実車のような前後フェンダーの美しい抑揚と、笑顔のようなフロントマスクの造形が魅力
今回は、テクノNo.925 メルセデス・ベンツ300SL HTのご紹介です。
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人それぞれ、生まれた時代によって個々のスーパーカーに対する見識は異なると思います。昭和30年代生まれの私にとっては、高性能で美しく流れるようなスポーティで美しいスタイルのメルセデス・ベンツ300SLがとても印象に残る憧れのスーパーカーでした。しかも年齢的には、ガルウィングではなく縦目のヘッドライトを装着したロードスターの300SLです。
当時は、各ブランドのミニカーで多数モデル化されましたが、個人的に最も好きなロードスターのミニカーが、今回ご紹介するテクノ製の300SLです。同ブランドの300SLは、品番No.924がオープンルーフのロードスターで、No.925がプラスチック製のHTを装着したモデルとなります。
ルーフの無いロードスターには、男性もしくは女性のドライバーのフィギュアが乗車しており、HT版はクリアーのプラスチック製HTを内側からルーフ部分を塗装した一体成型となっており、シルバー・メタリック、ホワイト、ゴールド・メタリック、淡いブルーメタリック、レッド、グリーン・メタリック等のボディカラーに応じ、黒、赤、緑等に配色を変えたHTを装着した、お洒落なミニカーでした。
また、室内のカラーはホワイトとレッドのバリエーションがあります。このミニカーの前期モデルは、ダイキャスト製のラジエターグリル、エンジン、前後バンパーにシルバーペイントがされており、後年のモデルはそれらが地肌のままで、ラストモデルは、それらがドブづけメッキ(溶融亜鉛メッキ)仕様となります。
尚、アクションはスプリングサスペンション、ボンネット、トランクが開閉し、エンジンルーム内に別パーツのダイキャスト製エンジン、トランク内には装着されているものと同じスペアタイヤを備えています。
1962年に製造されたこのミニカーは、ラジエターグリルが実車のように貫通しており、グリル越しにエンジンルーム内のラジエターが見える作りに感動します。当時モデル化されたミニカーの中で、このテクノ製を選んだ理由は、1/43スケールながら、実車のような前後フェンダーの美しい抑揚の表現と、笑顔のようなフロントマスクの造形に感銘を受けたからです。
やや残念な部分としては、一体成型のHTのため、ウィンドウとルーフの堺がなく、ややおもちゃっぽい作りであることと、トランク開閉機構及びシャシーとリアバンバーの装着を兼ねるコイルスプリング機構から、後輪がやや腰高な部分ですが、シートやステアリングまでダイキャスト製である重厚な作りと当時のテクノ製の特徴でもあるブリキ製ホイールキャップとホワイトウォールを兼ねたダイキャスト製のホイールリムによるリアルな造形も含め、それらの短所を補っても十分有り余るような魅力で溢れる名車だと思います。
この記事を書いた人
モデル・カーズ 「丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー天国」並びにRM MODELS 「TRAM&CARS」に執筆中。愛車は1987年から所有している丸餅(’71 FIAT500L改)と1999年から使用している’91 メルセデス・ベンツ300E-24 (W124-031)。ヌォーヴァ・チンクエチェントと50年以上コレクションし続けているミニカーの啓蒙と伝道が使命。