旅&ドライブ

旅心をかき立てる道。絶景ドライブ100選「磐梯吾妻スカイライン(福島県)」

ダイナミックに表情を変える山々の姿に息を呑む。

百年以上の時を経てもなお、明治21年(1888年)の噴火による崩壊の傷跡を見せる磐梯山。この山を遠巻きに望みながら、山形と福島の県境にまたがる吾妻連峰の東端を抜けていく磐梯吾妻スカイライン。

かつての磐梯山はその急峻な頂の特徴から、天に掛かる岩の梯子を意味する〝いわはしやま〟とも呼ばれていた。

 

浄土平の北西にそびえる一切経山はいまも火山活動が活発で、山腹から吹き上がる火山性ガスはスカイラインからもよく見える。

一方、山岳ルートを形成する吾妻連峰の吾妻小富士やスカイラインを隔てて相対する東吾妻山の名前に見つけられる〝吾妻〟という呼び方は日本武尊の伝説として伝えられている。日本武尊が東征の際に、海の神の怒りを静めるために身を投じた妻への恋しさを込めて「あづまはや(わが妻よ)」と嘆いたことに由来するとされている。この伝説はおもに東日本各地に残されており、福島の当地のほかに群馬県吾妻郡の嬬恋や上信国境の碓氷峠など、山並みから見下ろす平野が雲海に隠されるような場所である。

この地理的な条件の一致は、すなわち絶景のある場所だといえる。何度も何度も急なカーブを曲がっては少しずつ空に近づき、やがて視界が大きく開けると、そこには写真で見るよりも広大で想像しているよりも荒々しい風景が広がっている。その景色は、かつては神の領域の場所であったのかも知れない。そう思うとき、このスカイラインから眺める木々も山々も、遙かなる町並みもよりいっそう輝くだろう。

 

磐梯吾妻スカイラインを挟んで道路の反対側にそびえる吾妻小富士。まるで富士山をひしゃげさせたような山容で、頂上部には大きな火口が口を開いている。標高は1707m。

福島県道70号福島吾妻裏磐梯線

福島県道70号福島吾妻裏磐梯線がこのルートの正式な呼び名ではある。しかし、この雄大な眺めを有する山岳路は磐梯吾妻スカイライン、あるいは、磐梯吾妻道路と呼ばれることの方が圧倒的に多い。

 

吾妻小富士の山頂はお鉢巡りが楽しめる。眼下には磐梯吾妻スカイラインも一望。

磐梯吾妻スカイラインが有料道路として旧日本道路公団の手によって完成したのは1959年(昭和34年)。経済企画庁が経済白書で「もはや戦後ではない」と謳った3年後のことで、モータリゼーションの世界では富士重工業がスバル360を発売した翌年となる。世相的な意味でみれば、高度成長期に立派な山岳道路が造られたことは、大衆車の登場とともに大きく国民を勇気づけたことだろう。そして、先の東日本大震災の後に観光復興策のひとつとして通行料が無料化され現在に至っている。この素晴らしい眺望を誇る一本の道は、吾妻連峰の山々と人々を結びつけるだけではなく、この山々の周囲に暮らす人々を勇気づけ、どこかで助けてきたのだろう。

 

最高地点の標高は1622m。北側起点の高湯温泉(標高770m)とは約850mの高低差がある。

かつて、この道のルートは山伏修験のための登山道が通じていたという。その急峻な山道を登り詰め、やがて吾妻小富士が現れる平坦地までたどり着くと登山者は救われるような思いだった。そして、そこに広がる穏やかな風景は極楽浄土のようだったという。その場所は、現在、浄土平と呼ばれ、多くの観光客が足を止め、吾妻小富士に登り、絶景に酔いしれる場所である。

 

ご当地情報

 

A:高湯温泉あったか湯
リーズナブルに楽しめる濁り湯の日帰り温泉施設


磐梯吾妻スカイラインの北側起点に10軒ほどの旅館が点在する高湯温泉。そこにある公営の日帰り温泉施設があったか湯だ。男女別と貸切(入浴料+1,000円/50分まで)の3つのお風呂はすべて露天で、さわやかな空気に包まれながら、のんびりと湯浴みを楽しむことが出来る。湯は硫黄成分の多い緑がかった濁り湯。
●入浴料250円/9:00-21:00/木曜定休/福島市町庭坂字高湯25/Tel:024-591-1125

