サーキット試乗

【試乗】800Nmをねじ伏せるSの真髄。アストン「ヴァンテージS&DB12 S」、専用ダンパーが叶えたアンダーステア皆無の走り《LE VOLANT LAB》

アストン・マーティン ヴァンテージS(手前)と、アストン・マーティン DB12 S(奥)
アストン・マーティン ヴァンテージS
アストン・マーティン DB12 S
アストン・マーティン ヴァンテージS(手前)と、アストン・マーティン DB12 S(奥)

800Nmの咆哮と、FRの矜持。最新の「S」が到達した旋回の境地

イギリスの名門が放つ、刺激と洗練の極致。アストン・マーティンに加わったハイパフォーマンス仕様の「S」モデル、ヴァンテージSとDB12 Sを、THE MAGARIGAWA CLUBのテクニカルなコースへ連れ出した。フロントに巨大なV8を収め、800Nmもの凶暴なトルクを後輪のみで路面へ叩きつける。一見無謀とも思えるパッケージを、彼らはいかにして極上のエンターテインメントへと昇華させたのか。専用ダンパーがもたらす驚愕の旋回性能に迫る。

【画像59枚】真鍮鍛造の「S」バッジが誇り高い。機能美を極めた「ヴァンテージS」&「DB12 S」のエクステリアと上質な室内空間の全貌

4WD全盛時代に抗う、アストン・マーティンが貫くFRの美学

近年、最高出力500psを超えるモデルは珍しくなくなった。それに伴い駆動方式は4WDが一般的になっている。その大パワーを御するにはリア駆動の2WDではいささか心許なく、多くの人が効率的かつ安全にスピードを享受するためには4WD化は必然の流れといえるかもしれない。

しかし、あえてその流れにのらず、ある種の危険が伴うことは覚悟のうえで、フロントにエンジンを搭載し、軽さと素直なハンドリングの実現に重きをおいてリア駆動の2WDモデルをつくり続けているブランドがある。アストン・マーティンだ。現行の量産ラインアップにおいても4WDはSUVのDBXのみだ(ヴァルハラは電動モデルのためAWDではあるが量産ではないということで)。

そしてアストン・マーティンの攻めの姿勢は変わらない。昨年にはヴァンテージとDB12をベースにパワーを上乗せし、スリリングさに磨きをかけたハイパフォーマンス仕様である「S」モデルを追加している。

MAGARIGAWAで検証する、大幅進化した「S」の動的質感

4月、千葉県南房総市にある会員制ドライビングクラブ・THE MAGARIGAWA CLUBにて、日本に上陸したばかりのこの2モデルに試乗する機会を得た。各車、数周ずつラップしたのみで詳細を把握するには至っていないが、ヴァンテージとDB12の両者の違い、そしてSモデルとしての進化を感じることができた。

まずは2シータースポーツカーのヴァンテージSから。2024年に大幅改良が実施された4世代目のヴァンテージをベースに「S」の名が復活した。3世代目の2011年にV8の、2013年にV12のヴァンテージSが登場しているが、それ以来4世代目としては初となる。

ボディサイズは全長4495mm×全幅1980mm×全高1275mm、ホイールベースは2705mm。車両重量は1745kg。全幅の広さに惑わされるが、いまどき全長4.5m以下に収まっていればコンパクトといってもいいだろう。

空力と意匠の融合。フェンダーに刻まれた赤い「S」の自負

エクステリアの特徴は、フロントにエアダムが追加され、ボンネットにエンジンの排熱効果を高めるブレードを装備。アンダーボディの改良により空力が向上している。さりげない差別化としてフロントフェンダーに、赤いエナメルガラスを充填したハンドメイドの真鍮鍛造製の「S」のバッジがあしらわれている。

インテリアは、DB12の流れをくむ水平基調なもの。ダッシュボード中央に10.25インチサイズのタッチスクリーンを配置。その下部のセンターコンソールにスタート/ストップボタンやシフトセレクター、ボリューム、エアコンの温度調整スイッチなどが並ぶ。スタート/ストップボタンを囲むローレット加工された金属製のロータリースイッチはドライブモード切り替えを行うもので、レッドやシルバーから色を選べるという。

680ps800Nmを飼い慣らす、専用DTXダンパーと緻密な調律

ヴァンテージSの4L V8ツインターボエンジンは、ヴァンテージ比で+15psの最高出力680ps、最大トルクは800Nmを発揮。出力の変更に伴い、スロットルペダルの重みやレスポンスなど、ドライブ・バイ・ワイヤのスロットルマップにチューニングが行われている。

足回りにはベースモデルと同様、減衰力の制御帯域を広くとれるビルシュタイン製DTXアダプティブダンパーを採用するが、これに専用チューニングを施すことでコーナー進入時のフロントの入りとステアリングのレスポンスを向上させている。これをやみくもに硬く締め上げるのではなく、リアのスプリングエイドやトランスミッションマウントの剛性をわずかに下げることで全体調和を図り乗り心地を改善している。ドライブモードはデフォルトが「SPORT」で、「SPORT+」「INDIVIDUAL」、そしてスポーツカーらしく「TRACK」があった。

アンダーステア皆無。ヴァンテージSが魅せた異次元の回頭性

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