軽乗用BEVコンセプトモデル「Vision e-Sky」をワールドプレミア
東京ビッグサイトで2025年10月30日~11月9日に開催中の「ジャパンモビリティショー2025」の中でも、四輪や二輪をはじめ、船外機やロボティクスまで、様々なモビリティの可能性を多角的に提示していたのがスズキブースだ。スズキが今回のショーで掲げた出展テーマは、コーポレートスローガンでもある「By Your Side」を体現する「あなたに、ワクワクの、アンサーを。」。その広大なブースは、このメッセージを体感できるような、総合モビリティメーカーとしての技術とアイデアが詰まった空間となっていた。
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鈴木社長が語る「カーボンニュートラル時代のスズキの役割」
プレスカンファレンスでは、まずはスクリーンに代表取締役社長の鈴木俊宏氏がアニメーションで映し出され、スピーチをしながら本人が登壇するというユニークな演出が行われた。その後鈴木氏は、「スズキはこれまでも、そしてこれからも、お客様の最も身近な存在として、『小さなクルマづくり』のDNAを守り続けていく」と強調。その上で、カーボンニュートラルの時代においても、移動の自由と楽しさを守り抜くことがスズキの使命であると述べた。
「私たちは、カーボンニュートラルという大きな課題に直面していますが、その答えは決して一つではありません。電動化だけでなく、水素、バイオガスといった多様な選択肢を追求し、世界中のお客様の生活や、地域のエネルギー事情に『寄り添う』ことが重要です。今回の展示は、そのための多角的な取り組みを見ていただく場です」。この言葉は、ブースに並んだ多岐にわたるモビリティ群が単なる技術展示ではなく、地域や人々の生活に根差した具体的な「アンサー」であることを明確に示していた。
未来の日常を変えるEVコンセプトと新型市販予定車
スズキのブースでの最大の見どころは、四輪部門の目玉であるワールドプレミアの軽乗用BEVコンセプトモデル「Vision e-Sky」だ。2026年内の市販を目指すこのモデルについて、社長は「日本の日常に不可欠な『軽自動車』に、スズキらしい実用性と楽しさを両立させるEVの未来を込めた」とコメント。そのデザインやコンパクトながらも機能性を追求したパッケージングは、電動車でありながらもスズキらしい実用性と楽しさを両立。航続距離は270km以上を実現するという。その他にもダイハツとトヨタの3社で共同開発している、BEVシステムを搭載した商用軽バンのEVモデルとなる「e EVERY CONCEPT」や、「フロンクス FFV コンセプト」なども展示。また、二輪では市販予定車として、新型ネオレトロモデルの「GSX-8T」「GSX-8TT」が日本で初めて展示され、バイクファンからも熱い視線が送られていた。
モビリティの定義を拡張するロボティクスとインフラ
スズキブースは、自動車やバイクだけに留まらない「総合モビリティメーカー」としての側面を強く打ち出していた。特に注目されたのが、「MITRA コンセプト」をはじめとする電動モビリティベースユニットだ。これは物流や農業など、多様なロボットの足回りとして活用されることを目指す開発中のユニットであり、ブースではLOMBYの自動配送ロボット「LM-A」など、パートナー企業との連携による活用例が展示された。
社長は、「人が乗るモビリティだけでなく、インフラや産業を支えるモビリティ、そして社会課題の解決に寄り添うロボットへと領域を広げ、移動のあらゆる場面で『By Your Side』を実現していく」と、未来のビジョンを語り、来場者の期待を高めていた。
ジャパンモビリティショー2025のスズキブースは、単なる技術展示ではなく、軽EV、水素エンジン、そしてロボティクスに至るまで、カスタマーの生活に寄り添いつつ、未来のモビリティの形を提示する場であったと言えるだろう。
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