カーボンを多用することで軽量化されたボディと、488GTBより20%アップしたダウンフォースにより、卓越したコーナリング性能を誇る。
488ピスタはV8特有の乾いたサウンドとともに、“矢のような”という表現がふさわしい、強烈な加速を見せる。最初のラップはマネッティーノを「レース」にしてオートシフトモードで走ったのだが、鋭い吹け上がりとともにレブリミットの8000rpmまで一気に針は振れ、素早い変速で気づけば200km/h近くの速度まで達していたのだ。
このとき、488GTBで体験したのとは違う感覚があったことに気づいた。そう、エキゾーストサウンドがターボエンジンのくぐもったものと異なり、まるでNAユニットのように心地いいのだ。聞けばエキゾーストマニフォールドを27%長くし、口径も10%アップ、感覚的に8デシベルほど音量が増加しているとともに、より高周波に味付けされているという。
フロントボンネットおよびフロントバンパー、アンダーボディ、リアスポイラーとデフューザーに、F1由来の形状や488チャレンジのパーツを用いることにより、冷却効率をアップ。さらにドラッグを発生させることなく、ダウンフォースを488GTB比で20%向上させた。
と、サウンドに気を取られている間にコーナーが迫ってきてフルブレーキング。ここでも素晴らしいスタビリティ性能を披露してくれた。これは空力性能アップの効果が大きいはずだ。
コーナリング性能に関しては、今回フェラーリは488ピスタで「フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)」という新制御技術を採用している。これはステアリングをスムーズに切れるように、各輪のブレーキを微妙にコントロールするというもので、マネッティーノの「CTオフ」モードのみで作動するもの。これを最後の周回で試してみると、ステアリングが軽くなったような感触があり、ターンインからクリップ、ターンアウトまでクルマが安定していて、まるで自分の運転がうまくなったように感じられたのだ。
マネッティーノの「CT OFF」モードでは、新開発のヨーコントロール制御が与えられた。
こうして、V8フェラーリのエクスクルーシブモデルとしては、史上最大ともいえる進化を果たしている488ピスタだが、残念なことに予定生産台数分はすでに完売しているという。この至福のドライビングが楽しめるオーナーは、羨ましい限りだ。