DA PAMPのU.S.Aがアタマの中で何度もグルグルして浮かれ気分(笑)
年が明けて、すっかりもう1月も終わり、毎日時の流れがとても速く感じる今日この頃です。ちょっとお声掛けを頂き、生まれて初めてのアメリカへ行く事になりました。それも、デイトナ24時間レース取材です!
【画像66枚】初のアメリカ・デイトナ24時間レース取材と高速&サービスエリアの雰囲気
一度は訪れてみたいと思っていた世界三大レースのひとつですから、遠足前夜以上にワクワクドキドキ。ヨーロッパからは非常に遠い上、昨今の航空運賃や物価の大上昇で、なかなか行く機会も金銭的な余裕もなかっただけに嬉しくて仕方がありませんでした。
しかし、ミュンヘン空港からマイアミへ出発する当日から運悪くドイツ鉄道のストが開始! 日本のように直前に回避するという事はほぼありませんので、電車で自宅から空港へ行くルートはないとみなしておかなければなりません。
地下鉄やトラムは市営ですので通常運行中。取り敢えず、地下鉄で中央駅まで行き、唯一1本だけあるルフトハンザの空港行のバスに乗りました。恐らく私と同様に電車で行くハズだったけどバスに乗り換えた乗客で溢れ返る事を予想し、11時過ぎの出発の予定ですが、まだ夜も明けぬ真っ暗な内に家を出たお陰で、なんとか余裕のあるチェックインが出来てホッとしました。
普段はヨーロッパ各国へ自走でどこへでもひとりで行く私ですが、本当にアメリカは初心者! DA PAMPのU.S.Aがアタマの中で何度もグルグル流れて浮かれ気分なおのぼりさんの初アメリカ上陸記にお付き合いくださいませ(笑)。
入国審査の際に、審査官の方から「観光の目的は?」と聞かれ、浮かれた私は「デイトナ24時間レースに初めて行くので~す! アメリカに来たのは初めてで、めちゃくちゃ嬉しいです!」と言ってしまい、ちょっとコワモテだった審査官の方もププッと笑い「Welcome!」とおっしゃってくださり、「マイアミビーチには行く時間がある?そっちも是非寄ってね~」と非常にフレンドリー。
浮かれて気分で荷物を引き取り、30分後にパリから到着するフランス人ジャーナリストと到着ロビーで落ち合い、一緒にシャトルに乗ってパークハウスへ。このデイトナ24時間レースウィーク中の私達のアシに用意されていたは、なんとBMW Mの鮮やかなファイヤーオレンジのM4 コンペティション カブリオレ!このM4を目の前に、空路の11時間以上の長旅の疲れも一瞬で吹き飛び、これまた約5時間近い陸路をM4でデイトナビーチ沿いのホテルを目指して真っ暗なハイウェイをノンストップで走りました。
翌朝からは毎日このM4に乗り、デイトナ インターナショナル スピードウェイへ。ヨーロッパのサーキットとは全く違う雰囲気に圧倒されながらも、フレンドリーな人々にこちらも笑顔になります。同行していたフランス人も、「シルブプレー!」と怒鳴ってばかりいるフランスのサーキットとは大違いだねと(笑)。
ヨーロッパとは違うフレンドリーな雰囲気にすっかり魅了され、何か困っていると必ず手を差し伸べてくださる方がいらっしゃる。日本人として、おもてなしは日本だけのものじゃないと実感しました。
今まで写真や映像でしか観た事のなかった傾斜31度のオーバルが有名なグランドスタンドを目の前にして、めちゃくちゃ感動しました。スタートグリッドの際にはこのオーバルも解放され、ファンの方々がスタートグリッドの横の芝生やこのオーバルでピクニックをする姿にもカルチャーショック! ヨーロッパのサーキットでは全く有り得ない光景ですが、みなさん本当に楽しそうで、私もファンとして同じ体験をしてみたくなりました。
レース決勝日には非常に混むと聞いていましたので、その前日にパドックの自動車メーカーの展示エリアを訪れてみました。アメリカを代表するコルベット、フォード、キャディラックをはじめ、ホンダのアメリカブランドのアキュラやトヨタGazooレーシング、レクサス、BMW M等も並び、ダラダラ見ているだけでも楽しいのですが、なんとアメリカメーカーは太っ腹にTシャツも配布していて、ありがたくお土産に頂いてきました。
そんなおおらかで楽しいアメリカですが、ハイウェイの運転はおっかなビックリ。ここは日本? と思うような、交通ルールもむちゃくちゃな感じで衝撃的でした。
ドイツを中心に、オーストリア、スイス、ルクセンブルグ、リヒテンシュタイン王国、モナコ公国あたりはヨーロッパの中でも運転マナーが良い方なので、ある意味無茶苦茶なアメリカには大カルチャーショック!
