世界初の後席エアバックも採用!
メルセデスは新型Sクラスに関する情報を小出しに発表している。以前紹介したMBUXの進化版に続き、安全装備などの先進技術を公開した。
メルセデスは1981年に世界で初めて当時のSクラス(W126)に運転席用エアバッグを採用した。それから約40年、今度は後席用フロントエアバッグを世界で初めて新型Sクラスに装備する。前席の後ろ側に収められたエアバッグは箱型に展開。フーレム部分にはガスが充填されていて形状を維持、後席乗員の頭部を受け止める箱の中央部分には空気を充填することでクッション性を持たせている。やんごとない客人を乗せる機会の多いSクラスの後席に、世界最高水準の衝突安全性を用意したわけだ。メルセデスはこれまでも、先進技術はまずSクラスに装備してから裾野のモデルにまで広げていった。後席用フロントエアバッグの普及も期待されるが、スペース的な問題(後席と前席が近いとかえって危険な場合もあるため)などクリアするべき課題があり、すぐにAクラスにも採用というわけにはいかないようだ。
“PRE-SAFE Impulse Side”は、ボディサイドをモニタリングするレーダーセンサーが側面衝突の危険性を感知すると、車高を瞬時に最大80mmまで上げる機構。ボディ側面でもっとも頑丈なサイドシル部分で衝撃を受けることで、キャビンやドアの変形を軽減して乗員を守る。エアサスの場合、車高調整には通常ある程度の時間を要するが、新型Sクラスには現行GLEと共にデビューした“E-ACTIVEBODY CONTROL”が装備される。この機構はダンパーのみでも車高調整が可能なので、電動油圧式アクチュエーターを使いダンパーの伸ばすことで速やかな車高アップを実現している。“E-ACTIVE BODY CONTROL”をメルセデスは「フルアクティブサスペンション」と呼んでいることからも、最上級の乗り心地にも期待が持てる。
これまではAMGの一部車種のみに採用してきた後輪操舵がついにメルセデスにも導入される。60km/hを境に逆位相と同位相を切り替えることで、駐車の容易性と操縦性の向上を図る点は珍しくないが、驚くべきは停止からパーキングスピードでの後輪の操舵角が最大10度であること。これにより、最小回転半径が5.5mを切り、Aクラスとほぼ同等になった。
新型Sクラスは来る9月に、いよいよその全貌が明らかになる。