欧州ならではの風景と味覚を堪能しながらの旅
ついこないだ桜が咲いていたとおもったら、もうすっかり真夏の気候になりましたね! 私は5~6月にかけて、約6週間を愛車と共にドイツのラウジッツリングとニュルブルクリンク、そのままフランス ル・マンへ向かい、そこからイタリアのイモラのサーキット、そして3日自宅に戻り、またニュルブルクリンクへと実に6000km以上をひとりで走り切りました。ミュンヘンの自宅に戻って翌朝目が覚めた際には、一瞬自分がどこにいるのか分からなくなったくらいです(笑)。
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約9ヶ月ぶりのフランスのル・マン行き。そうです、ドイツから向かうとただただフランスの畑の真ん中を130km/h制限でクルーズコントロールを使ってひたすら走り続けます。今回はニュルから直接ル・マン行きなので、自宅から向かうよりは400kmほど短く、片道約700kmです。
あまりにも景色が変わらなさ過ぎて、本当に退屈なんですよ。高速道路沿いに建っている市町村の案内看板を見るのだけが唯一の楽しみ(笑)。なぜなら、その町の特産物や名所が描かれていて、想像の立ち寄り旅ができるからです。
そんな退屈なフランスの高速道路ですが、パリを抜けて行く時だけがかなりのヒヤヒヤなんです。もう毎回これだけが心臓に悪い! パリ市内や近郊にお住まいの方はあのカオスな状態を毎日のように行き来されているんですよね!?
今回はニュルから向かうと言う事でのんびりしていたら、丁度パリを通過する頃に帰宅ラッシュを直撃。普段から交通量がめちゃくちゃ多く、事故も多発するパリの高速道路が更に酷い事に。いつもの事なのですが、車間距離を取らないフランス人達に玉突き衝突防止で車間を取って走っていると、そこに右から左からウィンカーなしで割り込み、渋滞でノロノロ渋滞の合間を縫ってバイクやスクーターが物凄い勢いで左右からすり抜けていきます。かなりギリギリの車間を通って行くので車体に傷つけられないか、こちらもヒヤヒヤです。
道路上にはたまにサイドミラーやパーツの破片が落ちているので、それを踏んでパンクしないかも心配なところ。なので、こんな事を想像して前後にドラレコを着けていて、例え逃げられても証拠だけは残しておこうと思っています。ドラレコは以前よりもほんの少しだけ増えていますが、ヨーロッパで着けているクルマはまだごく少数です。
このパリの高速道路カオスの他にも、毎年私を苦しめた(笑)フランスの高速道路の料金所。カードレーンに並ぶもカードが反応しない、現金を正しい金額ぴったりに入れるも足らない表示が出るという事も多々あり、毎回料金所を通るたびに気が重かったのですが、今年はフランス・イタリア・スペイン・ポルトガルで使用できるETCを購入した事で、ETCレーンをスイスイ通り抜けられてルンルンな気分です。
しかし、初期登録料や年間使用料を考えるとよっぽど多くそれらの国を行き来しない限り、通行料は割高なのですが、あの毎回の恐怖を考えるとお安いもんです(笑)。
ル・マン24時間耐久レースの取材を終えて、次のイモラへ行くまでに少し時間がありましたので、以前から熱望をしていたプロバンス地方とコートダジュールの海岸線のドライブを決行する事にしました。しかし、ずっと涼しかったヨーロッパですが、急にル・マンのレース日から熱波が到来!
プロバンス地方へ向かう途中にまず1日目はリヨンで1泊したのですが、ホテルの部屋が西日を直撃しており部屋はサウナ状態、その上エアコンがなく、あまりの暑さにドア全開です。どうりで外にいるお客さんが多いなと思ったんですよね。
寝る時もドアロックを掛けた上で、ドアを半開きで寝ました。同じフロアの方々も大半がそんな感じでした。ヨーロッパのホテルでエアコンが装着されているところは、高級ホテルのみ。経費節約取材旅行をする私はいつも安いホテルを予約しますので、この急な暑さには本当に参りました。
あまりの暑さにお布団を持って駐車場で寝ている人もいてこれには本当にビックリ⁉ もうちょっと早く着いて、美食の街リヨンのビストロに行く予定を立てていたのですが……。
翌朝はプロバンス地方に向けて出発。あのドイツからル・マンへ向かう高速道路は退屈ルートですが、南へ向かうとアップダウンや景色の変化があり、楽しくなってきました。お目当てのラベンダー畑を見るために、途中から高速を降りて、ひたすら田舎道をのんびり走ります。あまりにも田舎過ぎて、外国ナンバーのクルマは全く見掛けませんでした。ラベンダーが満開になるには少し早かったものの、一面の紫とブドウ畑や果樹園の緑が広がり、青い空がなんとも美しい!
