遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は『カー・マガジン・ウィークエンド・ミーティング2019秋in大磯』のベスト・ヤングタイマー賞に輝いた1台のイラスト化! 栄えある受賞車は『BMWアルピナB9 3.5クーペ』ですヨ!
ボクらのヤングタイマー列伝第42回『アストンマーティンV8』の記事はコチラから
1980年代初頭のヨコハマタイヤ『ASPEC』のCMに”出演”していたB7ターボ・クーペのイメージも強烈でした!
今回の『ボクらのヤングタイマー列伝』のイラストは『カー・マガジン・ウィークエンド・ミーティング2019秋in大磯』来場車から選んだ1台を描きました。恒例となりました半期に一度の人気!? 企画です。会場には国内外、新旧いろいろな車種が来るため、選抜は面白くもあり大変だったりします。そして今回、その中でとびきり存在感を放っていたのが、『BMWアルピナB9 3.5クーペ』でした。E24自体が珍しいのにそのアルピナ版、しかも素晴しい状態で会場でも注目度抜群!
B9 3.5クーペは、BMW公認チューナーとして高い人気を誇るアルピナが、初代6シリーズの635CSiをベースに1982年から1985年まで作っていた高性能モデルです。1986年にBMW Mが生み出した『M6』はDOHCでしたが、こちらはSOHCのままチューニングし、185psから245psまでパワーアップしていました。なおアルピナのE24型はB9 3.5クーペが初めてではなく、その前に3リッター+ターボで300psを誇った『B7ターボ・クーペ』も存在しました。高性能なのにアピールが控えめなのはアルピナの伝統ですが、B9 3.5クーペも大型化されたフロントリップスポイラーが目立つ以外は、繊細なピンストライプ、シャープな造形の16インチホイールなど”派手さよりも上品さ”を感じさせる外観になっています。
美しく仕上げられた1984年型B9 3.5クーペに乗るオーナーのOさんによると、購入したのは5年前(執筆時)。新車のような姿には理由があり、エンジン以外はあらゆるところが新品に交換されています。部品も少なくなっており、整備はディーラーでしているものの、維持費も高く乗り続けるのは大変とのこと。Oさん曰く、やはり魅力は「世界一美しいクーペ」であるE24型そのもので、さらに1980年代初頭のヨコハマタイヤ『ASPEC』のCMに”出演”していたB7ターボ・クーペのイメージが強烈で、アルピナにも強く憧れをていたそうです。E24型オーナーの間ではM6に乗った人も、最後はアルピナに辿り着くのだとか。ちなみにOさんは、E24型の後継車『BMW 850i(E31型)』(しかも湘南BMWの1号車)も長い間お持ちだというのですから、驚きです。どちらも貴重なモデルになりましたので、これからも大事に乗ってくださいね!
余談ですが、高校生のとき父親がE24型のBMW 633CSiに乗っていました。悲しいかな、僕が免許を取った頃にはいなくなってしまいましたが、E24型は、多感な時期だった僕に、デザインの重要性やドイツ車の魅力などいろいろなことを教えてくれた、忘れ得ぬ1台なのです!
この記事を書いた人
1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。