利益でやや明暗が
欧州主要メーカーの今年上半期(1~6月)の業績が出揃った。グローバル販売台数はドイツおよびフランス、スウェーデンメーカーともに好調で前年同期比プラスを確保。フォルクスワーゲングループ(VW)は550万台を超え、ダイムラーグループ、BMWグループは過去最高を更新。PSAグループはオペル/ ボクスホールを傘下に収めたことで4割近い上乗せとなり、ルノーグループも200万台を超えて過去最高を更新。ボルボも台数規模は小さいものの2ケタ増で過去最高の31万台超えと、右肩上がりを保っている。
一方で上半期業績はやや明暗が分かれている。VWはディーゼル排ガス偽装からの立ち直りも順調で売上高、利益ともに増加したが、ダイムラーは売上高が微増ながら利益は減少。BMWは売上高、利益ともに減少しており、販売台数増とは裏腹に足踏み状態となっている。これは主に中国における関税引き下げ前の買い控えが影響しており、中国市場の比重が増しているダイムラー、BMWがそのとばっちりを受けたと思われる。
さらにBMWは研究開発費の増加、原材料の値上がり、為替差損の影響なども減収の理由に挙げている。ただ、中国の関税引き下げは7月に実施されており、下半期は増加が見込まれるので両社ともさほど深刻な状況とは見ていないようだ。
オペルを傘下に収めたPSAは売上高、利益ともに大きく伸び、買収効果は上々といったところ。ルノーも欧州市場での好調により大幅ではないものの、利益増のペースを保っている。
ボルボの売上高1228億SEK(スウェーデンクローナ)は、日本円に換算すると約1兆5400億円と、VWの約15兆円、ダイムラーの約10兆3000億円、PSAの3兆8000億円に比べると金額は小さいが、利益を含めて伸び率はドイツメーカーを上回っている。日本でも人気の高いボルボがグローバル市場でドイツ勢にどこまで迫るのかも、今後の注目ポイントといえるだろう。
米国と中国の貿易摩擦、中東の政情不安など不確定要素も少なくない世界経済だが、その間を縫って欧州メーカーが下半期はどんな形で販売台数増、利益増を図ってくるのか。今後も興味深い展開が続くことになりそうだ。