 

B:浄土平レストハウス
食事や休憩はもちろん浄土平散策にも便利


磐梯吾妻スカイラインの中間地点となる浄土平(標高1600m)に位置し、福島県特産品を集めたお土産売り場をはじめ、軽食コーナーやレストランなどを備えるレストハウス。隣接して周辺の自然環境を学べるビジターセンターや浄土平天文台がある。道を隔てた吾妻小富士登山にも便利。駐車料金(環境美化費)は普通車410円。
●9:00-16:30/無休(冬季閉鎖)/福島市土湯温泉町字鷲倉山地内/Tel:024-543-0980

 

C:道の駅つちゆ
地元の味も豊富で景色もすばらしい道の駅


国道115号と国道459号の合流地点にある道の駅。磐梯吾妻スカイラインの土湯峠入口までは約30分の道のり。軽食コーナーでは地元名産・ちぎりコンニャクなどが味わえる。周辺の眺めもすばらしく、春や秋の早朝には福島盆地を覆い尽くす雲海とも出会える。
●9:00-18:00(売店)/無休/福島市松川町水原字南沢41-2/Tel:0243-24-2148

 

ご当地情報

 

D:ホテル山水荘
湯量豊富な温泉宿でさまざまな湯を堪能する


歴史ある湯治場として栄えてきた土湯温泉街の最奥部に建つ山水荘。、施設の充実した大型ホテルで、眺めや入浴方法が異なる露天風呂や大浴場が数多くあり、湯浴みを心ゆくまで楽しめる。家族やカップル、ツーリングライダー向けなど、さまざまなプランが用意されているのでホームページで確認していただきたい。
●1泊2食付13,110円から/市土湯温泉町字油畑55/Tel:024-595-2141

 

E:宝来堂製菓
笹の香りとヨモギの風味に伝統を感じる磐梯の名菓


その昔、食糧不足の折りに笹の実が一斉に実り、それを団子にしたのが磐梯の笹団子の原型とも伝えられる。この宝来堂製菓の笹団子(670円)は、青々とした笹の葉に包まれた粒あん入りのヨモギ団子。これをからっと揚げたあげまん(520円)も人気。
●8:00-18:00/定休なし/猪苗代町大字蚕養字沼尻山甲2855-453/Tel:0242-64-3717

 

F:いわはし館
猪苗代産のそば粉を使い伝統の味を再現する


猪苗代湖畔の国道49号から磐梯山側へ少し入った場所にあるそば処。猪苗代産のそば粉をブレンドし、国産小麦とほぼ2:8で練り上げたそばが自慢。猪苗代に古くから伝わる、結婚式の日にだけ振る舞われる祝言そば(1,350円)を忠実に再現したメニューもある。また1週間前までに予約をすればそば打ち体験をすることも可能。
●11:00-15:30/無休(夏季)/福島県耶麻郡猪苗代町三ツ和字村西65/Tel:0242-72-0212

 

磐梯吾妻スカイラインの紅葉は例年9月下旬から始まり、10月上旬-中旬が見頃。

磐梯吾妻スカイライン

◎正式名称/県道70号福島吾妻裏磐梯線
◎区間距離/27km(高湯温泉-土湯峠)
◎冬季閉鎖/11月中旬-4月上旬
◎撮影時期/8月上旬

アクセスガイド
東京方面から磐梯吾妻スカイラインをめざすには、安達太良山北部の土湯峠まで約19kmの東北道・二本松ICが便利。東北道・浦和本線料金所からは236km。スカイライン北側入り口となる高湯温泉側へは福島西ICから約16km。高速道路は浦和から250kmとなる。土湯峠から裏磐梯方面へは、国道115号から磐梯吾妻レークライン(県道70号)に入り、約30km/1時間弱。

観光情報
福島市観光物産協会 Tel:024-531-6432
土湯温泉観光協会 Tel:024-595-2217
猪苗代観光協会 Tel:0242-62-2048
裏磐梯観光協会 Tel:0241-32-2349

 

文:佐々木 節/写真:平島 格

※料金・営業時間・問合せ先などは平成27年9月時点のものですので、お出かけの際には最新情報をご確認ください。また特に表示のないものは消費税8%税込み料金で、宿泊料は原則2名1室利用時の1名分の料金です。
LE VOLANT web編集部

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