
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number 82:ダイナミクス性能は欧州車と互角! 新プラットフォームを有した日本車対決
スバル・インプレッサ 2.0 i-S アイサイト vs トヨタ C-HR S-T
TEST 03:ダブルレーンチェンジ
テストの「方法」と「狙い」
80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
インプレッサの安定性と操縦性は低いエンジン位置が功を奏している
SUBARU IMPREZA 2.0 i-S EyeSight
●操縦安定性:★★★★☆
●平均通過速度:69.92km/h(2回平均)
インプレッサのダブルレーンチェンジは、まるでドイツ車のような安定性と操縦性を示した。やはり水平対抗エンジンの低い重心が効果絶大なのだろう。まるでミズスマシのようにススッとレーンチェンジする。VDC(ESC)を強く効かせるわけでもなく、シャシーの基本性能が功を奏している。さらにドライビングポジションもよく、三角窓からの視界も良いのでパイロンがよく見える。 あえてネガティブなところを見つけるとすれば、シートの表皮の素材が滑りやすく体が動くということ。動的な性能ではこのセグメントではトップレベルで、欧州車と比べても負けていない。
インプレッサの安定性と操縦性は低いエンジン位置が功を奏している
TOYOTA C-HR S-T
●操縦安定性:★★★★
●平均通過速度:69.61km/h(2回平均)
TNGAの特徴としてクロスオーバーSUVとしては低い重心で設計されているから、ダブルレーンチェンジも得意な方だ。インプレッサよりも車高が高いから少し不安になるが、実際の安定性は高い。ステアリングを操舵した時の初期ロールを抑えたいと思ったが、横Gが大きくなるとしっかりとしたダンピングが発生する。ただ、最初のVSCの介入タイミングが少し遅いのは気になった。というのは、車高から想像する以上に通過スピードが高いので、元のレーンに戻るときに少しアンダーステア気味となってしまうのだ。初期転舵でブレーキ制御を強めておけば、出口が楽になる。