フォルクスワーゲンとPSAはさらなる積極策を提示。
すでに現行ゴルフでも欧州市場には12Vのマイルドハイブリッド車がラインナップ済み。次期ゴルフの48V搭載車は、国内導入が期待されている
電気自動車(EV)が内燃機関のクルマにとって代わるにはまだ時間がかかりそうだが、自動車メーカーの電動化への意欲は高まっている。特に中国では政府がEV優遇政策を打ち出していることもあり、この世界最大の自動車マーケットでのシェアアップを狙って各社とも電動化をアピール。EV走行距離を伸ばしたプラグインハイブリッド車、48Vのマイルドハイブリッド車なども含め、それぞれ独自の電動化を進めている。
フォルクスワーゲングループ(VW)は新たなEVブランドである「I.D.」を立ち上げ、北米や中国での展開を予告しているが、さらに次期ゴルフ(8代目ゴルフ)では48Vバッテリー搭載のマイルドハイブリッド車をラインナップすると表明。VWの最量産モデルへの投入だけに、これがダウンサイジングターボの進化版として登場することになるのか興味深いところだ。VWはこの48Vマイルドハイブリッドと、次世代EVブランドの「I.D.」を同時に展開することで電動化モデルの選択肢を増やし、より多くの人がさまざまなモデルを選べるようにラインナップを整えていく考えだ。
PSAグループもここにきてDSブランド車を2025年までにすべて電動化すると宣言。上級ブランドに位置づけられるDSはすべてEVおよびハイブリッド車となるわけで、今秋のパリ・サロンでは新型のEVを披露し、その方向性を明確にするという。
トヨタ、日産、ホンダは中国市場でのシェアアップを狙う
日本に目を向けると、トヨタは北京モーターショーでカローラPHVを発表し、2020年までにC-HRハイブリッドの投入を明言。中国で電動車の現地生産も進め、電動化戦略をより強めていく構えだ。日産もやはり北京モーターショーでシルフィのEVを発表し、セダン需要の高い中国のマーケットにアピール。リーフで培ったEV技術を投入したセダンということで注目されており、今年後半には発売する予定だ。
ホンダも負けじと中国専用の「理念EV」のコンセプトモデルを発表し、2025年までに20車以上の電動車両を中国で投入するとしている。欧州や日本ではまだしばらくはハイブリッド主体の電動化が続くと思われるが、中国ではそれを飛び越えて都市部を中心にEVの普及が一気に進むのか、それともプラグインハイブリッドの段階でワンクッション置くことになるのか。巨大マーケットを狙う自動車メーカーによる試行錯誤が続くことになりそうだ。