
富士スピードウェイ【2018年11月13日(火)開催】
BMWワンメイク ドライビング レッスン
Powered by BMW M2 Competition
前回の8月に続き、BMWジャパンのウェブサイトやSNSでのご招待を実施した「BMWワンメイク・ドライビング・レッスン」。今回に至っては応募者が3000件を超えたというその魅力は、BMWの最新モデルを富士スピードウェイで存分に堪能できることだが、実はインポーター協賛イベントらしい強みも存在する。それは……。
今回の主役はM2コンペティション!
豪雨、酷暑の中に続いて2018年の締めくくりとなった今回のBMWワンメイク・ドライビングレッスンは、曇天のもとでスタート。11月の富士スピードウェイということで、気温的には少し肌寒い状況だったが走りを楽しむ環境としてはまずまず……、と思われた矢先に途中からまたしても雨。降ったのはおもに午前中で終日におよばなかったのは幸いだったが、なかなかほど良い天候といかないのはスタッフの日頃の“行ない”に問題があるからか?
とはいえ、走る機会が盛り沢山なこのイベントの場合、天候の良し悪しはあまり関係ないのかもしれない。むしろ参加者のスキルに磨きをかける、あるいは参加車両の負担を軽減するという意味では、多少路面がウェットで 滑りやすいぐらいの方が適切ともいえるからだ。
そのプログラムは、当然のことながら“BMWづくし”。午前に3つのコンテンツ、午後には富士のレーシングコースを満喫できるフリー走行に加え、プロがドライブする最新BMWで富士を体感できる同乗の機会も設けられていた。 午前に行なわれたコンテンツの主役は、前回と同じくジムカーナ・レッスン。その目的は、BMW本来のパフォーマンスを体験することと基礎的なコーナリング技術の習得にある。参加者は愛車、もしくは最新BMWで特設コースを周回するのだが、周回前にはインストラクターを務めるレーシングドライバーのデモ走行やブリーフィングを実施。走行中にも個別にアドバイスが提供されるなど、限られた時間ながら濃密といえる内容となっている。
なお、富士の駐車場に作られる特設コースはレイアウトが毎回異なるのも特長のひとつ。とはいえステアリングとペダル操作の連携、理想的ライン取りと乗り手の視線移動の修得に主眼を置いて作られることは変わらない。また、午後に行なわれるフリー走行に役立つものとするべく、そのレイアウトはタイトかつ複合コーナーが連続しているレーシングコースの後半セクションを毎回意識したものになっているという。
実は毎回レイアウトを変更しているという、ジムカーナ・レッスンの特設コース。インストラクターによるデモ走行やブリーフィングを経て、参加者は愛車のBMWでこのコースを周回する。コースはタイトコーナー主体だが、これはレーシングコースの後半セクションを想定して設定されたものだとか。
このジムカーナ・レッスン会場には、もうひとつの「お楽しみ」もある。それは、レッスンの待ち時間を利用して周回コースを最新のBMWで走れることだ。前回はM5だったが、今回は上陸間もないM2コンペティション。本誌読者ならご存じの通り、このモデルは導入当初から大人気となり大量のバックオーダーを抱えたM2の進化版。「コンペティション」というとM3やM4の高性能バージョンをイメージする人も多いはずだが、M2に関しては従来型の後継という扱いになっている。
ジムカーナ・レッスンの合間には、1名あたり1周と短いもののM2コンペティションの試乗も実施。愛車と同じコースを走れることに加え、助手席にはインストラクターが同乗するので、その魅力は理解しやすい。
BMW M2 Competition
従来型モデルの進化版という位置付けになるM2コンペティション。3リッター直6ターボは40psと85Nmが上乗せされて410psと550Nmを発揮するが、エンジン本体も現行M4(F82)などと同じS系ユニットへとスイッチ。同時にM4と同等の冷却システムやカーボン製ストラットブレース、さらにはMスポーツブレーキも標準搭載される。外観ではキドニーグリルやバンパーなどのデザインが一新されている。
【Specification(7速M DCT)】■全長×全幅×全高=4475×1855×1410mm■ホイールベース=2695mm■車両重量=1630kg■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2979cc■最高出力=410ps(302kW)/6250rpm■最大トルク=550Nm/2350-5230rpm■トランスミッション=7速DCT■サスペンション(F:R)=ストラット:5リンク■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク■タイヤサイズ(F:R)=245/35R19:265/35R19■車両本体価格=8,980,000円
