総合的完成度は間違いなくクラストップレベル
今回試したのは、まず欧州仕様の2Mハイブリッドと呼ぶマイルドハイブリッドに6速MT、18インチのサマータイヤを履いたハッチバック。2Lで122psと出力はやや低く、最大トルクは213Nmと平均的な数値だが、全域で回転は滑らかで、発進や加速でモーターアシストが気持ちいい。一方、北米仕様の2.5Lに6速ATに組み合わせるセダンは186ps/252Nmとこちらも出力は平均的で、スムーズによく回るが、競合車と比べて特にアドバンテージは見い出せなかった。ただし、今回のエンジンは真打ちではなく、本命のスカイアクティブXや、販売の主役となるだろう1.8Lディーゼルに期待したい。驚異的な完成度を誇るシャシーに見合うパワートレインを用意できるかが、今後の評価を分けることになるはずだ。また、競合車は全面液晶ディスプレイを採用し始めたが、メーター中央部だけの液晶やナビの画面も小さく、HMIは以前より扱いやすいもののボイスコマンドはなく、先進性は薄い。
こうした気になる点はあるものの、総合的な完成度は間違いなくクラスのトップレベル。マツダが積み上げてきた価値観が、ついに世界のベンチマークに並ぶ領域に到達した。王者ゴルフもそろそろ8代目が登場予定で、さらにハードルが上がることは容易に想像がつく。だが、最近マツダも短期間で商品性を高める術を身につけた。その意味で、マツダ3がベンチマークを争う可能性は大きい。そんな期待を抱かせる仕上がりだった。