NISSAN Intelligent Mobility 雪上・氷上試乗会 in 女神湖
ニッサンはこれまでにいくつかの凝った4WDシステムを世に送り出している。それを代表するモデルがGT-Rのシステムだろう。動画の中でも解説した通り、基本的には後輪を駆動し、テールが滑り出した際にフロントへと駆動を配分する「アテーサET-S」を搭載することは、R32~34型のいわゆる第二世代GT-Rと同様だが、現行のR35型はトランスミッションをはじめとする駆動系をリアに搭載。4輪の接地をバランスさせた上で4WDにしているところがミソだ。
おかげで車体はかなり操りやすくなっている。特に今回試乗した2017年モデル(MY18)は、ボディにも改良が施され、フロントタイヤの接地性を高めていることもポイントのひとつ。まるでFRのようなコントロール性を持つアテーサET-Sとの合わせ技があったからこそ、氷上でも優れたコントロール性を見せたのだろう。
もうひとつ注目に値するのは、コンパクトSUVであるジュークが採用する「16GT-FOUR」である。このクルマはリアに左右輪のトルク配分を行うことを可能にする、電子制御式ディファレンシャルを有しているところが特徴的。おかげでスロットルを開けていけばヨーモーメントが発生し、滑りやすい路面であっても鼻先はインを突き刺すように旋回していけるから面白い。
この2台を見てもわかるように、ニッサンはアクセル操作によってクルマを操ろうという考え方が染みついたメーカーのように感じる。だからこそ、フロントドライブとなるEV(電気自動車)のリーフであったとしても、そんな乗り味を大切にしたのだろう。EVの特徴を活かし、1/10000秒単位でトルクを制御しながら滑りやすい路面を蹴り出す感覚は、「これがFFの発進なのか?」と疑うほどスムーズ。そのトルクコントロールは旋回中にも行われており、おかげでスラロームでは無駄のないライントレース性を見せてくれた。また、減速時においてもリーフの「e-Pedal(イーペダル)」がピッチングの少ない減速を実現。通常、ブレーキペダルに足を乗せると無駄なピッチングが起き、低μ路では即座にABSが介入する。しかし、今回の氷上のような状況でもe-Pedalならスムーズに駆け抜けてくれる。ワンペダルで回生ブレーキと4輪のディスクブレーキを自在に操ることを可能にする、リーフのe-Pedalは、やはり駆動系のコントロールに“一家言”を持っている、ニッサンならではの世界のように思えたのだった。