19カ月をかけて完全レストア
ランボルギーニのレストア部門であるポロストリコはこのほど、「ミウラSVR」の修復を完了。日本人オーナーのもとに無事に返すとともに、岡山県の中山サーキットで披露された模様を公開した。
SVRを名乗るミウラが世界に1台しか存在していないワンオフモデルであることは、ファンの間ではよく知られている。シャシーナンバー♯3781、エンジンナンバー2511、ボディナンバー383のこの個体は、1966〜1972年に763台が生産されたミウラの1台。生産時はミウラのトレードマーク的カラーであるグリーンのボディにブラックのインテリア組み合わせる「S」バージョンとして誕生し、1968年11月に開催されたトリノ・モーターショーで公開された。
この個体は8人のイタリア人の手を経由したのちドイツ人オーナー、ハインツ・ストラベール氏に渡った。彼はランボルギーニに改造を依頼。18カ月の時間をかけてSVRへと変身を遂げた。その後、1976年には日本の伊藤広光氏の手に渡ることに。ちなみに、このミウラSVRは、漫画「サーキットの狼」(池澤早人師著)に登場したり、模型メーカーの京商がスケールモデルを発売するなど、大きな話題を呼び日本でも伝説のモデルとして今でも語り継がれている。
ランボルギーニのアフターセールス部門長でポロストリコのディレクターを務めるパオロ・ガブリエッリは、次のようにコメントしている。
「(この個体の)フルレストアは通常とは異なるアプローチを要し、19カ月かかりました。オリジナルの生産資料はあまり参考にならず、おもに1974年の改造時の仕様に頼ることになりました。また、部品がすべて揃っていましたが、クルマが分解されてサンタアガタに届いたこと、そして大幅な改造がなされていたことが、レストアをさらに難しくしました。今回は4点式シートベルト、サポート力を強化したシート、取り外し可能なロールバーの追加のみ、 オリジナル仕様から変更しています。これはオーナー様から特別に依頼をいただいて追加したもので、レーストラックでのエキシビション走行の際の安全性向上を意図しています」