そんな新生M2の試乗、残念ながら時間の都合で走行は1周のみと短かかったのだが、試乗の際はインストラクターが同乗。メンバーは本誌レギュラー執筆陣のひとりにしてBMWへの造詣も深い萩原秀輝氏と、若手レーシングドライバーの根本悠生選手と豪華だっただけに、参加者もM2の進化ぶりは十分に理解できたはず。
新型Mモデル体験も
そして、ジムカーナ・レッスン会場横では、BMWの最新モデル試乗が開催。こちらは先導車付きの特設コース試乗ということで、さすがに試乗車本来の性能を堪能というわけにはいかなかったが、ラインナップはBMWジャパンの協力を得ているだけに充実していた。M2コンペティションはこちらにも用意されたほか、M3からM5に至る最新Mモデルと2代目へとスイッチした新型X4、それに6シリーズ・グランツーリスモという具合にBMWワールドはしっかりと網羅されている。
また、今回の最新モデル試乗には一種の“サプライズ”も用意されていた。実は試乗車にはパリ・サロンでワールドプレミアされたM5コンペティションが紛れ込んでいたのだ。厳密には、それと同じスペックが与えられた特別仕様のM5エディション・ミッション・インポッシブルだったのだが、そんな特殊なBMWに接する機会がある点もこのイベントならではの魅力といえそうだ。
M5 EDITION MISSION IMPOSSIBLE
試乗車のM5コンペティション仕様。厳密には限定車のEDITION MISION IMPOSSIBLE(エディション・ミッション・インポッシブル)だが、その中身はまったく同じでエンジンは625psを発揮。なお、萩原秀輝氏の試乗インプレはこちらに。
いよいよレーシングコースへ!
さて、そんな午前のプログラム終了後はM2コンペティションの同乗試乗を経て恒例のフリー走行がスタートしたのだが、今回は11月なかばの開催。20分×3セットの終盤には日が暮れて、レーシングコースは夜間に近い暗さになっていた。高速コースの富士で、路面は乾ききっていない状態。そこに実質的なナイトステージという、改めて考えればハードな環境だったのだが、そこは走ることを目的に集結した参加者。トラブルに巻き込まれることもなく、BMWならではの走りを存分に楽しんでいるようだった。
ところで、見方によっては硬派な風情もあるこのイベント、参加者は実際にどんな思いを抱いているのだろうか? とりあえず初参加という方々のご感想をまとめると、BMW独自のキャラクターを体験するには絶好の機会ではないかという。他社イベントにも参加経験がある方は、特にクルマ中心の内容が印象的でインストラクターのアドバイスも勉強になったそう。また、別の方からは、こういう環境だからこそBMWらしさが理解できた、というご感想もあった。まずは「BMWで走る」、ということに特化した方向性の評価は高いと考えて良さそうだ。
今回のインストラクターは、本誌レギュラー執筆陣でもある萩原秀輝氏と、前回はブランパンGTアジア・シリーズで自らがドライブするM4 GT4とともに駆けつけたレーシングドライバーの木下隆之選手。豊富なレース経験を持ち、各種イベントで活躍する山口礼氏。若手ドライバーの根本悠生選手の4人。
20分×3セット、のべ1時間にわたって富士スピードウェイのレーシングコースを堪能できる午後のフリー走行はこのイベントの目玉のひとつ。昼食の時間帯には、レーシングドライバーの助手席でM2コンペティションのレーシングスピードを体感できる同乗試乗も行なわれた。
趣味車にアルファ・ロメオ・ジュニアザガートやロータス・エリーゼを所有する大國亨さん。「M2やM4は素晴らしいけど、ちょっと私には速すぎるかな」とのこと。
お友達の大石さつきさんと参加した桝谷浩太さんいわく、「Mモデルに興味がありました。こういう場所だと、BMWの魅力はわかりやすいですね。Mはエンジン音もイイ」。
現在はレクサスRC Fに乗る加藤竜二さん。「以前参加したレクサスのイベントと比較すると、良い意味でスクール的ですね。BMWの魅力もよくわかりました」。
しっかり走ったフリー走行の後は、アフターブリーフィングを実施。インストラクター陣が参加者の走りを総括した。その後は、これも恒例イベントとなりつつあるプレゼント争奪戦(じゃんけん大会)が行なわれた。
取材協力:
BMWジャパン https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
富士スピードウェイ http://www.fsw.tv/