三菱AWC雪上試乗会2019
「タフなヨンク」イメージはパリダカ時代の名残か? 操縦安定性能を高めた最新のフルタイム4WD技術は、たゆまぬ開発努力と機能の最適化がもたらした果実。そんなミツビシの4WDを雪上コースで確かめてみた。会場にはビッグマイナーチェンジを受けて進化したデリカD:5に加えてアウトランダーPHEV、エクリプスクロスが用意され、それぞれの4輪運動制御機能(AWC)が比較できた。
安心・快適な走りを追求した4輪制御技術の進化ぶりは!?
古くは三菱ジープ時代から4WDシステムを手がけてきた三菱は、4輪の駆動力制御技術を進化させ、あらゆるクルマに搭載してきた。その最新システムをS-AWC(スーパー・オールホイールコントロール)と呼び、前後輪の独立トルク制御と4輪ブレーキ制御により理想的な操縦安定性を追い求めている。
前後輪をモーターで駆動するアウトランダーPHEVはその完成形に近いもので、駆動力を緻密かつ素早く制御することであらゆる路面に合わせた駆動力をシームレスに発揮できるように設計されている。今回は積雪路と凍結路が交互にあらわれる路面での試乗となったが、常に4輪の接地感を身体で感じながら、安定性を保って不安なく走ることができた。
一方でエクリプスクロスは同じS-AWCながら電子制御カップリングで前後輪に駆動を配分し、左右輪制御はブレーキAYCとシンプルなシステムを採用。制御の緻密さではアウトランダーPHEVにおよばないものの、350kgも軽い車重とクルマ全体のダイナミック性能の高さで走りの楽しさを実現している。アウトランダーでは慣性が残って車速を落とさざるを得なかったコーナーでも軽い身のこなしでクリアし、道幅に余裕があればドリフト走行も楽しめる操縦性はスポーツドライビング好きにはこたえられないだろう。
そしてビッグマイナーチェンジを受けた新型デリカD:5は、左右輪制御機能を持たないゆえに「S」のつかない単なるAWCとなるが、いわゆる対角線スタックからの脱出に有効なブレーキ制御機能は搭載されている。今回は凍結した急勾配の上り下り、深雪にわだちが掘られた狭い屈曲路なども体験できたが、粘りのある新設計のクリーンディーゼルと、新たに搭載された8速ATの相性はよく、難なく走り抜ける実力を確認できた。国産唯一ともいえるオフロードミニバンへの期待を裏切ることなく、「S」のないAWCでもミツビシ4WDならではのポテンシャルは健在と見ていい。
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