上質感はそのままに走行性能はMに匹敵
近年BMWが展開している、スタンダードとMモデルの中間となる高性能バージョンが人気のミドルSUVに設定されて日本上陸。しかもハイチューン版ディーゼル搭載という、期待度が高まる実力のほどをリポートしよう。
このM40dは、歴代のX3でも初となるスタンダードモデルとMモデルの間を埋めるMパフォーマンスモデルだ。エンジンは、位置づけにふさわしい3L直列6気筒Mパフォーマンス・ツインパワーターボ・ディーゼルを搭載し、最高出力は326ps、最大トルクは680Nmを発揮。X3の本国仕様が積むベースとなったディーゼルエンジンは265psと620Nmになるだけに、スペックからも高性能ぶりが明らかだ。
実際に、高速道路の本線に合流する場面でフル加速を試したところ、ガソリンエンジンのような鋭さで回転数が一気に上昇。4000rpmを超えても加速の伸びがあり、5000rpmに迫る勢いで吹け上がる。さすがに、その先ではパワーが頭打ちになるが、レブリミットの5500rpmまでブン回すことさえ可能だ。しかも、エンジン音がディーゼルであることを意識させない。Mモデルが積む高出力ガソリンエンジンのように「ヴァオーン」という感じの鼓動を刻み、走行モードをスポーツにすると低周波音が強調され一段と迫力が増すのだ。
それでいて、荒々しさはまったく感じない。直列6気筒らしく吹け上がりが滑らかであり、エンジンに起因する振動とは無縁でいられる。高速域でも速度を一定に保つ場面では、エンジン音が耳に届くもののボリュームは控えめだ。エンジン回転数は、8速の100km/h走行で1200rpmにとどまるのでそれも当然というもの。
ただ、エンジン音を残していることでもわかる通りMパフォーマンスのパワーユニットを積むことを常に印象づける。スペックでは最大トルクが1750rpmから発揮されるが、8速ATをマニュアル操作しシフトダウンさせずにアクセルをベタ踏みにすると、モニターに表示できるトルクメーターの指針は、2000rpmの手前で680Nmどころか700Nmに到達しそうなほどだ。Dレンジのままならアクセルの踏み具合に即応してシフトダウンされるだけに、低回転域から中回転域にかけてのトルクの威力で先行車を瞬時にブチ抜く快感が得られる。