
オヤジ世代だけに乗せるのはもったいない!?
1999年にふたり乗りで燃費世界一を目指し投入された初代から、2009年の2代目では5ドアハッチバックへと転身、そして今度はミドルサイズセダンと、モデルチェンジのたびにそのスタイル大きく様変わりしてきたインサイト。3代目ではどんな進化を見せてくれたのだろうか?
ふたり乗りのハッチバックボディに、リアタイヤをカバーで覆う空力処理が施されるなど、徹底的な低燃費対策が行なわれた、ホンダ初のハイブリッドカーとして1999年にデビュー。その後路線を大きく変更し、2009年の二代目では低価格を前面に打ち出した5ドアハッチバックへと進化したが、残念ながら’14年に生産を終了してしまったインサイトが復活。今度はベーシックなミドルセダンとして発売された。
これだけボディタイプが異なると、もはやインサイトではなくて別の車名でもいいのでは? とも思うが、エンジニア曰く「ホンダのハイブリッド専用モデルとして伝統あるインサイトという車名を与えた」とのこと。姿カタチは変わっても、「ホンダのハイブリッドカーはインサイト」、という誇りがあるのだろう。
そんな成り立ちの三代目は、輸入車でも多く見られる4ドアクーペボディ風のエクステリアが与えられており、なかなかスタイリッシュ。ターゲットは50才代以降とのことだが、全体的なフォルムはひと回り大きいクラリティにも似ていて、比較的若い世代にもウケそうなデザインだと思う。
インテリアも上質で落ち着いた雰囲気が好印象。特にトリム類に使用されているリアルステッチソフトパッドは、「手貼り」によって張り合わされており、手触りも良好だ。精度の高い縫い合わせのダブルステッチとともに、質感の高さも表現されている。

ホンダ車らしい、シンプルな構成のコクピットは、本革の風合いを表現したというソフトパッドが採用されるなど、質感も上々。センターの8インチHD液晶モニター&ナビシステムは全車標準装備で、視認性も良好だ。走行モードは燃費重視の「ECON」、動力性能優先の「SPORT」モーターのみ走行の「EV」の3つが用意。ACCの制御もかなり良かった。
キャビンは、ミドルサイズセダンとしては広さを感じられる方で、特にパッケージに関していえば、リチウムイオンバッテリーを内包したIPUを後席下に配置し、大容量のトランクスペースを実現しているなど、かなり力を入れた部分。ちなみに12Vのバッテリーがセンターコンソールの下に搭載されているのも驚きだ。
スッキリ系の乗り味が好印象
パワートレインも刷新された。ホンダではお馴染みとなった2モーターハイブリッドの「スポーツハイブリッドi–MMD」を踏襲しつつ、エンジンはクラリティと同じ1.5Lへとダウンサイジング。発進時には走行用モーターのみ。高負荷時にはエンジンにより発電用モーターを駆動し、その電力を走行用モーターに供給。そして高速クルージング時などにはエンジンのみを駆動と、3つのドライブモードが備わっている。

パワートレインは、 1.5L直4ユニットとモ ーターの組み合わせ。発進時はモーターのみ、高負荷時などはエンジンにより発電用モーターを駆動し、モーターで走行、高速クルージ ング時はエンジンのみと、3つのドライブモ ードが備わる。
実際の走行時でもこれらの切り替えは極めてスムーズで、エンジン始動時の振動が若干あるが、ほぼ気にならないレベルだった。ただし、エンジン駆動時のサウンドがやや大きめなのはちょっと残念部分ではある。
走りに関しては、ひと言でいえばスッキリ系。ステアリングフィールも軽めで車体の動きも軽快。何よりキャビンそのもの静粛性が高く、気持ちよくドライブできる。今回はワインディング路では試せていないが、ハイブリッドとしては軽量なボディゆえ、このクラスのセダンのなかでは、かなりスポーティな走りを許容してくれると想像できた。
そのネーミングには賛否両論あるだろうが、ハイブリッドを搭載するミドルサイズのセダンとして、総合的なレベルはかなり高いといえるインサイト。エッジの効いたエクステリアデザインだけでなく、すっきりとした乗り味も若い世代に受け入れられると思う出来映えだった。

「L」と「I 」を組み合わせた10本スポークのホイールは、精悍な印象。試乗車にはマットブラック塗装の17インチが装着されていた。バッテリー類を後席下に配置することで、トランクは519ℓという大容量を実現している。
Specification
ホンダ・インサイトEXブラックスタイル
車両本体価格(税込)=¥3,628,800
全長/全幅/全高 =4675/1820/1410mm
ホイールベース =2700mm
トレッド(前/後) =1545/1565mm
車両重量 =1390kg
最小回転半径=5.3m
乗車定員=5名
エンジン型式/種類=LEB/直4DOHC16V
内径×行程=73.0×89.4mm
総排気量=1496cc
圧縮比=13.5
最高出力=109ps(80kW)/6000rpm
最大トルク=134Nm(13.7kg-m)/5000rpm
モーター型式/種類=H4/交流同期電動機
モーター最高出力=131ps(96kW)/4000-8000rpm
モーター最大トルク=267Nm(27.2kg-m)/0-3000rpm
バッテリー種類=リチウムイオン
燃料タンク容量=40L(レギュラー)
燃費(JC08/WLTC)=31.4km/L/25.6 km/L
トランスミッション形式=CVT
サスペンション形式(前/後)=マルチリンク/コイル
ブレーキ (前/後)=Vディスク/ディスク
タイヤサイズ=215/50R17
問い合わせ先=本田技研工業70120-112-010
https://www.honda.co.jp/
純正アクセサリーと無限パーツ装着車も
試乗会会場には、エクステリアのフロント/サイド/リアにロアスカートや18インチアルミホイール、インテリアにLEDイルミネーション等の純正アクセサリーパーツや、エアロダイナミクスやエキゾースト等にチューニングが施された無限パーツ装着社も展示されていた。