もはやBBSの顔となったロングセラーモデルであるLM 。最新のツーリングを見事に引き立たせながら、孤高の存在感を発揮する。
走りから実用性までが求められるBMWのツーリングをかっちり支える
毎年、あの手この手のデザインアプローチを持った新作ホイールが提案される中でも、我が道を貫くかのごとく不変の造形を貫いてきた。その製品力は今や世界中のカーフリークを納得させる定番となった。デビューから25年以上が経ち、もはやBBSの顔となったLMシリーズである。
姿カタチは変わらないのに、現行モデルにも違和感なく溶け込み、クルマの持ちうる性能と世界観を引き立ててしまうのには驚かされる。例えばこの5シリーズ・ツーリング(523d)。今どきの現行モデル(G31)で、あらゆる意匠が今ドキのテイストを感じさせるが、それでも足もとをBBS LMで支えると雰囲気が見違える。エクステリアはMパフォーマンスパーツでまとめておいて、足もとにLMをサラッと組み合わせる。それだけで時間軸を超越した伝統芸みたいなテイストとなる。
奇をてらわずド直球でBBS哲学を示す10本のクロススポークをはじめ、あらゆるレーシングフィールドやサイズマッチングに対応させるために必要から生まれた2ピース構造、サークル形状のセンターホールなど、どこを取っても機能美に満ちあふれている。その上でY字状のクロススポークがリムに突き刺さるような形状を持って収束していく様子は、どこかエレガントな印象もある。“駆けぬける歓び”を主軸に起きつつ、実用性や信頼耐久性を重んじて、さらにプレミアムな雰囲気も併せ持つ5シリーズ・ツーリングには最適だ。
今回、取り上げた523dツーリングは、今や老舗にして大御所のBMWチューナーとなったスタディの提案にして、横浜店のスタッフが普段使いしているリアルマシンでもある。ダウンスプリングとアジャスターがセットになったMSSアジャスタブル・ライドシステムを使って車高をわずかに下げ、堂々とした前後20インチ(F:9.0、R:10.0)を巧く履きこなしている。スタディならではのセッティング力が光る設定だが、より気軽に純正のまま履かせるのならLMには19インチも用意される。
これがBMW Mを筆頭とする辛口パフォーマンス系であれば、BBSの新潮流にして最先端技術を集結させた超超ジュラルミン鍛造1ピース系に行き着くのかもしれない。だが、ヨーロッパが育んだステーションワゴンで、そこにBMWが標榜する“駆けぬける歓び” を同居させたBMWのツーリング系なら、BBSらしい伝統芸を感じさせる2ピースのLMも似合う。と、この523dツーリングが教えてくれたようだった。