海外試乗

【海外試乗】「マツダ3」激戦のCセグメントにマツダ渾身の一撃!

ニッポン発のプレミアムコンパクト

昨年末のロサンゼルス・ショーでワールドプレミアとなったマツダ3(日本名アクセラ)が、いよいよ公道を走り始めた。カーデザインの最先端をいく、プレスラインを多用しない独創的なエクステリアや、オーバークオリティともいえるインテリアにまず目を奪われるが、むしろその真骨頂は走りにある!

 

明確なキャラクターラインがなく、パネルの抑揚だけで表現されるボディサイド。光の当たり方で見え方が変わる、つまり時間とともに刻々と変化するデザインともいえる。

走り始めてすぐに、VWゴルフVIIを超える乗り心地と静粛性を実感、トップクラスのポテンシャルを確信した。ついに日本車が激戦区Cセグメントのベンチマークと肩を並べたことに感心させられた。
世界の130カ国で販売され、累計台数は600万台超となる基幹車種マツダ3。新型は自ら「マツダ新世代商品の幕開け」を謳い、主査の別府耕太氏も「あらゆる質感を飛躍的に高めた」と語る。内装は質が高くスイッチ類の感触も統一。ウインカーすら従来と異なりスムーズな操作感だ。内装は余計なパーティングなど視覚的ノイズを払拭し、見て触って操作して感じる上質さを具現化している。
高速で走らせてみても、冒頭の快適な乗り心地と静粛性の高さが失われないことに驚く。それは環状構造ボディで基本骨格を作り、減衰ボンドで走行時の入力をいなす構造とし、骨格の段階で高い快適性を狙った効果だ。遮音性向上のためボディパネルとマット間の二重壁構造を初採用、騒音発生源を抑え、侵入音の変化と方向を制御し、質の高い静粛性を実現しているのだ。

強固なボディ、懐の深いシャシー

サスペンションはリアを従来のマルチリンクからトーションビームへ変更。狙い通り動くよう入念に開発され、タイヤを路面に押し付けるようなドイツ勢とは違い、ヒタッとタイヤを路面に吸い付かせ入力もいなす未曾有の感覚を実現している。実際、コーナーの連続での超自然な動きは驚くほどで、ステアリングを切るとロールすら意識させずに曲がっていく感覚。操作から反応まで一連の動作がきわめて連続的で、ボディの無駄な動きを意識させない。また、操舵時のレスポンスは穏やかだが遅れもなく、素早い操作にリニアに応えてくれる。これぞマツダ3の真骨頂といえるハンドリングだ。
走りを取りまとめた虫谷泰典氏は、「人は歩く時に体の動きを意識せず歩く。それと同感覚の運転環境を作り上げた」という。そして人間研究の末に「骨盤を立てて座る」理想の着座姿勢をシートで実現。異次元の走りはメカニズムだけでなく、人間中心の優れた運転環境作りも寄与しているのだ。だから、その走りには楽しさだけでなく、未知の気持ちよさがある。

総合的完成度は間違いなくクラストップレベル

セダンもサイドビューが印象的で、ドア周辺の陰影が刻々と変化していくデザインを採用。フロントフェンダーにキャラクターラインが入るのがハッチバックとの違いだ。

今回試したのは、まず欧州仕様の2Mハイブリッドと呼ぶマイルドハイブリッドに6速MT、18インチのサマータイヤを履いたハッチバック。2Lで122psと出力はやや低く、最大トルクは213Nmと平均的な数値だが、全域で回転は滑らかで、発進や加速でモーターアシストが気持ちいい。一方、北米仕様の2.5Lに6速ATに組み合わせるセダンは186ps/252Nmとこちらも出力は平均的で、スムーズによく回るが、競合車と比べて特にアドバンテージは見い出せなかった。ただし、今回のエンジンは真打ちではなく、本命のスカイアクティブXや、販売の主役となるだろう1.8Lディーゼルに期待したい。驚異的な完成度を誇るシャシーに見合うパワートレインを用意できるかが、今後の評価を分けることになるはずだ。また、競合車は全面液晶ディスプレイを採用し始めたが、メーター中央部だけの液晶やナビの画面も小さく、HMIは以前より扱いやすいもののボイスコマンドはなく、先進性は薄い。

今回は欧州仕様の2直4+ベルト式ISGのM Hybridと呼ぶマイルドハイブリッドと、北米仕様の2.5L直4の2種類を試乗。ともに真打ちではないだけにやや精彩を欠いた。

こうした気になる点はあるものの、総合的な完成度は間違いなくクラスのトップレベル。マツダが積み上げてきた価値観が、ついに世界のベンチマークに並ぶ領域に到達した。王者ゴルフもそろそろ8代目が登場予定で、さらにハードルが上がることは容易に想像がつく。だが、最近マツダも短期間で商品性を高める術を身につけた。その意味で、マツダ3がベンチマークを争う可能性は大きい。そんな期待を抱かせる仕上がりだった。

インパネ回りは余計な継ぎ目などを徹底的に排除した上で素材を選び抜き、Cセグメントの中でも圧倒的に高い品質感と上品さを感じさせる仕立て。HMIの操作系も一新され、以前よりも飛躍的に扱いやすくなっている。

各部は高品質で上品さを感じさせる仕立て

前席に収まった時の自然な感覚は正直驚くほど。人間研究を徹底し、正しい運転姿勢が得られるよう開発されている。後席は側頭部にやや閉塞感を覚えるものの、十分な居住空間といえる。

Cピラーはかなり傾斜しているが、ハッチゲートを開けると荷室空間自体はしっかりと確保されており、このクラスに求められる標準的な積載量ならば必要十分なスペースといえる。

欧州仕様は18インチのサマータイヤ、北米仕様はオールシーズンタイヤを装着。好印象は欧州仕様で、その車両の自然な動きには、世界の頂点が狙えると感じたほどだ。

【Specification】MAZDA3 SKYACTIV-G 2.0 with M-Hybrid[SKYAVCTIV-G 2.5]
■全長×全幅×全高=4460×1795×1435[4662×1797×1445]mm
■ホイールベース=2725mm
■トレッド=前1570、後1580mm
■エンジン型式/種類=直4DOHC16V
■内径×行程=83.5×91.2[89.0×100.0]mm
■総排気量=1998[2488]cc
■圧縮比=13.0
■最高出力=122ps(90kW)/6000rpm[186ps(139kW)/6000rpm]
■最大トルク=213Nm(21.7kg-m)/4000rpm[250Nm(25.5kg-m)/4000rpm]
■燃料タンク容量=51(プレミアム)[50(プレミアム)]
■トランスミッション形式=6速MT[6速AT]
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後ディスク
■タイヤ(ホイール) =前後215/45R18(7J)
■車両本体価格(税込)=—

※[ ]はSKYAVCTIV-G 2.5です。

【問い合わせ】

問い合わせ先=マツダ 0120-386-919 https://www.mazda.co.jp/

 

リポート:河口まなぶ/M.Kawaguchi フォト:マツダ ル・ボラン2019年4月号より転載
LE VOLANT web編集部

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