鳥海ブルーライン(No.023)
大空を舞う鳥の眼で日本海と庄内平野を鳥瞰する。
鳥海ブルーラインは山形側も秋田側も国道7号・羽州浜街道が起点になっている。つまり、スタート地点はどちらも海抜がほぼ0m。そこから鳥海山五合目(鉾立展望台)まで、1150mの標高差を一気に駆け上がり、一気に駆け下りるという、じつに豪快かつ単純明快な道である。
鳥海山は東北第二の高峰で、その標高は2236m。奥羽山脈から遠く離れ、日本海にゆったり裾野を広げる独立峰だけに、美しい山容は一度見たら忘れられない。その西斜面に伸びるブルーラインの魅力は、なんといっても眺めの素晴らしさにある。
登り口こそ深い森の中だが、標高を上げるにつれ、あたりはハイマツやクマザサに覆われた高山地帯の様相を呈してくる。そして、このあたりから眼下に見え始めるのが庄内平野と日本海。コーナーを抜けるごとに、海は色や輝きを変え、沖に浮かぶ飛島や丘陵に建ち並ぶ風車群など、山麓では見えなかった遠景がまるでジオラマのように目に飛び込んでくる。上昇気流に乗って大空を舞う鳥はいつもこんなシーンを見ているのだろうと、そんな気分にさせてくれる道なのだ。
鉾立展望台からは、天気のよい日には、佐渡島から男鹿半島までが一望となる。海に沈む夕日の美しさも絶品で、夜明けには、朝日を浴びた鳥海山が海面に巨大な三角形の影を落とす『影鳥海』に出会えることもある。