
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number 77:国産スーパースポーツの両雄が2016年ラストバトルで名勝負!
ホンダ NSX vs 日産GT-R ピュアエディション
TEST 03:ダブルレーンチェンジ
テストの「方法」と「狙い」
80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
NSXの綿密なセッティングはレーンチェンジで発揮された
NISSAN GT-R PURE EDITION
●操縦安定性:★★★☆
●平均通過速度:78.46km/h(2回平均)
フロントヘビーなGT-Rにおいて、ダブルレーンチェンジは苦手項目だと思っていたが、予想通り最初のターンインで急ハンドルを切ると、初期のアンダーステアが感じられた。しかもVDCの介入タイミングが遅れる感じなので、車速が高いまま隣のレーンに移動する。そして元のレーンに戻るときもステアリングの効きが遅れ気味となり、走行ラインから外れやすい。ドライバーは必死になってステアリングと格闘しなければならず、そのため高度なスキルが要求される。NSXとは対照的で、いささかドタドタした感じのダブルレーンチェンジだった。
NSXの綿密なセッティングはレーンチェンジで発揮された
HONDA NSX
●操縦安定性:★★★★☆
●平均通過速度:78.30km/h(2回平均)
NSXのダブルレーンチェンジは狐につままれた感じだった。というのは、急ハンドルを切ってもスキール音がするまでフロントタイヤが追い込めないからだ。あっという間に隣のレーンにワープした感じだった。ベクタリングが効いたというよりもミッドシップと低重心のおかげかもしれない。きっと裏側ではVSAなどの電子制御が緻密に作動していると思うが、ドライバーはそんなことを 一切感じない。目の前のNSXはミズスマシのようにレーンチェンジをこなしていた。パイロンスラローム競技では新型NSXは金メダルを取れるかもしれない。