アメリカもヨーロッパ同様に右側通行なのですが、右側の走行レーンがガラ空きなのに、ずっと追い越し車線や走行車線の真ん中レーンをのんびり走り続けるドライバーの多い事!ましてや、真ん中レーンを走るドライバーを左右からサンドイッチで追い抜くなんてなんのその。トラックだって追い越し車線をぐいぐい走るぞ~! と言う感じで、もはや交通ルールなんか殆ど存在しないような感じです。
ドイツのアウトバーンの速度制限解除区間でそんな事をしようものなら、大事故に繋がるだけでなく、死傷者さえ多々出そうな悪状況で驚きました。
案の定、道中では何度か事故にも遭遇しました。ヨーロッパではトラックは追い越し禁止の区間が多く、追い越し禁止解除の標識が出ている区間以外では右の走行レーンを走らなければなりませんので、大型トラックが勢いよく速度制限を無視してM4を抜いていくのにはさすがに運転していたフランス人もビックリ!
でも、のんびりとマイペースで追い越し車線や真ん中の走行車線を走り続けるドライバーに、「フランス人がドイツのアウトバーンを走るとまさしくアレだよね!」というと、赤面(笑)。
また、アメリカ人に多かった、ウィンカーを出さずに車線変更を急にする、ウィンカーを止めずにずっと出したままで何をしたいのか分からないドライバー……。
まさしくアメリカもフランスそのままで、さすがにフランス人の同僚も、これはフランスでもイライラするし、まさかアメリカ人がフランス人と同じ事をするとは、と呆れていました(笑)。そんなこんなのあれこれをお互い下手な英語で話しながら、M4のドライブを楽しみました。
日本でいうサービスエリアは『サービスプラザ』という標識が出ており、そんな事にもいちいち感動(笑)。ただ、このサービスプラザがクセもの。右側通行なのに、なぜか左側に入り口や出口があるのです。
中はヨーロッパと似たり寄ったりな感じではあるのですが、懐かしいウェンディーズ等が入っていて思わず購入しましたが、簡単なチーズバーガーのようなのが2つ、ポテトが2つ、辛い新製品のポテトが1つとドリンクのMサイズ2つで約30ドル(約4400円)に驚愕しました。
このサービスプラザを出る時の合流が追い越し車線と交わるだけでなく、左ハンドルは見難いのです! いちいちドキドキものです。ヨーロッパではあり得ない構造ですし、特にドイツは速度無制限の追い越し車線から合流するなんて恐ろし過ぎますよね。スイス等でたまに左からの合流はあるものの、ドイツのアウトバーンでは不可能な感じです。
アメリカを象徴するドでかいピックアップトラック! きっとNYやロス等の都市部ではなかなか難しいのかも知れませんが、デイトナ近辺の広くまっすぐな道では、ピックアップトラックだらけです。
私の住む街ミュンヘンもあの大きさのクルマはなかなか駐車するのも大変そうだな~と見ていました。ピックアップトラックに乗りコストコのような大型スーパーで、ガロンのドでかい牛乳やジュースをはじめとした大きな買い物をする為に大きなクルマを買うのかと思いきや、荷物を積んでいるのは皆無。カッコ良ければなんでもいい!
デイトナ24時間レースのキャンプ場では数多くの牽引タイプのキャンピングカーを見掛けましたが、ピックアップトラックで牽引しているのは正しく正統派なアメリカでの使い方なのかな、と感じました。各メーカーのピックアップトラックの他に、日本車がとても多く走っているのを見掛けました。
ドイツでは日本車を見掛ける台数は年々減っているように感じるだけに新鮮でした。ドイツ車もそこそこ多く見掛けましたが、意外とフランス車やイタリア車は極僅かしか見掛けなかったのはナゼでしょうね。アメリカは国土が広いので、もしかしたら州や地域で走っている車種も違うのかな? と想像しました。
同行していたのが、フランスの某大手メディアのジャーナリストとあり、日本ではルノーのカングーがオシャレな人達に大人気なのよ、という話をしたら、「えっ?あのカングー?」と信じられないようでした。フランスでもドイツでもカングーは職人さんや個人商店の働くクルマとして重宝されており、オシャレとかファッショナブルとは結び付かない車両なだけに、パリに住む彼もビックリしていました(笑)。お国変われば……ですね!
今回の旅は5日間と短かったのですが、アメリカ超初心者には何もかもが新鮮で充実した日々を過ごしました。フランス人のお抱え運転手に全てお願いして、助手席で景色を楽しみましたが、次回は私もステアリングを握ってみたいですね! もうちょっと長く滞在してみたいと願ってもいますが、恐ろしく高い物価に躊躇してしまう自分もいます。
この記事を書いた人
武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。