対象は約27,340件でシステム活用の技術サポートも実施
トヨタは電動車の普及に向けた取り組みの一環としてモーター、PCU(パワーコントロールユニット)、システム制御などの車両電動化関連の技術について、保有している特許実施権(審査継続中を含む)を無償で提供。同時に電動車を開発・製造するために、トヨタが保有するパワートレインシステムを活用する際に技術サポートを実施することを決定した。
この車両電動化技術は、トヨタが20年以上にわたるハイブリッド車(HV)の開発を通じ高性能化、コンパクト化、低コスト化を進めてきた先進の技術でありHV、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)などのさまざまなタイプの電動車開発に応用できるコア技術となっている。
この知的財産(特許)に関しては、トヨタは従来よりオープンポリシーを基本とし第三者からの特許実施の申し込みに対しては、適切な実施料により特許実施権を提供していた。
車両電動化技術については、さまざまなタイプの電動車の開発に応用できる技術であるため、電動車普及への貢献の観点からこれまでの知的財産の基本方針を一歩進めて、トヨタが単独で保有する世界で約23,740件の特許の実施権を無償で提供することになった。
あわせて、電動車開発に必要なパワートレインシステムであるモーター、バッテリー、PCU、制御ECUなど(以下、車両電動化システム)のトヨタが保有するシステムを活用する際には、電動車の製品化に向けた技術サポートも実施する。
トヨタの取締役・副社長の寺師茂樹氏は、車両電動化技術を通じた協調という今回の新たな施策を決断した理由を次のように語っている。
「ハイブリッド車など電動車普及の必要性を感じておられる多くの企業から、トヨタの車両電動化システムについて、お問い合わせをいただくようになりました。今こそ協調して取り組む時だ、と思いました。特にこれからの10年で一気に普及が加速すれば、電動車が普通の車になっていくでしょう。そのお手伝いをさせていただきたいと考えました」
無償提供される特許実施権の内訳(2019年3月末時点。2015年1月より無償提供実施中の燃料電池関連を含む)はモーター約2,590件、PCU約2,020件、システム制御約7,550件、エンジン・トランスアクスル約1,320件、充電機器約2,200件、燃料電池関連約8,060件となっている。
期限は2030年末までで、トヨタに申し込み、具体的な実施条件などについて協議の上で契約を締結する。また、技術サポート実施に関わる費用は有償とされている。