それにしても、コートダジュールの海はキレイでした!最初は曇りがちでしたが、それでも懐かしい磯の香とイタリアや南仏特融のセミの声(ドイツにはセミはいません)。暑さと疲れでぐったりしているのですが、キレイな景色を見ると疲れも吹っ飛びますね。都市部のようなクレイジーな走りや煽りをしてくるドライバーも殆どおらず、心穏やかに走れました(笑)。
サントロペはセレブのリゾート地でブランドショップが立ち並びます。有名なめちゃくちゃ美しいクリスチャン・ディオールのレストラン前では、数多くのツーリストが写真を撮っていました。もちろん、私もその一人です(笑)。コーヒーを一杯飲むにもドレスコードがあるんじゃないでしょうか。レース取材の旅にそんなステキなオシャレ服なんか一着も持ってきていませんし、そもそもそんなハイソサエティなみなさまとは違うレベルの人間です(笑)。一度訪れてみたかった町ですので、行く事ができて満足です。
サントロペから海岸沿いを走りカンヌへ。なんだか一気にまたセレブ感が上がったような雰囲気です。ここでカンヌ映画祭が開催されるのね、と思って通り過ぎたのですが、道路もかなり渋滞しています。当初はどこかにクルマを停めて街を散策してみたかったのですが、渋滞で一気に気分が萎え、そのまま素通りしてニースを目指します。これまたニース手間から大渋滞。今日中にモナコを抜けてイタリアまで行けるのかちょっと不安になってきました(笑)。
ニースからモナコへ海岸沿いを抜けたかったのですが、なぜかナビが山のコースに導き、まるでラリーモンテカルロのコースのような峠を走りました。途中、山の上からモナコを見られたので良しとします。山の上から景色を見ていると、2台のバイクも停まり、まさかのドイツナンバーのご夫妻。結構ご近所さんだったようで、話が弾んでしまいました。モータースポーツのファンだそうで、旅行がてらヨーロッパの色んなサーキットにレース観戦&キャンプをしておられるとか。バイクはキャンピングカーに牽引で持ってきて、現地のアシにされているんですって! ステキな旅ですね。
そして、途中に行ってみたかった美しいエズ村も通り、ここもいつか立ち寄りたいと願っていた所なのですが、もう既に辺りは薄暗く、観光どころじゃないくらいに時間が遅かったのです(ヨーロッパの夏至は22時位まで明るいので、薄暗い=かなり夜中に近いのです)。
急いで山を下り、再び海岸沿いに出た頃には真っ暗。イタリアとの国境を通り、宿へ辿り着きましたが……。あなたが予約したのは前日で、今日は満室ですよ!と。えぇぇぇぇ~、そんなバカな。予約した日を間違え、その料金も取られ、夜中に部屋はないとあり、途方にくれていると、オーナーさんが近所の小さなホテルへご連絡をしてくださり、お部屋があってほっと安心。しかし、ホテルに駐車場がなく、居住者以外でも縦列駐車が可能な場所をひたすらぐるぐる走り回って探す事に。夜中に狭いスペースへキチキチに縦列駐車をするという罰ゲームまであり、なんともハプニングだらけです。
さて、翌朝はこれまた暑い中、イタリアの海岸沿いを走ってジェノバまで向かいます。海がキレイ、景色もキレイ、本当にテンションが上がります! でも、下道はとんでもなく時間が掛かります。イモラのペンションからは19時から21時の間のみチェックイン可能とご連絡を頂いていましたので、時間が怪しくなってきました。
当初はピサの塔辺りまで海岸沿いを走り、そこからフィレンツェを抜けてトスカーナ地方の丘陵地を走る計画を立てていましたが、間に合わない! という事で、急遽ジェノバで計画変更。満タンに給油し、高速道路に乗ってイモラを目指しました。
これまた夕方の帰宅ラッシュ時になってしまった事もあり、イモラの手前のパルマ(名前だけで美味しそう!)やモデナ、ボローニャで渋滞やノロノロ運転が続き、さすがに疲れたので途中のサービスエリアでゆっくり時間を過ごしました。
それにしても、フランスとイタリアを久々に走りましたが、いつもながら突っ込みどころが満載です。イタリア人、高速道路の工事で60km/h速度規制のところを100km/h以上でみんなビュンビュン飛ばすってどういう事ですか?! ドイツなら高確率で工事現場の速度規制の所にはオービスが仕込まれていますので、100km/h以上で走ったら、免停+高い罰金が待っています。走行車線のトラックの後ろに着きますが、トラックも80km/h以上で平気に走っているので、物凄い勢いでフラッシュライトの煽り攻撃を受けるので怖い怖い。翌日、仕事先のサーキットでドイツ人メディア関係者ともその話題で盛り上がりましたよ(苦笑)。
フランスとイタリアではドイツナンバーはめちゃくちゃ煽られる、それもコンパクトカーに! フランスではルノーのクリオ(日本ではルーテシア)、イタリアではフィアットのプントやパンダで、これらのクルマを見るのが憂鬱でした。
速度制限がある中で、あれだけ猛スピードで走り、煽ってくるフランスやイタリアナンバーの車ですが、ドイツの速度制限解除の区間では合法的にいくらでもスピードを出しても良いにも関わらず、遅いのはなぜでしょうね。思いっ切り踏めば良いのに……、いつもフシギです。
イタリアやフランスへレンタカーでのドライブ旅行を今後ご計画の方、スーツケースやお土産や乗る人数にもよるでしょうけれど、都市部へのご旅行をご予定の方はなるべくコンパクトなクルマをレンタルされる事をおススメします。狭い箇所への縦列駐車、狭い地下駐車場、遠い昔に教習所で習ったS字とクランクなんかが余裕に感じられるような激狭道路も多々あります。
私の愛車は長さ4454mmx幅1774mmとさほど大きくありませんが、ただでさえ狭い道路に縦列駐車でびっちり埋まっていたり、狭いT字路の所に丁度に停めてあって、ちょっと待ってよ~どうやって曲がる? 的な冷や汗ものの個所も多々あります。
今回も無事に帰って来られて良かったと思う一方で、後でスピード違反などの罰金のお手紙が何通来るかが不安なところです(苦笑)。
この記事を書いた人
武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。