実用然とした高級7シーターといえば、国産ミニバンの独壇場であったが、独プレミアムツートップのフラッグシップSUVがその常識を覆そうとしている。本格的な3列目シートを携えた上で、高い居住性やシートアクセス性を実現したGLSとX7は、 7シーターの新潮流を生み出した。
最上位SUVで生まれた新たなガチライバル
ラグジュアリークラスのクルマといえば、高いプレステージ性が自慢のサルーンが真っ先に思い浮かぶが、自らステアリングを握り、仕事もプライベートもアクティブに生きる人には、プレミアムブランドが世に送り出すSUVの方がより魅力を感じるのではないだろうか。しかもラグジュアリーサルーンとは異なり、ラグジュアリーSUVには3列シートを備えるモデルもあり、大切な家族や仲間と楽しい時間を過ごすには打ってつけのクルマといえる。
メルセデス・ベンツやBMWも、それぞれのSUVラインナップにプレステージ性を究めたモデルを用意している。メルセデス・ベンツGLSとBMW X7だ。
GLSは、メルセデスのSUVであることを示す「GL」に、クラスを表す「S」を組み合わせた名前からのわかるように、同社のSUVのフラッグシップモデルだ。この3月に発売されたばかりの最新型は、「GL」として登場した初代から数えて3代目にあたり、全長5207mmの堂々たるサイズのボディに、Sensual Purityというデザインコンセプトに則った面を強調したデザインや、12.3インチワイドディスプレイを2つ横に並べた先進的なデザインのコクピットなど、最新のメルセデス・デザインを前面に押し出すことで、強い存在感を放っている。
一方のX7は、BMWのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)の新たなフラッグシップモデルとして2018年にデビューし、2019年に日本に上陸している。5165mmの全長は、GLSよりもわずかに短いものの、水平なラインが際立つボディや、巨大な縦型のキドニーグリルなどのおかげで、GLSを凌ぐ存在感だ。
いずれも3列シートを標準装備し、直列6気筒ディーゼルターボとV8ガソリンターボを用意しているが、今回はディーゼル仕様のGLS400d 4MATICとX7 xDrive 35dを引っ張りだし、その走りやパッケージングを検証することにする。