国内試乗

【国内試乗】ついにフル電動化を果たした新型MINIのクロスオーバーモデル「ミニ・カントリーマンSE オール4」

去る3月にフルモデルチェンジが行なわれ、全てが刷新された新型MINI。国内にもニューモデルが続々と上陸中だ。今回はクロスオーバーであるカントリーマンの電動モデルに公道でいち早く試乗する機会に恵まれた。史上最大のボディサイズと電動化で進化したMINIの実力は──?

ファーストカーとしても十分な実用的を備える

MINI史上最大のボディサイズを謳い、ファミリーカーとして最適なカントリーマンに、BEV(電気自動車)のEおよびSE ALL4が加わった。前者はFWD(前輪駆動)で最高出力150kW(204ps)。後者は前後にモーターを搭載する4WDでシステム最高出力は225kW(306ps)に達する。ガソリン車のS ALL4が300psなので、それと同等のパフォーマンスと言えるだろう。今回はSE ALL4に試乗した。ガソリン車のJCWとS ALL4には乗ったことがあるので、その記憶と照らし合わせながら都内近郊を走り回った。

MINI史上最大のボディサイズとなる新型カントリーマン。リアシートの居住性やラゲッジルームの積載性も含めて実用性は抜群。航続距離も必要十分でBEVのファーストカーとしても最適だろう。

まず発進時の力強さと滑らかさはSE ALL4の圧勝だ。ガソリン車も十二分にハイパフォーマンスだが、やはり電気モーターの低回転域のトルクにはかなわない。それは巡航から加速に移るときなどにも感じられる。ICE車は苦手な回転数にあるとわずかにもたつくことがあるが、BEVはいつでもトルキーだ。300kg以上は重いのだが、加速時にそれを感じさせることはない。

SE ALL4は前後にモーターを搭載し、システム最大で306ps/494Nmを発揮する。急速充電は最大130kWまで対応し、現在国内でも普及しはじめている90~150kW充電器の恩恵を十分に受けられる。

静粛性でも圧倒しているが、路面がザラついているとタイヤのパターンノイズがやや耳に付くことはあった。ICE車では目立たないのだが静かな分、聞こえやすいというのはBEVの宿命。高級車はコストをかけてそれも抑え込んでいるが、むしろCセグメントでは致し方ない。このクラスとしては優秀と言ってもいいだろう。

回生ブレーキの強度は設定によって低い、普通、高い、アダプティブと4段階から選択できる。アダプティブは何もなければ回生ゼロのコースティングで、前走車に近づくと回生強度を高めていくもので、慣れると使いやすい。走るステージや交通状況にもよるが、好みは人それぞれなのでいろいろ試してみるといいだろう。

ユニークなのが、デジタル・エクスペリエンス。最新のOS9を搭載し、円形有機ELセンターディスプレイでコントロールすることで様々な体験ができる。ゴーカートモード、パーソナルモード、トライアルモード、ヴィヴィットモード、グリーンモードなど多くのモードが用意されていて、切り替えるごとにメーターの表示やサウンドが変わる。すでに一般的になってきているBEVの疑似サウンドは、ギミックだと嫌われることもあるが、MINIのキャラクターには合っている。それも多種多様だから楽しい気分になるのだ。

標準のホイールサイズは前後225/55R18となるが、試乗車はオプションとなる245/45R19を履く。タイヤはハンコック製のVENTUS S1 evo3だった。

MINIといえばゴーカートハンドリングが走りのキャラクターであり、それとトレードオフで乗り心地がやや硬め、というのが常だったが、カントリーマンはICE車、BEVともに快適だ。ゴツゴツとした突き上げなどはほぼ感じられず、サスペンションはスムーズにストロークする。ある意味ではMINIらしさが薄れたとも言えるが、ファミリーのためのファーストカーだとみれば最適だろう。車両重量が重い分、ICE車よりも上下動もゆったりしていて、より快適に感じられる。

新型MINIのインテリアはミニマリズムを追求したスタイリッシュなもの。往年のセンターメーターを意識させる直径240mmのセンターディスプレイや、トグルスイッチなどの伝統的なMINIの要素も健在だ。

だからといってハンドリングがつまらないかと言えばそうではない。ステアリング操作に対して機敏に反応するのはMINIらしいところで、その後の動きがちょっと違う。キュキュッとノーズが水平移動していくような動きがゴーカートハンドリングだが、カントリーマンはある程度のロールを許しながら自然な感覚で曲がっていく。むしろ動きのプロセスがわかりやすいので一体感もあり、高度なハンドリングと言えるだろう。

カントリーマンのBEVを選ぶとして、FWDでも十分かと思われるが、価格差は69万円に抑えられている。また、バッテリー容量は同じながら一充電走行距離の差も少ない。コスパがいいのもSE ALL4の持ち味といえるだろう。

ラゲッジルーム容量は460Lを確保。バッテリーなどの関係でICEモデルより多少少なくなってしまうが実用上の問題はほぼないだろう。リアシートは40:20:40の分割可倒式で、最大1450Lまで拡大が可能だ。

【Specification】ミニ・カントリーマンSE ALL4
■車両本体価格(税込)=6,620,000円
■全長×全幅×全高=4445×1845×1640mm
■ホイールベース=2690mm
■車両重量=2020kg
■モーター形式/前:種類HB0001N0/交流同期電動機、後:HB0002N0/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:190ps(149kW)/8000rpm、後:190ps(149kW)/8000rpm
■モーター最大トルク=前:247Nm(25.2kg-m)/0-4900rpm、後:247ps(25.2kg-m)/0-4900rpm
■一充電走行距離(WLTC)=451km
■トランスミッション形式=CVT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:225/55R18
問い合わせ先=BMWジャパン TEL0120-3298-14

フォト=篠原晃一 ルボラン2024年9月号より転載
石井 昌道

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