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DSオートモビル【パリ・サロン2018】120周年記念で見せた未来

EV過渡期を生き残る自信アリ

今回、地元フランスでももっとも注目を集めたのはDS 3クロスバックだろう。BセグSUVという売れ筋セグメントに、新開発の「CMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)」を採用しただけでなく、2019年後半に同モデルにはピュアEV版も登場する予定なのだ。

DS 3 CROSSBACK(DS 3クロスバック)

Bセグ離れした質感とハイテク・タッチで魅了

DSの次なる一手はBセグSUV。外径690mm㎜の大径タイヤを履くプロポーションに全幅1791mmというサイズ感も◎。PSAがコンパクト用に新開発したCMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)をグループ内でいの一番に採用した。DS 7譲りのインテリアはBセグ離れした上質感。ガソリン1.2リッター・ターボ(155ps)に8速ATの組み合わせだ。

【DSマーケティング担当副社長:エリック・アポッド氏】

「当初はガソリンとディーゼルで展開しますが、DS 3クロスバックE-TENSE(EV版のモデル名)はWLTPモードで航続距離は約320km。リチウムイオンバッテリーは50kWh容量で、H字型に前後シートとセンタートンネル内に収めています。ガソリンやディーゼルにも共通することですが、外径690mmの大きなタイヤを履いて踏ん張り感のあるプロポーションに、ハイテクな雰囲気のスタイルに仕上がっています。それでも全幅は1791mmですから、相当にコンパクトだと思いますよ」と、DSのマーケティング担当で副社長のエリック・アポッド氏は述べる。ハイエンドなSUVという存在感はDS 7クロスバック譲りのまま、パリらしさを表現したエレガントで高級感ある内装や、ACCやレーンキープをはじめとするADAS機能を受け継ぎ、ミニ・カントリーマンやアウディQ2に対峙する。当面の日本仕様となるであろう、ガソリン3気筒1.2リッター・ターボ155psと1.5リッター・ディーゼル130psには8速ATが組み合わせられる。電気モーターの出力は136ps/260Nmと発表されている。

DS 3 CROSSBACK E-TENSE(DS 3クロスバック Eテンス)

PSA初フルEVは来年後半に欧州デビュー

新プラットフォームCMPを採用するピュアEV。ヒートポンプも備えた50kWh容量リチウムイオンバッテリーを前後シートとセンターにH字型に収め、136psの電気モーターで前輪を駆動する。来年夏以降にまず欧州で発売予定だ。

【DSゼネラルマネージャー:イヴ・ボヌフォン氏】

「新ブランドとして再出発してからの第1弾モデル、DS 7クロスバックは4月からはフランス市場でも、CセグSUVで首位のシェアを占めるほど、好評をいただいています。今回、PHEVが加わって、さらに伸びると予想しています。2019年までにすべてのニューモデルに電化モデルを揃え、2025年には電気に切り替えるのは我々の目標ですから、今回はフラッグシップでPHEV、逆にコンパクトなクラスでEVを発表したことは、大きな意味があります。いずれも内燃機関モデルと比べて、トランク容量でも遜色ないですし、内装グレードや仕上げの面でも変わりませんから」そういって、DSをゼネラルマネージャーとして率いるイヴ・ボヌフォン氏は続ける。「PHEVになってもDS 7クロスバックのリアサス形式は内燃機関版と変わらないマルチリンク式ですし、DS 3クロスバックは内燃機関版もEV版も同じポワシー工場のラインで同時に生産できますから。需要に応じてEVの比率を増やせる体制です」。 EVへの過渡期を確実に生き残る、そんな自信がDSには漲っていた。

DS 7 CROSSBACK E-TENSE(DS 7クロスバック Eテンス)

PHEV+4WDのフラッグシップ

200psの1.6リッター・ターボに前後各100psの電気モーターを組み合わせたPHEVが追加。多板式クラッチ採用で総出力とトルクは300ps/450Nm。13.2kWhのリチウムイオンバッテリーを積み、EVモードの航続距離は50km。

フォト:望月浩彦 H.Mochizuki/南陽一浩/萩原 充(CMW)

この記事を書いた人

南陽一浩

1971年生まれ、静岡県出身、慶應義塾大学卒。ネコ・パブリッシング勤務を経てフリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・男性ファッション・旅行等の分野において、おもに日仏の男性誌や専門誌へ寄稿し、企業や美術館のリサーチやコーディネイト通訳も手がける。2014年に帰国して活動の場を東京に移し、雑誌全般とウェブ媒体に試乗記やコラム、紀行文等を寄稿中。2020年よりAJAJの新米会員。

南陽一浩

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