プジョー

【海外試乗】「プジョー508SWファーストエディション 1.6ピュアテック」洗練を手に入れたライオンキング

デザインでリードする新世代プジョーの先鋒

今春より5ドアハッチバックとなったセダンから国内導入が始まるプジョー508だが、今年後半あたりからそのブレーク版、508SWも矢継ぎ早にやってくる。「ラジカル」をキーワードに、先代モデルからスタイリングもプラットフォームも刷新した新型508SWを、本国フランスで1800kmのロングドライブに連れ出してみた。

クロームの面積をとにかく抑えて、昨今の悪目立ち志向のデザイントレンドに背を向けたことが功を奏したエクステリア。クォーターウィンドーが上に跳ね上がる形で、リアガーニッシュも真一文字タイプとなった。

先代の「壊れた美」に繋がるエレガントなデザインも悪くなかったが、少なくともエクステリアデザインに関しては、メルセデスでいう「エレガンス」と「アバンギャルド」の、後者にプジョー508は寄せてきた。
SWの2793mmというホイールベースはセダンと共通で、1859mmの全幅と1403mmの全高、1593mm/1590mmの前後トレッド(18インチ仕様の値)も同じ。異なるのはセダンより+28mmだけ延ばされた全長のみで、先代比では6mmだけワイド化したが35mm短い。車重は、今回借り出したGTラインのピュアテック180ps、1.6Lターボ+8速AT仕様については、セダンから+40kgの1460kgにとどまる。

GTラインのトリムはレザーとファブリックのコンビ。大ぶりなシートは5008に準ずる快適な座り心地で、6:4分割可倒式後席の足元スペースやヘッドクリアランスも十分。

乗り込んでインテリアをひと回り観察すると、セダン同様とはいえ、ソフトウレタンやウッド、レザー張りやサテン仕上げのインサートまで、精緻にまとめられたダッシュボードの質感の高さに驚く。10インチのタッチスクリーンはエアコンの中央吹き出し口の下、視界上方というより手元寄りの位置だが、プジョー独自のi-コクピットが小径ステアリング上方にあることを鑑みれば、ロジックだ。ダッシュボードの稜線自体も高く、フランス車お約束の「半身浴気味ポジション」の着座感とは一線を画しているようだ。

異素材のチリ合わせにきっちり挑んだインテリアの質感は508SWの大きな魅力。トグルスイッチはシフトから指を伸ばしやすい位置にある。赤外線によるナイトヴィジョンは、メーターパネル上にアラートとともに表示。

それにしても軽いクルマ特有の手応えというか、決して小さくないDセグのブレークなのに、走り出すと早々にサイズを感じなくなる。足回りやハンドリングだけでなく、セダンよりリア荷重が増したであろうマスのまとめ方、それらのバランスから生み出されるアウトプットやドライブフィールに、とにかく雑味がなく操りやすい。

実用性も切れ味も上々の仏流の最先端ブレーク

日本に導入されるパワートレインは、お馴染みガソリン1.6Lターボのピュアテック180ps仕様にアイシンAWの8速ATの組み合わせ。

この日本仕様に限りなく近い508SWには、DS7クロスバック同様にアクティブスキャン・サスペンションが備わっており、ノーマルでも18インチホイールの乗り心地は十分に快適だが、コンフォートモードに入れると明らかに石畳の路面の当たりが柔らかくなる。半年前にセダンに乗った時は、同じ排気量でもトルクが300Nmと分厚いピュアテック225ps仕様の方が好感触だったのだが、アクティブスキャン装備の180ps仕様がなかったので、その威力を今回のブレークで初めて体感できた。250Nmとトルクがやや細い分、スポーツモードで俄然、生き生きするのだ。ステアリング操舵やアクセル開度といった操作系の敏感度が上がるだけでなく、ノーマル時より2段ほど低いシフトを選んで2500rpmより上を保とうとし、踏み込んだ時のレスポンスも加速の伸びも一気に鋭くなる。体感比較になるが、同じく可変シャシーを備えたドイツ車のスポーツモードを少し丸くしたら、508SWでいうノーマル相当。そのスポーツモードはドイツ車の5割増しぐらい尖っており、アルファ・ロメオほどクイックさを強調しない、そんな感じだ。

荷室は5名乗車時で530L、最大で1780Lにも達し、固定フック用レールも備わる。ホイールハウスの張り出しもなく、ブレークとしての使い勝手にも抜かりはないといえる。

508SWはセダンより上モノは重いはずなのだが、ランナバウトなどで左右に切り替すような動きも気持ちよく、限りなくニュートラル寄りの弱アンダーを示す。何よりサスだけでなく、タイヤのたわみやシャシーのしなりまで存分に使って曲がっていく感覚で、そのハンドリングは、ほどよい躍動感と落ち着きを感じさせる。
ちなみにレベル2のADAS関連の出来も上々で、高速道路などで車線内のポジショニングが安定しており、緩い左コーナーで修正舵を右に切るようなマネをしない。荷室容量自体は先代より微減したが、後席折り畳み時はむしろ増えている。AWDが要るのならPHEV版を待つべきだが、クレバーで洗練されたブレークとして508SWの究め尽くされた仕上がり具合は、見過ごせない。

試乗車は235/45R18のミシュランのパイロット・スポーツ4を装着。スポーツタイヤとは思えないほど長距離を快適にこなし、高速道路中心で燃費は20km/Lに近かった。


【Specification】プジョー508SWファーストエディション 1.6ピュアテック
■全長×全幅×全高=4778×1859×1403mm
■ホイールベース=2793mm
■トレッド=前1593、後1590mm
■車両重量=1460kg
■エンジン型式/種類=-/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1598cc
■最高出力=181ps(133kW)/5500rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/1650rpm
■燃料タンク容量=62L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後235/40R19
車両本体価格(税込)=未定

【問い合わせ】プジョー・シトロエン・ジャポン 0120-840-240 https://www.peugeot.co.jp

 

クーペ風のデザインを意識したセダンと同様、Bピラーを目立たせないサイドビューによってスリークな印象を際立たせる。プレスラインが無駄に凝っていない点も好印象。

リポート:南陽一浩/K.Nanyo フォト:南陽一浩/K.Nanyo、PSA ル・ボラン2019年5月号より転載
LE VOLANT web編集部

AUTHOR

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事
注目の記事

RANKING