ジャガー

理屈の上ではアウディA4が優位だが、その運動性能を熟知しているジャガーXEに軍配!【清水和夫のDST】#73-4/4

清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safty Test)
Number73(SEASON.6):英国仕立てのプレミアムサルーンがドイツ車御三家の独擅場に待ったをかけた!

ジャガーXE 20dピュア vs アウディA4 2.0TFSI/Test03:ダブルレーンチェンジ

テストの「方法」と「狙い」

80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。

ジャガーXE 20d ピュア vs アウディA4 2.0 TFSI(ダブルレーンチェンジ編)

ジャガーXE 20d ピュア vs アウディA4 2.0 TFSI(ハイスピードライディング編)

 

FRのXEはその運動性能を熟知している

JAGER XE 20d PURE
●操縦安定性:★★★★
●平均通過速度:66.56km/h(2回平均)

ジャガーはメルセデスやBMWと並んで、FRの運動性能をよく熟知しているメーカーだ。旋回性能と安定性(つまり操縦性と安定性)をバランスさせるコツを知っている。急ハンドルを切るダブルレーンチェンジではフロントの重いA4のほうが有利だが、限界を超えると一気にお仕置きモードになる。その点FRのXEは再現性が高く、限界近くで走ってもESCの介入は自然だ。ボディロールを伴い、リアが流れ気味になるものの、ESCが縁の下の力持ち的に作動。ドライバーとの一体感をとても感じるのだ。ダイナミックモードでは多少ドリフトも許容するが、安全性を考えるのであれば、逆に小手先技術でスポーツを演出するのはジャガーらしくないと思った。

理屈上はFFのA4の方が有利だが……

AUDI A4 2.0 TFSI
●操縦安定性:★★★☆
●平均通過速度:68.09km/h(2回平均)

A4のダブルレーンチェンジテストからは、FF車としては素晴らしくスポーティなハンドリング性能を持っていることが分かった。ステアリングの応答性は文句ない。1回目の通過速度はまるでポルシェのようなスピードでクリアしたが、2回目ではやや限界を超えるとESPの制御が強めに介入し、スピードは一気に下がった。スピードのわずかの違いで、「スポーツかお仕置きか」という異なるキャラクターが顔を出す。つまり、ドライバーの立場では挙動が読みにくく、対話ができないということ。ESC(ESP)の制御は、少し早い段階からしなやかに介入させる方法もあると思った。190psのエンジンは評価できるが、シャシー性能はもう少し熟成が必要かもしれない。

リポート:清水和夫 フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2016年10月号より転載
LE VOLANT web編集部

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