清水和夫のDST

メルセデス AMG GT S vs ポルシェ 911 ターボ、ブレーキの完成度に隙が見られないポルシェ【清水和夫のDST】#67-2

ブレーキの完成度に隙が見られないポルシェ

発進加速で気になるのはギアボックスのタイプだ。トルコンATならジワッとトルクがタイヤに伝わるが、ツインクラッチだとダイレクトにトルクが伝わるので発進が乱暴になりやすい。AMGは独自に開発したツインクラッチで制御を緻密にするこ とでスムーズに発進できるが、トラクションコントロールは頻繁に介入する。その理由はリアのトラクション性能の差にある。フロントエンジンは、どうしてもリア荷重が足りないので、トラクション性能が得にくいのだ。ブレーキの利きはどうかというと、「さすが」という印象だ。ほとんどポルシェと同じ性能を持っているといえる。気になったのは、ブレーキペダルが体の真ん中より少し左側にあること。まさか左足ブレーキを推奨しているのだろうか!?

MERCEDES-AMG GT S
●加速:0.61G(★★★★☆)
●減速:1.01G(★★★★☆)

 

パワー・ウェイト・レシオでは若干だが911ターボが有利だ。実際に発進加速もPDKの完成度の高さでAMG GTを上回った。だが、911ターボは伝統のリアエンジンなので、リアタイヤの荷重が大きく、大きなトルクを余裕で受け止められる。しかも4WDによるトラクションは絶大だ。リアタイヤがスリップしないので、発進がロケットのようにスムーズで速い。エンジンはフラット6のツインターボで、しかも可変ジオメトリーを使う先進的なターボ技術を採用。ブレーキもペダルの踏力がしっかりしていて、初期の利きも素晴らしい。自分のサングラスがずれるくらいの減速度だ。ポルシェはペダルのストロークが短く、踏力だけでコントロールするタイプのブレーキといえる。

LEXUS RX200t
●加速:0.70G(★★★★★)
●減速:1.03G(★★★★★)

ル・ボラン 2016年3月号より転載
LE VOLANT web編集部

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