しく華やかな香りとシンプルかつ洗練されたデザインがインテリアを彩る。

RACING GREEN

伝説のスイス人F1ドライバー、クレイ・レガッツォー二がスカリエッティ家に訪れた日の思い出。軽やかな香りが特徴。

RACING STEEL

女優のイングリッド・バーグマンと映画監督のロベルト・ロッセリーニの出会いを香りに。彼らも自分たちがオーダーしたクルマを見学に工場を訪れた。

RACING ORANGE

1957年型250テスタロッサは、曲線を大胆に取り入れレーシングカーの歴史に名を刻んだモデル。その美しいボディを造り出した祖父に捧げる。

RACING YELLOW

カナダ人レーシングドライバー、ジル・ヴィルヌーブがスカリエッティ家に訪れた夏の日曜、母が心を込めていちじくのタルトを焼いている姿、その幸せな光景を表現。

●問い合わせ先:COMMON TIME 横浜元町 メールアドレス/ym@common-time.jp http://www.common-time.jp/

フォト: 奥村純一/J.Okumura ルボラン2020年8月号より転載

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